ルネサス(旧三菱)のM51995が廃止になりました。以前は国内各社で当たり前に使われていたICですが、諸般の事情で廃止品種となりました。
国内各社はそのニュースの前後で新製品を立ち上げ、51995ショックから回避すべく手段を尽くしています。
なぜ、M51995はこれほど好まれたのか?
電源制御ICの中で、以下の特色を持っています。
TL494にはなかった使い勝手を持ち、1次側制御をワンチップで実現。IC駆動用補助電源を立てずに構成でき、低コスト化、小型化を牽引しました。
特に過電流保護特性については、充電器のような定電流特性を2次側に電流検出回路を持たずに実現できたのは特筆でした。
しかし外国ではM51995の人気は低く、UC3842など8ピン電流モードICが主体となっていました。
起動前電流もそれほど低くなく、ラッチ停止も出力推測回路も持ってない。それでもFET直接駆動と、電流モード制御を武器に組み立てやすい回路を実現していました。
また、電源の主力市場でもあるAT,ATX電源では、STBY電源を持つことを背景として旧態ながらのTL494バイポーラトランジスタ駆動のダブルエンドプッシュプル/ハーフブリッジ構成が続行していました。
海外電源の主力市場であるアダプターでも、サイズの大きいM51995は出番が少なく、過電流保護についてもヒカップ(断続)で充分ということで見向きもされず、SOT23-6Pサイズの小型低廉ICへと流れてゆきました。
そのためM51995は世界的定番になれず、こっそり廃止となってしまいました。
それゆえ、多くの機能を廉価で求める日本市場向け電源を支えるICが見あたらなくなりました。
そんな中、テキサスのUCC28710というICを発見。出力推測による定電流垂下特性を持ちますが、フォトカプラフィードバックではない出力電圧制御を主眼としているため在来回路への置き換えには不向き。
ましてや疑似共振を基本としているため、電流連続モードのフライバックやフォワードには不向きです。
各社ICをM51995と比較検討しているうち、揃わない機能は以下の項目です。