蒲田行進曲

2月14日(月) 青山劇場 ソワレ 2階立見28番
2月17日(木) 青山劇場 ソワレ 2階立見13番
2月20日(日) 青山劇場 ソワレ 2階立見27番

 

今回は3回分まとめてしまいました。そうでもしないと語れない。だけど全然語りたらない。

なぜ

この作品を見ようと思った大きな理由は、多分剛君が出てるから。SMAPの中で1番のお気に入りで、実は何度もファンになりかけて、寸でのところでこらえてた(苦笑) でも去年の初演でもそうだったけど、とにかく「凄く良い!」「つか作品にぴったり」とか良いことばっかり聞いてて、かなり興味惹かれてました。

でも前売発売日を間違えて買えなかった。前売は完売。もう諦めるか、と思ったある日、バイトがえりに出会ってしまうのです。電車を下りて、疲れたと思いながら階段を上がって行ったら、目の前に蒲田行進曲のポスターがバーン!と。あー、これはやっぱり見に行かなくちゃだめだなって、ポスター見た瞬間思った。行きたい、じゃなくて、行かなくちゃって凄く突き動かされた気がする。

以前見たいかもって言っていた友達を誘ってみるけど、結局スケジュールが合わず行けない。でももうあと1週間で公演が終わってしまう。久し振りに1人で行ってみるか。

当日券は、公演3時間前にローソンチケットに電話。電話が通じた人は予約番号を教えてもらって、開演30分前までに劇場窓口へ。要は劇場窓口でのチケット販売はないってこと。結構早くかかって、とる事ができました。

立見の28番だったんだけど、立見は2階の最後列の手すりに並んで立ちます。この作品2時間45分もあるのにと中休憩がありません。だからそれだけずっと立ちっぱなしだったわけだけど、でも作品に惹き込まれてそんなことぜんぜん気にならなかった。そして見終わった後、なんかどうしてももう1回見たい、見なくちゃ、とまた突き動かされてしまいました。

初めて見た日の感想は、「わかんない」。なんて言って良いのか本当に言葉が見つからなかった。「なんだこれは??!!」って。見終わって友達に電話したんだけど、なんか自分でもなに言ってるのか良く分かってなかった(苦笑) で、その友達と一緒にもう1回行く事にしました。

2回目。前回よりは当然冷静に見れた。つもり。だけど前回よりもっと泣いてた。もし出来たら千秋楽も見れたら良いなと思って、千秋楽の日も当日券の電話を掛けたら、本当にかかってしまってびっくり。なんか本当のファンの人には申し訳ないかな、なんて思いながら見に行ったんだけど、行ったら行ったで、さらに前回から演出が変わり、セリフが変わったまた別の「蒲田行進曲」があった。いつ変わったのか知らないけど、でも最後に来て、こんな素敵なセリフが加わっていて、もう色んな意味で辛くて辛くて仕方なかった。

今回の感想は、今までになくとっ散らかっていて、本当に自己満足でしかないかもしれないけど、でもどっかに書いておかないと、私の許容範囲越えちゃって苦しいです。

あらすじ

風間杜夫・平田満・松坂慶子の映画で有名なつかこうへい作・演出の作品。昨年3月にもシアターコクーンで上演した。

京都太秦撮影所。銀ちゃんこと倉岡銀四郎(錦織一清)は、共演の中村屋(春田純一)や若山(清家利一)といがみ合いながらも、始めての主演映画「新撰組」を撮影していた。そんな中、恋人の小夏(小西真奈美)が妊娠したと言ってくる。

銀四郎は小夏を自分の大部屋で1番かわいがっているヤス(草なぎ剛)と結婚させようと、小夏をヤスの部屋へと連れて行く。やがて、ヤスと小夏は次第に惹かれ合うようになる。

撮影所では映画最大の見せ場である池田屋階段落ちのことでもめていた。良くて半身不随、悪くて死ぬだけ。警察の中止命令も出るが、ヤスが自分がやると言い出す。

ヤスと小夏の幸せを願う銀ちゃん、ヤスを愛し始めながらも銀ちゃんを忘れられない小夏、銀ちゃんも小夏も愛するからこそ苦しむヤス。互いに求め合い傷つけ合う3人。しかしヤスの階段落ちの日は、段々と近づいてきていた。

ヤス

苦しいです。見てると、なんか泣きたくなる。2階の最後列でオペラグラス使わないと表情は全然わかんなかった。分からないはずだった。だけどここまでちゃんと届いてくる。彼の苦しみも悲しみも優しさも。

と中、30分に渡るヤスの長台詞があります。小夏を、銀ちゃんを愛するが故の苦しみ。叫び、小夏を殴り、苦しくてもそれでも止まらない思いは、本当に痛々しくて、それまで見せていた小夏と銀ちゃんへの優しいまなざしがあるからこそ、なおさら変わってしまった、変わらざるをえないヤスが切なかったです。

剛君は、その優しい声のトーンが、怒鳴ったり叫んだりして豹変する事によって、なんて言うか・・・。剛君でもヤスでもない人がいるような、結構不思議な感じがしたり。舞台上にいたのは、草なぎ剛でもヤスでもない、1人の「人間」。不器用な愛すべき人間。心の奥底にある数々の浮かんでは消えて行くはずの思いを全部表現しようとする人間がいた。

次から次へと苦しみを、怒りをぶつける姿を見ているだけで、どんどん苦しくなって、「もう止めて!!」と思うくらい、舞台上の小夏と一緒に痛めつけられる感じがして。だけど、同じように、もしかしたらそれ以上にヤスが傷ついているのが分かるから、またそれが苦しくて。

・・・上手く語れない。言い表す言葉が見つからない。広い広い舞台にヤスと小夏の2人きり。そこがなおさら取り残された、ぽつんとした感じがしました。

最後の階段落ち。ヤスはちゃんと銀ちゃんへの愛も、小夏への愛も、全うしていました。そして明日へのゴールに向かって、銀ちゃんの元へ、階段を駆け上がっていきます。

あるHPで読んだんですが、この時ヤスは客席に背中を向けてしまうのですが、笑顔で銀ちゃんの元へ走っていくそうです。これを読んだとき、凄く凄く・・・。

千秋楽に追加されていたセリフ。階段落ちの前に銀ちゃんがヤスに握手を貰います。「宝にするよ」と。それが「あたたかいな・・・。宝にするよ」となっていました。「あたたかい」。あたたかい・・・。

剛君は舌っ足らずなのか、セリフを聞き取りづらいときもあった。だけど「ヤス」だった。「上手い!」とうなるより「凄い!」って納得してしまう、そんな感じなのかな。何が良い、どこが凄い、より、とにかく見てみないとこの感じが伝わらないかもしれない。私には言い表す事が出来ません。

衝撃

始めて見たときの衝撃は本当に凄かったです。本当は幕開いて、スピーカーの音がでかく、セリフも聞き取りづらくて、私はだめかもな。なんて一瞬思った。それがいつの間にか話に惹き込まれて、そして後半の小夏と銀ちゃんの別れ、ヤスの長台詞、階段落ち。涙が止まらなかった。頭、というより心がぐちゃぐちゃになった感じです。

話の流れとしては、なんか下ネタとかジャニーズネタとか、お笑い部分もいっぱいありました(笑) だけどそんな中にふっと現れる切なさとか、対比?めりはり? その落差が凄くて、だからなおさら、ちょっと前まで大笑いしてたのに、次の瞬間には凄い苦しくて泣いてる自分がいて。

でも言いたい!!

カーテンコール。白いタキシードで出演者皆で踊ってくれて、さらに2回目のカーテンコールでは主演3人だけになり、ニッキと剛君のバック転付き。かっこよかった〜。

だけどね、だけどね。皆「つよしく〜ん!」と叫んでいて、凄く残念というか、現実に引き戻されすぎて辛かったです。「ヤスかっこ良かった〜」とか叫べば、上手いと思うんだけどなあ。