コンテストに参加した「黒い瞳」の短所であった「音の残余感」は、スロートと音道をベニヤ板で調節することで、吸音材を使用せずに解消できました。
たとえば、スロートでは、こんな状態にです。
で、そのF特を見てみましょう。
1) 軸上(FE168NとFE88ESRの中間) 1m :
2) L+R 聴点(2.2m) :
ここで、解消前のF特(狼藉帖 Nov-12-2006)を再掲します。
3) L+R 聴点(2.2m) 解消前 :
ピンクノイズでのスペアナの結果、2)、3)を見比べて、そのF特から音の残余感の有無を判断できるでしょうか。
さて、あらためて、重いコーンのウーファーをBHに使うアドヴァンテジは、です。
「コーンの分割振動領域を捨ててツィーターに任せるので、高域の質が違う」
これは、誰もが予期できる効果ですネ。
傾聴すべきは、低域の質です。
「重い、オシが強い、ズシンとくる、ハイスピード、ホリが深い、などなど」
フルレンジの軽い低音とは一線を画していて、「予期せぬ効果」と思いましたが、納得できる記述がありました。
−−−、一般の振動板は、ピストン運動で前に動いているときでも、外周部分はペコペコ折れ曲がって音になっていないんですね。これは非常に低い周波数から起きているわけで、100%音になっていない。それによって、トランジェントに影響が出て、音が尾を引くような感じで、音が濁るというんですか、音の切れがよくない、低域がズバーンと出てこないです。全部のエネルギーが音に変換されていないという。−−−
”開発者に聞く スピーカーユニットのしくみ”
フォステックス 宮下清孝、佐藤晴重
ステレオ、 2002年、7月号、107ページ.