結構な娘


素敵なところへ
あの子を連れていった
「なんにもなーい」
とあの子がいった
けっこう!
俺の心にも、なにもない

きちがいの巣窟に
あの子に連れていかれた
「すっごくたのしい」
とあの子がいった
けっこう!
バーテンの髭面だけなら、俺も堪能できる

店員のお薦めを
あの子にプレゼントした
「へんな花」
とあの子がいった
けっこう!
俺の部屋でだけ、見ればいい

悪趣味なサイフを
あの子がくれた
「高かったんだから」
とあの子がいった
けっこう!
これだけで、俺は金持ちだ

楽しいことを
あの子とした
「ぜんぜんよくなーい」
とあの子がいった
けっこう!
どうせなにも生まれない

いいことを
あの子にしてもらった
「ほんとは嫌いなんだけどね」
とあの子がいった
けっこう!
これなら、俺は満足できる

詩を書いて
あの子に見せた
「くっだらない」
とあの子がいった
すばらしい!
はじめて意見が合った
ずうっと隠しておけば
俺とあの子の記念碑になる