『台湾通信』編集後記

<2007年9月28日付>

○台湾の政治が再び、特別費問題でごちゃごちゃになっている。今度は民進党の呂秀蓮副総統と游錫コン・民進党主席、陳唐山・国家安全会議秘書長が起訴された。陳水扁総統の国務機要費事件、国民党総統候補の馬英九氏の台北市長時代の特別費事件と同様の問題である。民進党総統候補の謝長廷氏と副総統候補の蘇貞昌氏は起訴されなかった。また国民党総統候補の馬英九氏は一審で無罪判決を受けたが、果たして二審でどうなるか。

○台湾での特別費というのは、行政首長に給与の他に支給されるもので、一種の交際費だが、交際費は別に項目がある。非常に不思議なものだが、変則的な給与だともいえる。この特別費を公務に使い切らないで自分のポケットに入れたままにして返さなかったり、個人的な買い物に使ったりすることは今に始まったことではない。

○最近、政府系のある財団法人に勤める私の元同僚は、その組織の責任者と海外出張に行った。その責任者は、同行した部下たちに豪勢なカニ料理を振舞った。これを特別費で落としたのだから、公私混同といわれれば問題になるだろう。特別費問題に関わる公職者は6500人以上に達するという。そのすべてを個別に捜査していたら大変なことになる。与野党を問わず台湾を代表する政治家がこの問題で汚職の犯罪者にされる可能性があるというのでは、制度や慣例そのものに問題があることは間違いない。こんなことが総統選挙の焦点なってしまうのは、何とももったいない。台湾では内向きの対立がいつまで続くのか。世界から取り残されるばかりだ。

○陳水扁総統が進めている台湾名義による国連加盟運動。国連総会では議題として取り上げられなかったが、日本のメディアでも台湾の国連加盟問題を初めて紹介したということころは少なくないようだ。特にアメリカが反対しているということで、取り上げられやすかったようだ。いろいろと批判はあるが、台湾の宣伝として効果を上げているのは確かだ。結果はともかく、声を上げ続けることが大切だということか。野球のフォークボールを握る形の国連加盟運動のマーク。オィフスの隣にある法務部の施設に掲げられていた。国営台湾電力の電気料金の請求書を見ると、ここにも印刷されているので驚いた。政府挙げての宣伝が展開されている。だが「ブタの顔」と呂秀蓮副総統からもけなされたこのマーク。米大リーグのヤンキースで活躍している王建民投手の決め球のフォークボールをあしらっていることは台湾の人には分かるだろうが、外国人にそんなことが分かるはずがないではないか。日本で王建民投手の名前を知っている人は、よほどの大リーグファンだろう。台湾社会に充満するこの種の内向きな自己満足、何とかならないのだろうか。

○25日の中秋節。台北では月をはっきり見ることができた。中秋節を過ぎて空には秋の気配が感じられるが、相変わらず気温が高い。(早)



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