走り抜けよう。さわやかに。
―サイクリングロード〜セキチクシティへ―
サイクリングロード入り口で手続きを済ませ、注意事項を言われた。
「実は、暴走族がいるんです。お金を
取られないように、気をつけてください。」
「わかりました。」
暴走族がいるのか…ま、俺の敵じゃないね。
族にやられる位の奴が、最強のトレーナーに
なれるかっての。はっはっはっは。今まで、
ジム戦そんなに苦戦してないし。ガーディを
かごに入れ、ピカチュウを肩に乗せる。
「しっかりつかまっていないと、振り落とされるぞ。いいな?」
「ピィカ!」
「ワウ!」
しっかりつかまったのを確認して、走り出す。周り
は海。潮風が気持ちいい。気分が清々しくなる。
ガーディやピカチュウも気持ちよさそうだ。自然と
歌いたくなるなー。この世界に来てから歌ってない。
ナユグじゃ、行ったら行ったで毎日歌ってたような
気がする。皆歌が好きだから、歌う事は日課の
ような感じだったからな。
♪小さな温もりが僕をずっと探してる 我侭な声で
隠してた寂しさに気付けなかったけどいつもその手を握ってた
明るい声で笑える それが何より大切
ゆっくりでいい歩き出したら俯かないで前だけを見て
少しでもいい走り出せたら忘れた翼感じて欲しい もう迷わないで
自然とメロディーが口から流れ出す。この歌は
かなり気に入ってるものだ。ガーディ達も、なんか
楽しそうだ。…あ、あそこに見えるのは族じゃん。
…は?前には結構大きな石…?やべぇって!
ぶつかる!いや、躓く!!…根性だ!(何が)
ぐっと自転車のハンドルを握る。前輪が石に
ぶつかった。俺は一回転して、無事着地。
俺ってば、なんか凄い事したかも。族の皆、
口開けっ放しだし。すると、追いかけてきた。
「まてや、こらぁ!!」
「誰が待つか!」
「金、置いていきやがれ!」
「誰がおいてくか!」
「挨拶くらい、していきやがれ!」
「グッドアフタヌーン!では!」
「待たんか、オイ!!」
挨拶したんだから、いいじゃん。アー、もう。
訳わかんねぇよ。あ、広場発見。仕方ない。
応戦してやるか。ズザザ…と音を立てそうな
勢いで、俺は自転車を止めた。
「族なりの挨拶…それはあれだろ。ポケモンバトル。」
「わかってんじゃん。」
「ただ、面倒くさかっただけだ。」
「なんだよ、それ。」
「まぁ、いい。イーブイももう少しで懐くし
…進化の為にも、相手になってもらう。」
そういって、ボールからイーブイを繰り出す。奴ら
も、ボールを構えてきた。一人ずつ、バトルをしていく。
「ドガ―ス!体当たりだ!」
「イーブイ!噛み付く!」
上手い具合に体当たりを交わし、がぶりとイーブイ
は噛み付いた。フットワークが良いな。身軽だ。
エーフィに進化したら、もっと切れのある動きに変わ
るだろう。三人目を倒した頃、イーブイに変化が
起きた。体が光り始めたのだ。そしてベージュ色
だった体毛は、徐々に薄紫へと変わり、ふわふわ
としていた体毛は短く、シルクのようなものへ変わって
いく。耳はすっと細くなり、尻尾も同じように細くなって
二股に分かれた。幼くて可愛かった瞳はきりっとした
輝きのあるものに。そして、額には紅い宝石のような
ものがきらりと光った。イーブイがエーフィへと進化を遂げたんだ!
「やったな!フィオン!」
俺はエーフィ…いや、フィオンを高く抱き
上げた。きょとんとした顔をしている。
「フィオン!お前の名前だ!」
「エフィ!」
もう一度呼んだら、理解したようで、嬉しそうな
顔をしている。進化したフィオンを抱き上げた
まま、俺は族の方をすっと見据えた。
「進化した、俺のフィオンとまともにやりあう気か?
その気がある奴はかかって来い、相手してやる。」
そういったら、一目散に逃げていった。小遣い
稼ぎも、いいとこだったしな。…?あいつはボスか。
俺に挑むつもりなんだな。
「何のようだ?」
「てめぇのそのエーフィ!叩きのめしてやる!!」
やっぱり、バトル希望者か。するとフィオンはするりと
腕から抜け、下に着地。バトルする気満々である。
「マタドガス!体当たりだ!」
「…(もしかして…)フィオン!サイコキネシス!」
フィオンの額の宝石から、数多もの光が放たれた。
よし。サイコキネシス、使える!この先のジムで重宝
できるぞ!そして、そのボスも倒した。少しその場で
休憩を取って俺はまた自転車に乗った。かごに、
フィオンも一緒に入れて。
♪雨上がりの空に大きな虹を描こう
それぞれの夢 重ねながら色をつけよう
何かが足りなくて俯いているなら
ボリュームを上げてくれ それだけでいい
この声が聞こえているかい 風に乗って君の元へ
この歌が届いているかい 遠く離れた君の街へ
この声が響いているかい 明日への扉はいつでもON THE RADIO
また口ずさんだら、リズムに乗って揺れ動き始めた。
そして…しばらくして、出口へとたどり着いた。
新たな仲間、エーフィのフィオンをゲットし、これからの旅が楽しみだ。
エスパーなのに悪技も覚える。本当に重宝するだろう。
エフィ。フィー。
これからも宜しくな。フィオン?
フィッ!フィーナ!
本日ゲットしたポケモン

作者:やたー!イーブイがエーフィに進化!
手塚:良い子だ!フィオン!
作者:手塚はフィオンにぞっこんです。
手塚:煩い。いいじゃないか。凛だって好きなんだし。
作者:あんたは凛が好きなものなら何でも愛するんですか。
手塚:当たり前だ。俺は凛と好みが似通っているからな。
作者:手塚国光・ただいま青春真っ盛り。