古よりの友はここにいた。
―7の島・アスカナ遺跡―
ラプラスに乗って、海の上をゆったりと進む。
今は七島の最後・アスカナ遺跡の調査へと赴いている。
ここの調査が終わったら、残りの図鑑完成の為に
色々とバトルしたりしていいといわれていたからな。
ピカチュウはシャオの頭の上に。ファインは
甲羅の上に。フィオンはリュックの中に、器用に入っている。
「マスター!」
「…そうか。ついたんだな。」
シャオの声でボーっとしていたの
から現実に引き戻された。
あれがアスカナ遺跡。かなり古い
時代に作られているようだな。
見た感じ、1000年位前か、
それより少し後に作られたか…
土台はしっかりしているようだな。
手でこつこつと叩いてみる。
すぐには崩れない。場所を変えると、
西側は少し崩れやすいようだ。
風か何かの影響かもしれないな。
中に入ってみる。入り口は少し狭い。
メジャーで長さを図り、ノートに書き記して置く。
他の遺跡も全て回ってみる。そして、最後・一番
大きな遺跡へとたどり着いた。
階段まである。確かに、文明が
発達していたとしてもこんなに
正確な遺跡を作れるのだろうか。
少し謎だな。周りを叩いて歩く。海から
くる風で風化が進んでいるのか。
注意深く、階段を上がっていく。
下手して壊すわけには行かないからな。
貴重な遺跡を壊すなんて、俺には間違ってもできない。
この世界の歴史を調べて見るのも、
面白いかな。(何気に嬉しそう
中に入ってみる。この遺跡が一番
でかいようだ。大きいだけ中も広い。
他の遺跡の壁に共通して書かれて
いるものは「アンノ―ン」と言うポケモンだ。
象形文字のような形をしていて、
それはほとんど、アルファベットに近い。
俺のリュックや服に施してある
刺繍も、アンノ―ンなのだ。
ふんふん、ここに多く出現するのは
Zと!か…これで一応全部揃ったな。
しかし、一体何を意味しているのだろう。ばらばらだ。
今度並べ替えでもして、調べてみるかな。
あ、後でもう一回回り直そう。
凛にデジタルカメラを借りているんだっけ。それで写真とろう。
…なんだ?何かの気配がするな。
一体何がいるんだろ。アンノーンか?
ちょっと中心部へ行ってみる。すると、
大きなプレッシャーがのしかかってきた。
びりびりと大気がゆれる。
「ほう。フォーカスよりの来訪者か」
「珍しいものだな。こんな所に」
「お前の名は?名乗りたまえ」
「…ッ…国光!手塚国光だ!」
三方向から、違うトーンの声が聞こえてきた。
俺を囲っているようだ。一体何がいるんだろう?
アンノーンは喋らないし。喋れるポケモンはほとんどいないはずなのに。
「ほう。国光と言うのか」
「そなたは凛の想い人であるな」
「凛?あぁ、一族1力を持つ娘か」
「何故、凛の事を知っている!」
「我らの同士は一族の元にいる」
「そして我らも後に、一族の元へ集う」
「海の神・空の神と共にな」
姿の見えない何か達は、淡々と言った。海の神…ルギアだな。
空の神は、ホウオウの事に間違いないな。
「海の神・空の神は分かった。しかし、お前達は何者なんだ?」
「我は北風の化身」
「我は電気タイプの守護神」
「我は火山の化身」
「…まさか。」
そのまさかだ。俺の右にライコウ・左に
エンテイ・正面にスイクンが現れたのだ。
この世に一体しか存在しないはずの
ポケモン達が今、俺の目の前に姿を見せた。
一回、凛に見せてもらった事がある。
しかし、その時とは全く雰囲気が違う。
もっと重要な、大変な何かを背負っているような感じだ。
「馬鹿な!お前達は、この世に一体しか存在しないはず!」
「何の因果かは知らぬ。しかし…」
「我らは2体、この世に在する」
「今まで、誰かフォーカスの者を待っていた」
「それが、俺なのか?」
「そうだ。そして我らはジョウトに戻らなければならん」
「そなたに頼みたい事がある」
「我らと海の神・空の神を捕らえろ」
「捕まえて…手持ちにしろと?」
「フォーカスの意志を継ぎし者よ」
「我らを捕まえ、海の神・空の神を捕まえたまえ。」
「さすれば我らはそなたの力となろう」
「もといた地方に我らはいる」
「もし、力が欲しいのなら」
「追いかけてくるが良い」
そう言って、スイクン達はふっと消えてしまった。そこに残ったものは
美しいクリスタルの欠片・金色の鬣・赤い体毛だけだった。
全て、スイクン達が置いていった手ががり。多分、近づけば、
何か変化がおきるのであろう。
そして…凄い数のアンノーンが現れた。一斉に襲い掛かってくる。
とととととととりあえず!
「フィオン!サイコウェーブ!」
攻撃を仕掛けると、消えてしまった。
しかし、遺跡は破壊されていない。
ただ、前のように静寂が室内を覆っているだけだ。
この事は報告しないといけないな。
全ての調査は終了した。
これから先は育てて育てまくらないと。
―――――――――――――――――――――――――
作者:ここまでです。後はもう大雑把に簡単に、話をかきます。