ドアが閉まる

 

ドアが閉まった
あえて振り返らずに歩いた
このまま前だけを見ていれば
背後の願望だけは生き残る

遠ざかっていくごとに
僕らは歩み寄っているんだろうか

それとも互いに

長い道のりの途中の小さな脇道みたいに
何の感傷もなく忘れてしまうのだろうか

見ずにすむなら見なけりゃ良かったのに、なんて
言えるほどの痕すら残らない
そういえば僕の生活の
ほんの一部でしかなかった

閉まったドアも
もう遥か彼方
わずかにつながった糸が
細く、どんどん細く

君が僕を知らなかったくらいに
僕も君を知らなかったんだろう