ポケモンの聖地・フォーカスは美しい所だった。
―フォーカス〜イワヤマトンネルまで―
サトシのピジョットに乗せられて、空を飛んでいく。
眼下には、ちょうど今、無人発電所を過ぎた辺りだ。
すると、段々と緑が濃くなっていく。そして…眼下に
広がったのは美しい森と花畑。
「サトシ。あの植物のようなポケモンと、トンボのような奴は何だ?」
「植物みたいなのはトロピウス・トンボみたいなのは
フライゴンさ。カント―地区じゃ珍しいんだぜ。」
「…ホウエン辺りにいる奴か?」
「ご名答!フォーカスが近い証拠だ。ピジョット、
もう少し下降してくれ。そして速度を上げて!」
ピジョットは少しだけ下降してスピードを上げた。
横をフライゴンが通っていく。手で触れられそうだ。
木々に触れるか触れないかの所をピジョットは
優雅に飛んでいく。そして、青い、大きな鳥が
横を飛んでいく。羽はふわふわと雲のようだ。
「サトシ。あれは?」
「チルタリス。綺麗な声で歌うんだぜ。」
しばらく飛んでいくと、下に花畑があるのを見た。草
ポケモンが皆でダンスを踊っていたり、幾らかの水タイプ
が遊んでいたり…あ、サーナイト達もいる。あの、
本来緑の所が青いのは…凛の沙羅だ。すると、
サトシはその花畑の上を旋回し始めた。それに、
沙羅が気づいたようだ。
「おーい!沙羅!何処に行けばいい?」
「泉の所で、皆さんがお待ちですわ―!私も向かいます―!」
凛の沙羅は、唯一喋れるらしい。スッ…と姿が消えて
しまった。テレポートだろう。更に飛んでいくと、炎タイプ
のキュウコン・ロコンが見えた。何故かこいつらは覚えて
いたりする。その後も、ポッポ・オニスズメ・ピジョン
ピジョットなど、あらゆるタイプのポケモンを見た。そして
大きな泉の所へと着いた。ゆっくりと降りていく。泉には
誰もいないように見えるが…
「凛―――!!手塚を連れてきたぜー!」
サトシがそう叫ぶと、大きな水しぶきを上げ、
凛とポケモンが顔を出した。ハナダジムで見た、
ミロカロスと一緒に泳いでいたようだ。傍には
ハクリュ―・ミニリュ―がいる。
そして、沙羅も森の中から姿をあらわした。
「意外と早かったな。ピジョットに乗ってきたんだろう?」
「あぁ。灯さんは?」
「今、水の中にいる。呼んでくるから待ってろ。」
そういって、身を翻し、ハクリュ―と水の中へ。しばらく
して、また、大きな水しぶきとともに、楓さん・凛が
現れた。二人とも、魔法を使っているのだろうか。
下半身が魚のようになっている。見た感じは、ミロ
カロスの尾にそっくりだ。そして、楓さんは、俺をここ
へ呼んだ訳を話した。少し前までは、ここは荒れた
土地だったらしい。ロケット・アクア・マグマ団にやら
れたそうだ。しかし、ポケモン達の協力もあり、また
ここは豊かな美しい土地に戻った。だが最近、
そいつらの動きが活発になりつつある。また狙われ
やしないかと、心配なんだそうだ。その為に、俺に
そいつらの制圧を頼んできたのだ。ここで、どれだけ
ポケモンが幸せそうか見てもらって、その意欲を掻き
立てるつもりだったらしい。俺は改めてOKを出した。
いずれは、俺のポケモンもここで過ごすかもしれない。
自分のポケモンの為にも、凛・楓さん・木蓮さん達の
為にも、俺はこの土地をこのまま、守ろうと決めた。
俺は凛に連れられ、空から見た花畑へつれてこられた。
「美しいだろう。この世界一、美しい所。野性もトレーナー
のポケモンも…捨てられたポケモンも関係なく、ここで静か
に幸せに暮らしている。ロケット団などから逃げ出したもの
も、ここにはいるんだ。そんな事は関係なく暮らしているん
だよ。わかる?国光。ここはポケモン達の楽園なんだよ。
最初で最後の。たとえ人が死に絶えても、ポケモンはずっと
ここで暮らす。重い病にならん限り。子孫を残して、この
土地の美しさを受け継いで、永久に生きていくんだ。皆。」
「…凛…」
「素晴らしい事だと思わないか?何もしなくても、書き
記さなくても口頭で、ポケモン達でしか通じない言葉
で伝えられていく。これこそ、永遠に秘密を守ることの
できる言葉。ポケモンはたとえトレーナーにゲットされて
いても、ほとんど自由でいる。国光だってそうさせている
だろう?「俺の傍から離れるな」「目の届くところにいろ」
とあまり強制はしていない。フォーカスはそんな所さ。いい所だよ。ここは…」
「凛。そんなに嬉しそうに事を話すお前を見るのは初めてだ。」
「そうか?」
「ポケモンの事だからかもしれないが、すごく素敵な笑顔だった。
さて…日が沈む前に戻って進むかな…」
「この辺りは、暗くなるのが早いから、ここで休んでいく
といい。ポケモンも喜ぶよ…な?」
「…そうだな。」
「図鑑を貸して。幻のポケモンのデータをアップする。
多分…でることはないから。」
その日はフォーカスで過ごした。見たことも無いような
素晴らしい星の数々が光り、心を穏やかにしてくれた。
そして翌日。俺はまたサトシにイワヤマトンネルまで送ってもらった。
これから先、ロケット団との対立が激しくなるだろう。
しかし、負けはしないぞ。
絶対に勝って、この世界の…この聖地を守り抜いてやる。
本日ゲットしたポケモン:なし。

作者:フォーカスは、無人発電所の遥か向こうにあります。
ちなみに、感じで言えば、去年の映画みたいな感じ。ジラーチの眠ってた所ね。