東京聖十字教会

レーモンドが手掛けた聖公会系の仕事は、この聖十字教会竣工から遡ること5年、
昭和31年の、聖オルバン教会が一般的に知られていますが、
大正13年の聖路加国際病院チャペル(平成3年取壊し)の設計も含めるとしたら、
随分古くからのお付き合いがあったことになります。
(他には、札幌聖ミカエル教会、立教高校のチャペルなどがあります。)

この建物には集成材(柱状合板)が多く使われています。
それまでに見たレーモンドの木造建築は、
贅沢な素材をふんだんに使っていたので、これには少々驚きました。
おそらく、予算に応じての事だったとは思いますが、その外観も含めて、
レーモンドの建築の中では異色の、大変貴重な存在といえます。

簡素な材料を使用し、必要以上の装飾を排したところ、
さらに建物も老朽化し、空調設備等が十分でないのにもかかわらず、
清貧を良しとする、この教会の慎ましさ・誠実さが伝わってくる建築です。


Data
所在地:東京都世田谷区若林4-18-8
構造:木造(集成材)1階
施工者:斉藤工務店
建築年代:昭和36年


高価なステンドグラスを使わず
着色したプラ板を使用。   

イエスが麻の衣を纏ったように、
余分な装飾は一切無し。    


日曜日ともなれば、教会の周りは自動車や自転車で埋め尽くされます。


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