『台湾通信』編集後記

<2007年6月15日付>

○長雨だったが、ここ2日ほど雨がなく、猛暑である。予報では梅雨前線がまた下がってくるという。あす(16日)からは端午節の4連休に入る。 ○最近、中国のニュースに触れることが多くなった。簡体字で書かれた、中国で発信されたニュースだ。遅まきながら改めて気付いたのは、中国で書かれている中国語と台湾で書かれている中国語の違いである。旧字体(台湾では「正字」、中国で言う「繁体字」)を使う台湾の人たちは、中国で使われている簡体字に拒絶反応を示す人が多いが、実はこれは慣れてしまえばどうということはない。台湾の人たちだって、旧字体の漢字を書くのが面倒な時、よく略して書いているから、想像すれば大部分の簡体字は読めるはずだ。問題は用語である。これがかなり違っている。例えば、中国に「同比」ということばがあって、うちの台湾人スタッフに意味を聞いたのだが、明確に答えられる者はいなかった。これは、昨年同期比という意味だが、台湾では「比去年同期」と書くので、こちらの方が日本人には分かりやすい。こんな簡単な言葉でも、通じないのである。

○「台式電脳」とい書かれているのを見て、中国を訪れた台湾の記者が台湾式コンピュータと勘違いしたというのは、以前にこのコーナーで書いたことがある。台湾では「卓上型電脳」と書き、デスクトップ型パソコンのことだ。台湾式ではない。この記者は、「日式料理」と同じように、台式を台湾式と勘違いして喜んだのである。実際、台湾の人に「台式電脳」とは何かと質問して回ったが、正しい答えは返ってこなかった。半導体チップは中国で「芯片」、台湾では「晶片」。最近流行の太陽エネルギーは中国で「光伏」、台湾で「太陽能」。ハイテク用語もかなり異なっている。こう比較してみると、いつも触れていることもあるだろうが、台湾式の中国語の方が日本人の感覚に近いようである。逆に言うと、台湾の中国語の中には台湾語が混じっていたり、日本語が混じっていたりするので、中国の人が分からない場合も多い。「欧巴桑」(おばさん)などという「中国語」、中国では通じなかった。同じ中国語といいながら、台湾の人たちと中国の人たちは、本当に話が通じているのだろうかと疑問を持ってしまう。政治でもそうなのかもしれない。

○だが、台湾と中国のニュース記事で、共通点もある。記事が始まる前に付く枕言葉が長いこと。最初に要点を書いて、後ろで同じことを繰り返して書くこと。こうした記事作成の手法は日本と違っていて、おそらく中国語系の人たち独特の共通の思考回路によるものだ。そうした中で最も顕著なのが、数字に対する無頓着さだ。増減を比較しているのに、比較の対象が書かれていなかったり、どう計算しても数字が合わなかったりということが、どちらの記事にも多い。中国語というのはロジックを追求する言語ではなく、非常に情緒的であるのが特徴のようだ。記事の中に説教くさいところが多いのも共通している。やたらに「自国」を褒め称えようとするところも、対象となる「国」は違ってもやはり似ている。

○さて、2つの中国語の違い。中国での用語に慣れていないので、インターネットを頻繁に使って調べなければならない。インターネットで検索しようとする時、台湾の旧字体だと多くが日本語のフォントにあるため、大部分は日本語で漢字を入力すれば検索できる。しかし中国の簡体字であれば、字体が全く違うので日本語で入力できない。いちいち簡体字の入力方法に切り替えて、中国で使われている中国語の発音記号「ピン音字母」で打ち込むしかない。この点、台湾の中国語の方が、日本語のOSを使っているわれわれにとっては便利である。また、中国でのインターネット事情はそれほど良好ではないようで、検索すると非常に遅い場合がある。台湾から見ているせいだろうかと思っていたら、実は中国でやっても遅いのだそうで、しばしば止まってしまって動かなくなるそうだ。(早)



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