| <2007年3月23日付> |
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○「台流」という言葉があるらしい。「韓流」「華流」という言葉は日本でも通じるようだが、韓国や華人系の芸能人のブームを指す言葉だ。これをもじって作られた台流は、それほど良い意味の言葉ではないようだ。中国へ働きに行った台湾人が、中国で流浪の民になっているというのである。台湾人の中国進出は何度かの波があるが、経営者として投資を行う人たちとは別に、台湾企業から幹部として派遣された人や、自らの意思で中国を新天地と考え、職を求めて渡った人たちがいる。「台湾はもうだめだ」と吐き捨て、得意げに中国に渡った。特に2000年からの台湾の景気低迷、独立色の強い民進党政権の誕生とその後の政局混乱で、台湾に見切りをつけて中国に渡った人たちは少なくないという。それが最近では、台流になりつつあるのだというのだ。 ○当初、台湾企業は中国の現地スタッフを信用せず、幹部を台湾から送り込んだ。いわゆる駐在員だから、それなりの良い待遇を受けていた。台湾での本来の待遇以外に、手当てが付くわけだ。ところが優秀な中国の現地スタッフが育ってくると、こうした台湾から派遣される幹部が次第にいらなくなってきた。同じレベルの幹部なら、現地の人の方がコストは少なくて済むからだ。そこでこうした幹部の一部が放り出されることになる。台湾に戻ろうとしても、会社の元のポストは台湾で頑張っていた人たちに占められている。台湾に戻って他の会社に転職しようとしても、このご時勢では難しい。そこで中国に居残って、中国に進出している他の台湾企業で就職先を探すことになる。中国の現地企業だと、待遇が合わないからどうしても台湾企業ということになる。これはいわゆる「現地採用」である。彼らが要求する待遇は、現地幹部よりは高いが、台湾から派遣される駐在員より控えめである。あるいは、待遇は同レベルでも、駐在員なら駐在に同意するに当たって厚遇条件を提示するが、現地採用はそうした条件をあまり求めてこない。なぜなら、彼らは台湾に戻ることができないからだ。 ○あるIT関係会社の幹部は、現地採用の応募者の面接を担当してみて、こんな感想を持ったという。「台湾は飽和状態で、中国に行った者は帰りたくても帰れないのではないか」。彼は中国市場を担当していて出張は多いものの、自分は中国に駐在しようとしない。優秀な人間は台湾に残るものだというのが、その理由である。台湾から中国への人材流出が叫ばれて久しいが、それも転機を迎えつつあるようだ。 ○陳水扁総統が海外台独派の集会で3月4日に発表した「4つの必要、1つのなし(四要一没有)」。つまり「台湾は独立、正名(台湾名称の使用)、新憲法、発展が必要である。台湾には左右の路線はなく、独立・統一問題があるだけだ」とする主張は、驚くべき内容である。あれだけ中国が嫌っている台湾独立を主張しているのだから、これが独立宣言でなければ、何が独立宣言だというのだろうか。本来なら驚天動地の騒ぎになるはずだ。だがいつの間にか、台湾のニュースから消えてしまった。「あと1年で退任の陳水扁総統に何ができるのか」ということなのか、「またお得意の選挙での票集めが始まった」ということなのか、中国の反応もそれほどでもない。しかも総統選挙が大混戦となっているので、注目はすぐ選挙の方に行ってしまう。ということで陳水扁総統のこの発言は既成事実、つまり皆が認めたことになり、今後はここまでは言っても良いということになる。これでまた、1つのハードルをクリアしたわけだ。次の総統になる人も、中道派に見えるからずっとやりやすくなる。少しずつ免疫を作り、皆が気付かないうちにより深みに進んでいく。陳水扁総統はなかなかしたたかだと思うのだが、肝心の台湾の人たちはあまり関心を持たないようだ。 (早) |
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