| <2007年11月23日付> |
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○最近、台湾のいろいろな新聞を見比べていると、一般紙では『聯合報』と『自由時報』の政治関係の記事が似ているような気がしてきた。この2つの新聞、『聯合報』は1951年創刊と歴史が古いが、『自由時報』は1980年に創刊された後発である。『聯合報』は統一派・強い中国人アイデンティティー・国民党寄り、『自由時報』は独立派・強い台湾人アイデンティティー・民進党寄り、と位置付けられており、主義主張は正反対である。当然、それぞれにファンがいる。しかしその正反対の両紙が取り上げる政治ニュースの題材が似ているのである。おそらく、両派の人たちが感心を持っている課題が同じなのだろう。当然、政治的な主張は違っているから記事の書き方は違うが、取り上げるポイントが同じなのである。左翼と右翼は正反対だが、極左と極右になってくると、ぐっと円を描くように近付いて考え方が似てくる傾向がある。統一派と独立派も同じことが言えるのだろうか。台湾の3大紙のうち、経営が最も苦しいといわれる『中国時報』は、統一派傾向は強いが、ライバル紙と差別化する必要があるためだろうか、少し編集方針が異なっているようである。 ○ところで台湾の新聞だが、私が勝手にランキングを付けると、一般紙では『聯合報』『中国時報』『自由時報』の順だと思う。独立派の『自由時報』ファンからはおしかりを受けるだろうが、主義主張は別としてみると、記事の質の高さ、つまり取材力、記事を書く際の文書力・構成力、分かりやすさなどで、『聯合報』が圧倒的に上回っているような気がする。歴史が物を言うのだろうか、すっきりして読みやすく、必要な情報がきちんと入っている。 ○また経済記事では、2大経済紙を比較すると『経済日報』(『聯合報』の姉妹紙)、『工商時報』(『中国時報』の姉妹紙)となる。やはり『聯合報』系が上だ。そのほかの新聞では、ゴシップ紙の『蘋果日報』の経済面は株の投資家向けだが、なかなか頑張っている。『電子時報』は専門紙だが、記事が非常に読みにくくて間違いが多い。『聯合報』『中国時報』の経済記事は、それぞれの姉妹紙と大部分が重複している。 ○それにしても、同じ中国語の新聞でも、中国の新聞の読みにくさは台湾の比ではない。何が読みにくいかというと、記事の内容が要領を得ないのだ。繰り返しが多く、整理されていないのでゴチャゴチャという感じが強い。記事作成のセオリーに従っていないのである。用語の説明がなかったり、前後の事情が的確に説明されていなかったりで、必要な情報が入っていないためその記事だけを読んでいては意味が良く分からないものが多い。しかも説教くさいものが多い。面白いのは、しかも「記者が○○に出向いて取材したところ」とか「電話をかけて○○に質問したところ」などという余計な記述があって、思わず笑ってしまうことがしばしば。そのために記事の信頼性を下げてしまっている。 ○『聯合報』と『自由時報』の政治関係の記事が似ていると書いたが、1つの例は最近の馬英九氏訪日の際の記事だ。日本を訪問している国民党総統候補の馬英九氏は22日、「自分が総統に当選した場合、任期内に中国の統一問題を討論しないし、独立にも向かわず、現状を維持する」と語った。この両紙ともこの発言を取り上げている。ただし、独立派の『自由時報』は大喜びで大きく取り上げ、その記事の上の方に「言っていることがコロコロ変わる」という民進党総統候補の謝長廷氏の批判を大きく取り上げた。これに対して『聯合報』はやはり取り上げてはいるのだが、「自分は知日家」という発言の方をタイトルにして、統一派には不都合な「統一問題を討論しない」発言は記事の中に埋もれさせていた。自分たちの立場からは不本意な発言でも、取り上げているところは感心する。なぜか『中国時報』は、この重要発言を取り上げてもいない。 ○それにしても、馬英九氏の訪日は彼が「反日」であることに注目が集まったようだ。博士論文が釣魚台(尖閣諸島)なのだからそう見られるのも仕方がないが、本人がいくらそうではないと言っても信じてもらえないのは気の毒である。馬英九氏を反日、親日で論じるのはナンセンスのような気がする。 ○馬英九氏の日本訪問は今回が8回目というから、決して多くはないが、少なくもない。以前、台湾を訪れた自民党の若手国会議員と国民党との交流の場にもぐりこんだことがあるが、当時は国民党副秘書長だった馬英九氏も出席していた。この時期、馬英九氏は海外政党との交流を担当していて、日本の政治家ともかなり接触していたらしい。本当に感情的な反日であれば、こんな場には出てこないだろう。馬英九氏は中国人アイデンティティーが強い外省人であることは間違いないが、それと反日をすぐに結びつけることは、彼を誤解することになるだろう。中国を敵視したとしても、「敵の味方は敵」の論理は必ずしも通用しない。(早) |
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