『台湾通信』編集後記

<2008年01月25日付>

○野党の李明博氏が大統領に当選した韓国。経済政策での現与党に対する国民の不満をバックに、企業のCEO(最高責任者)としての経験を武器に当選した。その韓国へ、韓国問題に詳しい日本の友人が訪れた。その感想は、「3年近くぶりにソウルに行ってきました。皮膚感覚の経済の悪さは相当なもので、『どうなるかは分からないが、少なくとも今よりはまし』と誰もが口をそろえるので笑ってしまいました」というもの。

○これを聞いて思い出したのは、先の立法委員選挙で民進党が大敗したことについて、台湾の友人が語っていた言葉だ。台湾も韓国と似た課題を抱えていて、景気低迷で現政権に対する不満が高い。そうした中で彼はこう語る。「民進党が負けるのは構わないが、『政権が変われば経済が良くなる』と考えている人が本当にたくさんいる。自分で自分の生活を良くしようとする努力をするのが本筋であるはずだが、それをしないで政治が変わりさえすれば生活は良くなると期待している。こっちの方が問題だ」。台湾も韓国も、似たようなものである。

○政権が変わると本当に良くなるのか。確かに国民党が大勝したあと、株式市場も2日間だけ祝賀相場が現れたが、その後はご存知の通り悲惨である。世界的な経済の動きには、さすがに逆らうことができない。「政権が変われば経済が良くなる」ほど世の中は甘くないということだろう。

○立法委員選挙が終わって、総統選挙が本格化してきた。両候補が相次いで具体的な政見を発表している。立法院を国民党に牛耳られた以上、民進党が勝つとすればバランス、監督機能を強調し、国民党の一党肥大化にストップを掛けるべきだという点を強調するしかないだろう。それがどこまで有権者の共感を得ることができるのか。この8年間、民進党の総統に野党主導の立法院という状況が続き、政治が停滞している。これ以上、総統と立法院との「ねじれ」が台湾で容認される可能性は高くない。今のところ民進党総統候補の謝長廷氏には不利な材料ばかりだが、形勢逆転の手はあるのだろうか。(早)



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