太陽と月に背いて
4月21日(水) 世田谷パブリックシアター マチネ 3階B列25番
いつもの劇場の感想
上に高いという感じの劇場。でも雰囲気がすごく良い!! そして舞台も見やすい!! チケットを取ったときは3階席で「おいおい(^_^;)」とか思ってたのに全然そんなこと関係ないです。舞台がすごく近く感じるし、どの席に座っても見やすいんじゃないかな? 劇場全体がアットホームな感じで、ちょうどいい大きさのホールだなーと思いました。
椅子もなんか面白い感じで、木がまたおしゃれですね。いいなー。劇場だけでも、また行きたくなる。
お話し
日本ではレオナルド・ディカプリオ主演の映画で知られていますが、18世紀フランスの2人の詩人のお話し。
1871年、パリ。アルチュール・ランボーは、その頃すでに詩人としての名声を手に入れていたポール・ヴェルレーヌに自分の詩を送り、そして彼を頼って上京してきた。ヴェルレーヌは妻マチルドの家に居候の身で、ランボーの粗野で下品な振る舞いは、ブルジョア家庭のマチルドやその両親には到底理解できない物だった。しかしヴェルレーヌは、ランボーのそうした態度も類いまれな美貌と才能とあいまって、次第に魅了されていくことなる。ヴェルレーヌ27歳、ランボー16歳のことである。
ランボーと関係を結びながら、マチルドとも分かれることの出来ないヴェルレーヌは次第に酒におぼれ、2人で実生活からの逃避行をするようになる。互いに求め合い、そして傷つけあいながらロンドン、ブリュッセルと当ての無い旅を続けていく。
そんなある日、自分のもとを離れていこうとするランボーの向かって、思い余ったヴェルレーヌはピストルでランボーを傷つけてしまう。大事には至らなかったものの2人の関係が表ざたになり、同性愛が罪になった時代であり、ヴェルレーヌは2年間の懲役を受けることになる。
2年後、マチルドとも離婚したヴェルレーヌは久し振りにランボーと再会する。もう一度やりなおしたいというヴェルレーヌに、詩を書くことをすでに止めていたランボーは別れを告げそしてヴェルレーヌの前から姿を消した。
それから17年。47歳になったヴェルレーヌはパリのうらぶれたカフェで、ランボーの妹イザベルと出会う。そして別れてからのランボーの人生を聞く。アフリカでの生活。死の床での様子。イザベルが去り、一人残されたヴェルレーヌは楽しかった若き日を思い出していた。
長く書いたわりには分かって頂けますでしょうか(^_^;)
セットなどなど
劇場の雰囲気ともあっていましたね。上から何本もの布をたらし、セットはテーブル・椅子・ソファー・そして棺桶。それらに布をかけてバーのテーブルや暖炉になったり、棺桶はシーツを掛けるとベッドなる。そしてそのベッドでヴェルレーヌとマチルドが、ヴェルレーヌとランボーが愛し合う。この「棺桶」がとても印象的でした。
その他の小道具も、バラ・ランボーが割る陶器・ミルク・ワイン・洗面器の水。これら全てが本物を使っていて、それがとても驚きでした。ま、ワインは本物では無いと思うけど(当たり前か)、陶器は実際に舞台上で割っちゃうし、ワインをこぼしたり、水で顔を洗ったり。舞台上で役が「生きて」見えました。
感想とラブラブ(笑)
内容としては、1幕はうん、面白かったです。でも2幕になるとなんか中だるみかな。思ったほど話し進んでいかないというもどかしさがありました。実際は2年後だったり17年後とかで、めちゃめちゃすっ飛ばして話進んでるはずなのになー。
感想はですね、私フランス文学嫌いなんでどうかなーと思ってたんですが、なんのなんの。役者さんの熱演に引っ張られてしまいました。
主要キャスト3人がもともと好きな俳優さんなんですが、まずランボーの野村宏伸さん。1幕最初の第一声がとても声が高くて驚いていたら登場しても自由奔放な「少年」でした。純粋で無垢でぶっきらぼうでわがままで、でも少年らしい傷つきやすさも持っていて。初舞台とは思えない堂々ぶり。ランボーが振りまわしてる感じが良かったです。ただ怒鳴る時など台詞が聞き取れない時が多くてちょっと残念でした。あと勝手に私が思ったこととしては、印象して松岡英明とか、あとミーアンドマイガールのビルとか思い出しちゃってました。
ヴェルレーヌの田中実さん。やっぱり舞台のキャリアの違いかしら。ヴェルレーヌの苦しみとか許しを乞う哀れさなど、途中ヴェルレーヌが主役かと思う熱演ぶりでした。
野村さん、田中さんが対等に渡り合ってる感じがしてこのキャスト良いなーと思いました。ちゃんと年の差とか感じられたし。
マチルドとイザベルの高橋かおりさん。マチルドのはつらさの方が印象に残りました。
あと印象に残ってるのはマチルドの父親、木場勝己さん。舞台を締めてました。
感動・・・
最後、17年後にヴェルレーヌがイザベルからランボーの事を聞き、そしてヴェルレーヌの独白。・・・うん。ちょっと舞台に入りこんでしまいました。静まりかえった劇場の空気も良かったし、蘇ったランボーが全てを許すように、受け入れるようにヴェルレーヌの手のひらにキスをする場面。それはとても・・・幻想的で、言葉に出来ないですね。
カーテンコールも出演者が少ないので、とてもアットホームな感じ。そして客席から野村さんに花束が手渡されていました。
や〜ん
場面転換の度に暗転し、その間ずっとヴァイオリン(?)の音楽が鳴ってるんですが、それがちょっとだれちゃうかなー。しょうがないって言えばしょうがないんでしょうけど、もう少し何とかして欲しかった。
最後の最後のシーン。蘇った笑顔のランボーにスポットライトがあたって、そしてだんだん絞られていくんですが、それで終わりと言うのは。「へっ?」て感じで終わってしまいました。
あと!!やっぱり鳴ってる携帯の音と、隣の隣に座ってたおばさん達が上演中にアメの袋を破ってる音が聞こえてきた(怒) よーく聞こえるから、「あ、なかなか開かないんだねー(怒)」というのが分かっちゃうんですよねえええ。
おまけ(笑)
アドリブは少なめなんだろうけど、唯一かな? ヴェルレーヌが赤いマフラーで「鼻血〜」とやってました(笑)
あと、なぜか私のプログラムには田中実さんの直筆サインがありました。うれし〜。けど野村さんはー??
そ・し・て。必見はなんといっても野村さんの生尻でしょう(爆)