いおなからファインを守るんだ。


―VSいおな!闘いの果てに―


「あらあら、新しいご主人にべったりね。」
「お前がいおなだな!ファインは渡さないぞ!」
「ファイン?新しい名前ね。いい名じゃない。
 私がつけたより…あら、桜貝はしてないのね。」

いおなは笑いつつそう言ってきた。何から
何まで気に障る仕草をする奴だ。
今のファインの首にかけられているのは
エーフィのネックレス。紅い宝石がついている。
木蓮さん曰くあの貝はエスパー能力の
増幅装置らしいけどそれは違った。
貝が無くてもすごい力を発揮した。あれは嘘だ。

「あれはエスパー増幅装置だったのに。」
「そんなんじゃない。ただの貝だ。」
「あら。言い張るのね。ねぇ。返してくれない?
 それがいないと小雪とタッグバトルできないのよ。」
「…今、ファインの事を何ていったんだ?」
「それ。私の大事な道具。」
「…ポケモンは大事な仲間じゃないのか?」

ロケット団はポケモンを道具としか見ていない。
そう聞いた事がある。そんなの嘘だ。誰にだって
慈悲はある。ロケット団の中にだって、ポケモンを
自分の仲間としてみている者がいるはずだ。
しかし、そんな奴はいなかった。ただ、
この便利な道具を使い世界征服だ。
それしか考えていない馬鹿な奴等ばかりだったという事だ。

「ファインはお前にとってただの道具か?」
「そうよ。だって強いもの。早く返してよ。大変なんだから。」
「返す?馬鹿な事を言うな。もうファインは俺の
 仲間なんでな。手放したりしない。それに、
 この先、未だ行った事の無い世界にこいつと
 旅にでる予定なのでな。お前にはわたさん。」
「あら。いいご主人ね。でも…甘いわ。」

一瞬にしていおなが消えうせた。何処だと気配を探っていたら…

ドカッ!

「うわぁっ!?」

しまった!蹴られてファインが離れてしまった。

「さぁ、フィアナ!あいつに直接電光石火よ!」
「何!?」
「貴方は私の道具!さぁ、主人のいう事を聞きなさい!」

ファインは迷っているようだ。
ちょうど俺といおなの間にいるから。
「ファイン…」
「さぁ!フィアナ!」

しばらくうろうろしていたファインは俺の方に走ってきた。
やはり元の主人には逆らえないのだろうか。
こうなったら何処に食らってもいい。
しっかり受け止めてやろうと思った。
しかし、ファインはくるっと反転し、
物凄い勢いでいおなの腹部に突撃…

「を、突撃インタビュー。」
「何処がインタビューだ。」

タックルをかましたファインはタタッと
戻ってきて、俺の腕の中へ収まった。

「エーフィー…ううん、僕はずっとマスターだけについてくよ!」
「…喋った。喋れるのか?」
「うん。マスター。いおな倒そう!嫌い、あいつ!」

ファインはそう言ってするりと下に下りた。
…人に直接攻撃しかけたくはないしなぁ…

「あんた達!小雪が黙っちゃいないわ!」
「あ゛?あいつならとっくの昔にポケモン置いて逃げたよ。」
「は、はぁ!?」
「あいつのサーナイトスニッチしたら他のポケモンも
 置いて逃げちまったんだよ。それにロケット団は
 解散したしね。サカキはここにいる彼が倒したのさ。」
「…倒してやる!!」

何処の奴も同じレベルだ。仕方ない、倒してやるか。

「行け、フーディン!サイコキネシス!!」
「ファイン、GO!!!」

最近は俺の指示無しでも戦うようになったファイン。
「GO」とかいうと何をすればいいかわかってくれるのだ。
フーディンの後ろに回り込み頭突きを食らわせた。
すかさずアイアンテールで攻撃。フーディンは攻撃を受けるばかり。

「…エーフィを捕獲なさい。」

フーディンは攻撃を仕掛けるのではなく
ファインを捕まえようとする。だが…

「ファイン!It does not escape!It fights!!」

叫ぶと、俺の方に逃げようとしたファインは
フーディンに突進。シャドーボールを食らわせて、
噛み付いた。逃げたら何もならない、変わらない。
いま、ファインは自分の仲間と戦っている。
気が引けているのかもしれない…と思ったが
それは思い過ごしだった。容赦がない。全く、
一欠けらも。

「ファイン!It limits and is !Beat your master!!」

サイコキネシスを放った。貝があった時よりも強力な。
全て英語で話しているがファインはしっかりと理解している。
そして…フーディンは倒れた。

「ぐぅ…」
「お前は負けた。元手持ちポケモンにな!」
「もうあんたらはいるようがない。さっさとうせろ。」
「…あんた達に言われたくないわよ!!」
「あんたにも言われたくないよ。」
「う…」
「あんたを如何こうする気はない。もう、
 二度と俺達の前に現れないで欲しい。
 もう一回現れたら…どうなるか分かっているな?」

ギロリと睨みつけると一気に顔を蒼くしてこくこくと頷いた。
そしてポケモンを置くと逃げていってしまった。

「国光。このポケモン達をフォーカスに連れてって
 色々しなきゃいけないから、とにかく倒したい
 奴らは倒したからね、オレ…帰るよ。
 母さんに任せっぱなしだから。」
「…そうか。分かった。ありがとう。ついて来てくれて。」
「いいんだ。じゃ、貴方の旅に幸多からん事を。ばいばい。」

そう言って凛は消えてしまった。

「…行こうか。ファイン。」
「フィ。」

俺達は次の島へ向かった。


次は6の島。何があるんだろう。
興味深いものだったらいいなぁ…
凛に心配かけないためにもちゃんと
旅を続けないといけないな。



―――――――――――――――――――
作者:ひさびさ。
手塚:遅すぎる。
作者:だってオリジとか誕生日企画とか!!
手塚:程ほどにな。