エリスマン邸

横浜に残るレーモンド作品のうち、
数少ない(唯一の?)個人住宅がこのエリスマン邸です。
もともとは山手127番地に建てられたものですが、
昭和57年、マンション建設のため現在の場所(元町公園内)に移築(復元)されました。
アメリカン・コロニアルスタイルがこの建物の基本となっていますが、
師匠ライトから独立して間もない頃の作品だけあって、
深い庇や、直線的なデザイン−とりわけ水平ラインの強調など、
ライトから受けた影響が所々に見受けられます。
しかし、この作品以降の建築にも見られるようなシンプルなスタイリングは、
まさにレーモンドならではといった感じで、この点は周辺の他の洋館とは異なった趣を醸し出しています。
解体前は和館が併設されていましたが、その部分の復元は残念ながら省略されています。

Data
所在地:横浜市中区元町1丁目元町公園内
構造:木造2階 地下1階
施工者:清水組
建築年代:大正15年


開放的なサンルーム

花のようなデザインが施された
玄関上部のグリル      




応接室の暖炉。         
上部にはライト的装飾も見られる。

ライトの影響もうかがえるデザイン


レーモンドの家具

エリスマン邸内で、当時どのような家具類が使われていたのか詳しい資料は残っていません。
レーモンドはライト同様、自分が設計した建物にマッチした椅子や机のデザインを自ら行っていました。
また、彼の妻であるノエミ・レーモンドも協力していたようです。
現在エリスマン邸では、過去にレーモンドが設計した調度品を復刻し、各部屋に展示しています。
六角形の家具はライトや遠藤新、田上義也の作品にも多く見受けられます。

六角形のテーブルとソファー

ダイニングテーブルと椅子

籐製のデッキチェア



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