立教学院聖パウロ礼拝堂および校舎

立教新座高等学校は、1959年、レーモンドが作成した総合計画に基づき、
校舎、宿舎、クラブハウス、教員住宅に至るまで、次々と建築され、
1963年「立教高校聖ポール教会」として作品譜に掲載されているこの礼拝堂は、
今なお変ることなくキャンパスのシンボルとして、その中心に佇んでいます。
馬の鞍を組み合わせたような独特な外観を持つこの建築には、
レーモンドの強い意欲がつぎ込まれましたが、
最終的には構造との折り合いが付かなくなり、
分厚い梁を会堂内に持ち込まざる得なくなったため、
レーモンドは後の自伝の中で、その不満をもらしています。

その礼拝堂内部へ入ってみると、まずはノエミ・レーモンドの手による、
美しい色ガラスの飾りに目を奪われてしばし絶句。
ステンドグラスではなく、コンクリート板にガラスを直接埋め込まれています。
続いて天井の梁を見上げて、
確かにレーモンドの云わんとしていることは分からなくもありませんが、
それほど重苦しい印象も受けませんでした。
ましてや多くの人が集うことを考えれば、
意匠よりも安全性を優先することはやむを得ないことであるし、
結果論ですが、この素晴らしい建築が永く残されていくためには、
正しい選択だったのではと思いキャンパスを後にしました。

Data
所在地:埼玉県新座市北野1-2-25
構造:SRC造地下1階(鐘楼RC造)
施工者:清水建設
建築年代:昭和38年

 

高さ31メートルの鐘楼(ベルタワー)もレーモンドの設計。5年遅れて完成。

 

回廊が作り出す静かな空間も素晴らしかった。

 

 
 


校舎は昭和36年完成。後の南山大学校舎に通じていったのでしょうか。


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