ウルトラライトプレーンと航空法


飛行の許可を得るには

 ULPは航空法上の航空機ですから無許可では飛べません。ULPで飛ぶには下記の航空法に基づく3つの許可がいります。

  1. 航空法規第11条第1項但し書き(航空機の許可)
  2. 航空法規第28条第3項    (操縦者の許可)
  3. 航空法規第79条但し書き   (飛行場の許可)

第11条

 本来、航空機は耐空証明というものが必要です。これは自動車で言えば車検みたいなものでこれがない航空機は法的に飛行できないのです。ところがウルトラライトプレーンは簡易構造の航空機であるためこの耐空証明を得ることが出来ません。そこで航空局が考え出した方法が11条第1項但し書きの部分で許可を出すということでした。航空法11条第1項とは

航空機は有効な耐空証明を受けているもので無ければ、航空の用に供してはならない。但し試験飛行等の目的のために運輸大臣の許可を得た場合にはこの限りではない
というものです。ウルトラライトプレーンはこの「但し」以降の部分を法的根拠として「試験飛行等」の部分で許可を得ているわけです。自動車にたとえて言えばずっと仮ナンバーのままでいるような状態です。そのため仮ナンバーの自動車が予め申請した経路しか走っては行けないのと同様、予め許可された限定された空域しか飛行できないわけです。

第28条

 また航空法第28条第1項、第2項では航空従事者技能証明と航空身体検査証明を有するものでなければ航空業務に従事してはいけないことが定められています。しかしウルトラライトプレーンはそもそも耐空証明を受けられない航空機なのですから航空従事者技能証明を受けることは出来ません。そこで同第3項の規定

前2項の規定は、運輸省令で定める航空機に乗り込んでその操縦(航空機に乗り組んで行うその機体及び発動機の取り扱いを含む。)を行うもの及び運輸大臣の許可を得て試験飛行等のために新しい種類、等級又は形式の航空機に乗り組んでその運行を行うものについては、適用しない。
を適用して操縦許可を受けているわけです。つまり決められた制限範囲だけで飛ぶことを条件に、航空従事者技能証明がないまま「試験飛行」という名目で飛んでいるわけです。

第79条

 航空法79条では航空機は飛行場以外の場所において離陸、着陸してはいけないことが定められていますが、耐空証明のないウルトラライトプレーンの離着陸を空港が許可するはずがありません。そこでまた但し書が登場します。航空法79条では

航空機(運輸省令で定める航空機を除く。)は、陸上にあっては飛行場以外の場所において、水上にあっては運輸省令で定める場所において、離陸し、または着陸してはならない。但し運輸大臣の許可を受けた場合は、この限りではない。
と定められています。ウルトラライトプレーンはこの但し書き部分にもとづいて、場外離着陸場の申請を行い許可を得ています。

運輸大臣の許可

 以上三つの許可について書いてきましたがいずれの許可も運輸大臣の許可が必要となります。実はウルトラライトプレーンを合法的に飛ばす上で一番面倒なのがこれらの許可を取ることなのです。3つともたくさんの申請書類を書かなければいけない上に申請先がそれぞれ違い、しかも有効期間が1年なので毎年申請しなければなりません。(28条は最近まで3ヶ月ごとでした)

航空法を守ろう

 実は申請の面倒さにめげて無許可で飛ばしている人も現実にはいます。しかし航空スポーツとしてのウルトラライトプレーンはまだ発展途上であり、その立場は非常に不安定なものです。極端な話、航空局の考え一つでいつでも全面禁止にすることが可能なのです。だからこそ法を順守してその立場を徐々に堅固にしていく必要があると思います。権利を主張するためにはまず義務を果たさなければならいと思うのです。これからウルトラライトプレーンを始めようと思っている方はくれぐれもきちんと許可を受けて飛んで下さい。お願いします。

自分で用意しなければならない書類

 ここまで読んでくれた方は「こんなに面倒なことをしなければ飛べないのか」と思われるかもしれません。自分で機体を購入して飛ぶなら確かに上の3つの許可を自分で取らなければなりませんので大変です。しかし、クラブに入会した場合は基本的にベテランの方が一括してやってくれるでしょうから、自分でしなければならないのは28条の操縦者の許可を取るための書類をそろえることだけです。その書類とは、

  1. 超軽量動力機技量認定証
  2. 健康診断書

 技量認定証とは簡単に言えばULPの操縦が出来ることの証明書で日本航空協会から資格を得た指導員が認定を行い、日本航空協会が発行します。国家資格ではありませんが、これがないと28条の飛行許可が得られませんので実質的には免許みたいなものです。ある程度の大きさのクラブなら指導員の資格を持った人がいることが多いですので、普通は指導員のいるクラブでやスクールで訓練をし、そこで認定を受けるというケースが多いと思います。技量認定証は一度取得すれば一生ものですので技量が下がったからといって取り上げられることはありません。健康診断書は医師に作成してもらいます。内容は視力、色覚、血圧、尿検査などで1年間だけ有効なので毎年作らなければなりません。健康診断書については別ページで紹介しています。

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