沖縄の御嶽

⑪那智の海 那智勝浦町

 那智の海が、光り輝くのを見た時、
観音浄土信仰を思い出した。
熊野では海の彼方に理想郷・常世(とこよ)の国
があると信じられ、観音信仰が結びついて
観音菩薩が降臨する霊場、補陀落を目指す、
補陀落渡海が行われていた。

16世紀に補陀落渡海を試み、
実際に沖縄県金武村の海岸に漂着した
真言宗の日秀上人という僧がいた。

彼は金武に観音寺を創建し、
沖縄で真言宗と熊野信仰を広め、
那覇の波上宮も再興した。
熊野のこの理想郷・常世は、
沖縄で言われる祖先の住むニライカナイを思い起こさせる。