美しき火の鳥は光を称えていた


―灯火山・ファイヤーに遭遇―


上の方も調べなければならなかったので
急いで登っていく。凛をあまり長い事
待たせられないからな。せっかちだしなぁ。
特に大きな障害物は無し、変わった物もなし…
何か、暑くなってきたな。何がいるんだろう。
やはり、ファイヤーの再来だろうか…

―頂上
やっとついた…身を潜め、誰にも
見つからないように進んでいく。
おぉ、なんか燃えているな。めらめら。
…あれは、やはりファイヤー。不死鳥とは
少々違うが…新たなファイヤーが生まれたのか。
凄い温度みたいだな。熱い熱い。汗が凄いや…
しかし、フリーザーとは違う美しさがあるものだな。
こっちは神々しい…サンダーはどんな風なんだろう。
少し気になるな。やはり、「雷神、見参!」みたいに
かっこいいのだろうか。うーん、ミステリー。
写真、撮っとかないと。サイレントで…良し、撮れた。
しっかし、美しいものだな。赤に黄色、オレンジ色の炎が
ファイヤーを取り囲んでいる。美しい。凛も連れてくればよかったな…
こういうの好きそうだし。あぁ、後悔先に立たず。
美しいものはとことん美しい。幻・伝説のポケモンは
どれも素晴らしい。美しさの中に強さ、華麗さ
優しさを持ち合わせているのだろう。
あぁ、良い物を観た気がするなぁ…

♪――――――――――――!!
♪〜♪〜♪♪♪―――――!!

ファイヤーは素晴らしい声で鳴いた。
透き通った美しい声で、凛をも凌ぐ、旋律。
あまりにも美しすぎる声に、俺は動けずにいた。
何て事だ…素晴らしすぎる。むしろ…恐怖さえ感じてしまう。

見てはいけない何か。
聞いてはいけない何か。
触れてはいけない何か。
声をかけてはならない何か。
近づく事を許されない何か。
その姿を他の物に表してはいけない何か。

全てを兼ね揃えているファイヤー。
フリーザーの時は何も感じなかったのに…
気づかれたら終わり。そんな気がした。
いけない。ここから逃げなくては。
ここにいて、下手して見つかったら
殺されるかもしれない。やばい。
俺は急いで逃げ出した。しかし、
ノートに書き込むのは忘れない。ただ

ファイヤー、生まれいでし、炎の中より
 しかし、あまりにも恐ろしすぎて…
 いずれにせよ、近づく事は許されない。


そう書き記しておいた。灯火山の頂上には
近づかない方がいいかもしれない。しばらく…
ファイヤーはあそこに君臨する。…恐ろしすぎる。
駄目だ、いけない。信じられない。俺は
いくら調査といえど、見てはいけなかったのかもしれない。

―ポケモンセンター

「どうしたの?」
「いや…何でもない。」

凛にはいえない。絶対にいえない。

「オレも今から行ってみようかな―。」
「駄目だ!お前を危険に晒す訳には…!」
「何?」
「…いや、なんでも…ない。」
「?」
「2の島・3の島はまだ後でもいい。飛び抜かして…
 4の島に行こう。なぁ、凛?そうしよう。」
「うん…いいよ。」

凛は少々不思議がっていたが、俺達は次の島へ向かった。


ファイヤー…火の鳥は美しくもあり、恐ろしかった。
調査のためとはいえ…
もう近寄るまい。絶対に…


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作者:島シリーズ、ファイヤーと遭遇です。
手塚:あんな危険な生き物か?
作者:んなわけあるかいだ。