『台湾通信』編集後記

<2007年5月4日付>

○このところ暑い日が続いている。湿度も異常に高い。暑いのが苦手な私にとって、また嫌な季節がやってきた。台湾では、特にこの季節の変わり目に体調を保つのが難しい。私だけかと思ったら、体力には自信がある友人もこの時期は辛いらしく、自分だけではないと安心した。 ○こんな季節になると涼しい所へ行ってみたくなるが、そんな涼しい所へ引っ越したスタッフがいる。引っ越した先は台北県新店市の山奥だ。山奥といっても、台北市の中心からでも車で40分もあれば行ける。市内から新店から観光地の烏来へ向かう道路の途中にある、古くからの団地である。作家や芸術家、ジャーナリストなどといった、いわゆる文化人が好んで住む所だ。外国人も多いらしい。緑に囲まれていて、都会の喧騒から離れているので、静かに仕事をするのに向いているからだろう。ここに引っ越したばかりのスタッフ、昼間は会社にいるので分からないが、朝晩はひんやりしているとのこと。バイクで登っていくと、気温がぐんぐん下がっていくのが分かるほどだという。

○彼女は台湾の人たちからさんざん、「そんな所に引っ越すのはやめなさい」と止められたようだ。まず、日本の都会だと通勤圏だろうが、30分以上の通勤は台湾の人たちにとって受け入れがたい遠さである。彼女の引っ越し先までの途中の道は、ラッシュがひどい。しかもこの一帯は雨が多く、湿気がものすごい。しかしそれでも引っ越した彼女は、バスで1時間余りをかけて通うようになった。今のところ、山暮らしを満喫しているようだ。最近はホタルの季節である。この一帯のホタルは、ここ1カ月ほどが見ごろなのだそうだ。町内主催のホタル祭りも行われていて、夜になると連れ立ってホタルを見に行く人たちがいる。ホタル狩りでは、ホタルを驚かさないように懐中電灯に赤いセロファンをかぶせるそうだ。

○このほかにも、リスや天然記念物の鳥を見掛けることがある。もちろんそんな場所だから、毒ヘビもいるはずだ。またこの一帯の山は、桐の花の名所でもある。5月が桐の花の最盛期だから、ちょうど今ごろである。「五月雪」と呼ばれるように、真っ白い花が落ちて地上に敷き詰めるとまるで雪が積もったように見える。高い木の上から花が落ちてくる時は、トンボのようにくるくる回りながらゆっくり落ちてくる。たくさん落ちてくると本当に雪が降っているようだ。何度かこの近くに山歩きに行ったことがあるが、幻想的な景色に見とれるほどだ。ここは烏来温泉にも近いので、いつでも温泉に入れる。台北の近郊には、こんな住宅地もあるのだ。

○こんな環境のところに住んでみたいとも思う。しかし、私が住んでいるのは市街地のコンクリートジャングルだが、オフィスまで歩いて10分。乗り物が必要ないという魅力は捨てがたい。ウォーキングは近すぎるほどだ。雨が降ったらバスで1駅。台湾ではビルの歩道側が通路になっていて雨に濡れなくて済むから、大降りでなければ傘もいらない。夜は台北101が目の前に見える。やはり今のところ、自然はたまに触れるだけにしておこう。(早)



このウエッブサイト(URL: http://www.iris.dti.ne.jp/~taitsu/)において公開されているドキュメント及びデータは、特に明示されている場合を除き、その著作権は通達翻譯出版有限公司にあります。無断複製、転送、配布、転載を禁じます。
Copyright(C) 通達翻訳出版有限公司『台湾通信』 <taitsu@ms17.hinet.net>