94.◆黄斑変性症の治療と予防◆
黄斑変性症とは、網膜上にある黄斑という部分の機能が失われ、視力が
極端に低下したり、視野が狭くなったり、最悪は失明する病気です。欧
米の中途失明の第一位が黄斑変性症であり、日本でも非常に増加してい
ます。
黄斑はものを見る最も肝心な部分で、視力検査というのは結局、黄斑の
検査をしていることになります。私たちは網膜に映った像を見ているの
では?と思いがちですが、たとえば少し離れたカレンダーをご覧になっ
てみて下さい。
カレンダーの真ん中あたりの日付けを見つめると、たとえば15日を見
た時に15という数字はくっきりと目の真ん中で捉えていますが、それ
以外の数字は何となく目に入っているという感じになっているのがわか
ると思います。
つまり、どの瞬間でも黄斑に映ったものが中央にくっきり見え、それ以
外は何となく見ているという状況になります。網膜全体に映ったものを
すべてくっきり見ているわけではないのです。
ということは、黄斑に何らかのトラブルが起こった場合、目の中央の視
力が低下、もしくは失われるので、いくらメガネで矯正しても視力は回
復しないということになります。これが黄斑変性症です。
具体的には、黄斑の細胞の下に老廃物がたまったり、新生血管と呼ばれ
る弱い血管が作られたりして黄斑を持ち上げることで、黄斑の機能が著
しく低下します。黄斑が変形するので、視野がゆがむといったことも起
こります。また視野の中央にだけまっ黒な点が現れ、極端な視野狭窄に
なります。
黄斑変性症の治療法はいくつかありますが決定打はなく、患者は非常に
不自由な思いをしなくてはなりませんでした。しかし、光線力学療法と
いう治療法が開発され、患者の負担の少ない治療ができるようになりま
した。ただし、これも100%ということではないので、従来の治療法と
併用することもあるようです。
なお、黄斑変性症は50歳以上や喫煙者の発症率が高いといわれていま
す。老化による加齢性黄斑変性症も大変多いのです。
予防法としては、
・眼底検査を定期的に受ける
・タバコをやめる(毛細血管が細くなり、酸素不足から新生血管がで
きやすくなる)
・強い紫外線を避ける
・緑黄色野菜をたくさん食べる(カロテン、ビタミンCが活性酸素の
毒性を和らげる)
・ルテインを摂取する(サプリメントで入手できます)
などです。自宅で簡単に検査するには、方眼紙を片目ずつ見てゆがみや
見えない部分がないかをチェックすればよいでしょう。
|