札幌聖ミカエル教会

都道府県別でみれば数少ない、北海道のレーモンド作品です。
軽井沢の聖パウロや東京芝の聖アルバンと同様、柱や梁に丸太を使用した、自然の風合を生かした教会建築で、
鋏状のトラス構造も聖パウロからはじまったレーモンドオリジナルの手法です。
耐雪のために梁が太く、煉瓦造のバットレスによる念入りな補強がなされていますが、
この点、他の地域の作品とは異なった、北国建築ならではの特徴が見られます。

さて、この建物には面白いエピソードがあります。
この建物の建設中に、
レーモンド自身はおろか、所員さえ一度として現場へ赴かなかったという事です。
三沢浩氏の著書によれば、「おそらく設計料が出なかった。」ためであり、
余計な経費を節減していたのではないかとの事でした。
大変だったのは施工業者の竹中工務店で、打ち合わせのため札幌-東京間を何度も往復したようです。
しかし、当のレーモンドも内心では心配していたのか、
数年後、ノエミ夫人と共にこの教会を訪れて、建物の様子を見ていったとのことです。

Data
所在地:北海道札幌市中央区
構造:木造1階
施工者:竹中工務店
建築年代:昭和37年

訪れた時間が早かったので、中へは入れませんでした。残念。

コンクリートと煉瓦によるバットレス。

ノエミ夫人のアイディアによる、和紙によるガラス飾りが楽しいです。
素朴な感じが木造の教会にマッチしていると思います。       



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