『台湾通信』編集後記

<2007年10月5日付>

○公共電視(公視)の時代劇「乱世豪門」(英語タイトルThe War of Betrayal 1985)が10月6日(土)午後8時30日に始まる。全20回。映画監督と知られる万仁さんが監督を務めた。日清戦争(甲午戦争)前後の台湾を舞台としたドラマだ。日清戦争によって台湾は日本に割譲される。この時代を背景に、台湾の人たちがこの事態にどう対応したかを、実際の歴史と虚構の愛情ドラマを組み合わせて語られている。万仁・監督が3年を掛けて完成させた作品だ。その試写会に参加した。見たのは第1回だけだが、まるで映画を見ているようで、思わず引き込まれる。これまでの台湾のテレビドラマには見られないレベルの高さを持っている。台湾のテレビには武侠物といって、日本で言うところのチャンバラ物は多いが、本格的な時代劇は見たことがない。しかも、台湾を舞台とした時代劇はこれまでなかったようだ。日本とも関係の深い内容なので、ぜひお勧めしたい。

○日本が台湾を植民地にしたのが、日清戦争後の1895年のことである。当時の服装、風俗、町並みが再現されていて、それを見ているだけでも新鮮だ。テレビドラマだからどれほどの忠実さかは分からないが、監督はこのあたりに非常にこだわる人だから、かなりの程度は実現できているのだと思う。弱体化した清朝、日清戦争、台湾割譲、台湾民主国、日本統治と目まぐるしく移り変わる時代、台湾の人たちがこの時代の変動にどう対応したのかを、台北の大商人の家族を中心に描いている。主役の1人は台湾人で台湾民主国の副総統だった丘逢甲。単身で日本軍を迎えに行ったあの辜顕栄も登場する。現在の台湾が形成される上でも非常に大切な時代である。それがどう表現されるのか、これからの放送が待ち遠しいほどだ。もちろんこうしたテーマを政府の公共テレビがドラマにすることは、台湾の主体性を強調する民進党政権の「思想教育」の一環であることはすぐ分かる。それとは別に万仁・監督は以前からこのテーマを温めていたそうだが、公共電視の要請を受けて映画用のシナリオをテレビドラマ用に書き換えたのだそうだ。

○台湾を舞台にしたドラマだが、撮影はすべて中国で行われたそうだ。台湾には当時の建物は残っておらず、そのため中国の映画村を使い、一部の出演者は中国の現地の人を使った。最も、当時の台湾ももともと清朝の一部だったのだから、中国の当時の映画セットで撮影できるわけだ。かつての台北城の城壁など今は跡形もないが、中国のセットに「台北城」と書かれていたのは面白かった。西太后や李鴻章などが出で来る紫禁城も、原寸大のセットだという。中国の映画産業はなかなかのものである。以前、台湾にもメディアセンターの構想があったが、残念ながら進んでいない。もっとも台湾には、中国と違ってそれほど大きな施設を作る土地もないだろう。台湾の場合は、やはり制作力で勝負するしかないようだ。(早)

≪訂正≫ 前回9月28日の「編集後記」で王建民の持ち球を「フォークボール」と書きましたが、「シンカー」の誤りでした。おわびして訂正いたします。



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