航空身体検査と視力


 航空身体検査というのをご存じでしょうか。日本で航空機を操縦するためには航空身体検査を受けなくてはなりません。これはもちろん身体に異常がないか、航空機の操縦に差し障りがないかどうかを調べるものです。航空身体検査の視力に関する項目では矯正視力1.0以上、かつ矯正パワー(俗に言うレンズの度数)が±5ディオプトリー以下であることが要求されます。±5ディオプトリーというのは焦点距離±20cmに相当しますから、言い換えると近視の場合、裸眼で目から20cm以上の距離で本が読めない人は、矯正視力がどんなに良くても航空身体検査にパスできないのです。そして航空身体検査にパスしなければ日本の航空法では普通の航空機を操縦することは出来ません。私は一時期モータグライダーに興味を持ってかなり真剣に情報を集めたのですが、この規定の存在を知ってあきらめざるを得ませんでした。私の場合、矯正視力は左右とも1.5なのですが、矯正パワーが -7.5ディオプトリーのためこれに引っかかってしまうのです。視力矯正手術を受けたらどうかと考える方もおられるかも知れませんが、航空身体検査では視力矯正手術を受けた者は即不可なのです。

 この±5ディオプトリー以下という制限が何を根拠にしているのか私には全く理解できません。制限が2とか3ディオプトリーなら、万一裸眼の状態になっても何とか飛行可能な条件と解釈することは出来ますが。-5だろうが-10だろうが万一眼鏡やコンタクトレンズがはずれたら滑走路も計器も見えないのは同じと思います。米国では矯正視力が条件を満たしていれば良いことになっているそうです。

 ウルトラライトプレーンは航空身体検査を必要としない例外的な航空機です。ウルトラライトプレーンでは飛行許可のための健康診断書は必要ですが、視力に関しては矯正視力両眼で0.7以上という規定のみです。従って航空身体検査にパスできない私にとっては唯一操縦できる航空機ということになります。(もっともパスできても経済的な面でULP以外は無理でしょうが ^^;)

 

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