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§5  開管楽器と閉管楽器における倍音の発生の仕方 

・まず確認です。
管楽器の閉管部には定常波の節が、開管部には定常波の腹が生じる。ということが理解できていますか?  
理解できていない場合は、もう一度最初から復習してみてください。
理解できている場合は次に進んでください!



● 開管楽器(両端自由端)に生じる定常波

条件(開口端に腹)で一番単純なものは下図のような定常波です。
これを基本振動といいます。



音速を一定とすると、管の長さを変えることで任意の振動数が考えられますが、ここではこれを440Hzと考えてみます。


さて、条件に合う中で次に単純な定常波は下図のような定常波です。



これには『基本振動』が二つ入っている、ということに気付いたでしょうか?
そういうわけでこの定常波を『2倍振動』と呼びます。
上の仮定によるとこの定常波の振動数は880Hzになります


次に、条件に合う中で3番目に単純な定常波は下図のような定常波です。



これには『基本振動』が、みっつ入っている、ということに気付いたでしょうか?
そういうわけでこの定常波を『3倍振動』と呼びます。
上の仮定によるとこの定常波の振動数は1320Hzになります
この図は実は4倍振動になっています。申し訳有りません
頭の中で3倍振動を想像してみてください。  
suimin様、ご指摘ありがとうございました。



思い出してください。上のオレンジ色の波は縦波を横波風に表したものです。
実際に管の中で起きている波は、空気の密度の変化による縦波です
この波がどのような縦波(空気の密度の変化による粗密波)を表しているかを解するためにここをクリックしてください。
表示されたら「3」にチェックを入れて、かつ「Open」(「開管」のこと)にチェックを入れてみてください。
実際に動いている定常波と、空気の密度変化を見ることができます。
「1st」が基本振動、「2nd」が2倍振動、「3rd」が3倍振動になります。


もうお分かりだと思いますが、開管楽器では論理的にはどんな自然数倍音でも生じることがわかります。


● 閉管楽器(一端固定、他端自由端)に生じる定常波

条件(開口端に腹、閉口端に節)で一番単純なものは下図のような定常波です。
これを基本振動といいます。



管の長さを変えることで任意の振動数が考えられますが、ここではこれを440Hzと考えてみます。


さて、条件に合う中で次に単純な定常波は下図のような定常波です。



これには『基本振動』が三つ入っている、ということに気付いたでしょうか?
そういうわけでこの定常波を『3倍振動』と呼びます。
上の仮定によるとこの定常波の振動数は1320Hzになります

ここで2倍振動が存在しないことに注意してください!

※開口部に腹、閉口部に節という条件で2番目に単純なものは2倍振動ではなく、3倍振動になっています!!




次に、条件に合う中で3番目に単純な定常波は下図のような定常波です。



これには『基本振動』が、5つ入っている、ということに気付いたでしょうか?
そういうわけでこの定常波を『5倍振動』と呼びます。
上の仮定によるとこの定常波の振動数は2200Hzになります

ここで4倍振動が存在しないことに注意してください!

※開口部に腹、閉口部に節という条件で3番目に単純なものは3倍振動ではなく、5倍振動になっています!!

これらも、波が表す空気の密度変動を理解するために、ここをクリックしてください。
表示されたら「3」にチェックを入れて、かつ「Close」(「閉管」のこと)にチェックを入れてみてください。
実際に動いている定常波と、空気の密度変化を見ることができます。
「1st」が基本振動、「3rd」が3倍振動、「5th」が5倍振動になります。


もうお分かりだと思いますが、閉管楽器では論理的には奇数倍音しか生じないことがわかります。




● 
『音色』ってなに?

※普通は基本振動の振幅(=波の高さ=音の大きさ)が一番大きいので、基本振動の周波数で「音の高さ」が決まります。

また、倍音がどの程度の割合で混ざっているかによって「音色」が決まります。
管楽器、弦楽器ではつねにそれぞれの楽器に固有の割合で、同時に複数の倍音が発生しています。
そのため、実際の楽器の音を表す波のグラフは上で示したように滑らかな波(正弦波)ではありません。
上の定常波の説明では、楽器で生じる複数の倍音を、一つ一つ単独で取り出して説明しています。

ここをクリックしてください。
最初は基本振動のみ(波の基本単位:一周期分)が表示されていますが、
「Nth Harmonics」(=第N倍音)の上のイコライザーみたいなところをクリックすると、クリックした倍音を任意の量で基本振動に重ね合わせることができます。
色々試してみてください。
波が複雑になって、実際に楽器の音を解析したときのような波(波の基本単位:一周期分の長さλ)が表示されると思います。(フーリエ(Fourier)級数によって表されるような波)

※実際の楽器の音の波は、この基本単位がたくさんつながったもの(基本単位の繰り返し)です。


● 
管の種類による最低音の違い

ところでλ(ラムダ)というのは「波長」といい、波の一周期分「〜」の長さです.
音の高さを表す振動数f(Hz)は、音速をvとすると

 v = f×λ (☆)

 変形すると…

 f = v/λ (★)


という関係があり、
☆の関係式で、音速vは一定と考えるならば、λ(波長)がN倍になると、f(振動数=音の高さ)が1/N倍になるということがわかると思います。

これより、ある閉管楽器と開管楽器の管の長さが同じである場合、開管楽器の基本振動の波長「2L」、閉管楽器の基本振動の波長を「4L」を★の関係式に代入すると、

開管楽器の基本振動の周波数(=音の高さ)は

 f(開管) = v/2L(Hz) ---(1)

閉管楽器の基本振動の周波数(=音の高さ)は

 f(閉管) = v/4L(Hz) ---(2)

(1),(2)を比べてみると、 f(閉管) = f(開管) / 2  の関係があることがわかります。
これがなにを表すかというと、閉管楽器と開管楽器の管の長さが同じである場合
閉管楽器の基本振動の振動数(=音の高さ)は、開管楽器の振動数(=音の高さ)の半分
である、ということです。

つまり、管の長さが同じならば、閉管楽器最低音は開管楽器のそれの1オクターブ
下であることがわかります。


 呼気によって生じる気流の、定常波への影響

今までは、波のない状態では管内の媒質(空気)が静止しているものと仮定して定常波を観察してきました。
ところが、管楽器に呼気が吹き込まれると、気流が生じます。
つまり、媒質が移動しているわけです。これは困ったことになりました。
どう困るかというと、定常波自体ができなくなるのではないか?という危惧が出てくるからです。
定常波ができる条件を思い出してください。同じ形の波が、同じ速さでやってきて出会うときのみ。でしたよね。

今、演奏者の呼気によって、管内の空気が V という速さで管の終端に向かって動いているとします。
このとき、管内の空気が静止状態の時の音の縦波の伝わる速さ(音速)を Vs とおくと、演奏者側から管の端に向かって伝わる波の速さ Vg は、演奏者から見るとVg = Vs + Vになります。
逆に管の端で反射して戻ってくる波の速さVrは演奏者から見るとVr = Vs - Vです。

おわかりのとおり、管内で出会う波の速さが等しくないのです。
これでは定常波ができないはずなのですが、実際はできていますよね?

一体どういうことなのでしょうか?
この秘密は音速 Vs と管内の気流の速さ V との関係にあります。
音速 Vs は秒速約330メートルであるのに対して、呼気による管内の気流の速度は高々秒速2m位のものでしょう。
つまり、Vs >> V (音速は気流に対して十分に大きい)ので、Vg = Vs + V ≒ Vs - V = Vr となり、行きの波と帰りの波の速さは等しいと考えてよいことがわかります。

このような理由で、管内で気流が起きていてもちゃんと定常波が生じることがわかりました。つまり、いままでの考察を実際の管楽器にそのまま当てはめてよいのです。


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