| <2008年03月21日付> |
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○いよいよあす(22日)は、総統選挙の投票日である。「今回の選挙の争点は」と、日本から取材に来た友人に聞かれて、ふと考えてしまった。そこで、「台湾の内部は政治・経済を含めてがたがたになって苦しみが続くが、それでも中国とは絶対に統一したくない」(民進党総統候補の謝長廷氏を支持)と、「短期的には台湾経済が活性化されて生活が潤うが、その代わり中国との統一が早まるのは仕方がない」(国民党総統候補の馬英九氏を支持)の違いではないか。このように答えておいたが、こんなところでどうだろう。極端に分けすぎるだろうか。 ○最終局面で馬英九氏が提示した「両岸共同市場」が、謝長廷氏から「一中(1つの中国)市場」というレッテルを張られ、それが奏効して馬英九氏に対する警戒感が広がっているようだ。この時機にたまたまチベットで暴動と武力鎮圧が発生し、中国のイメージが大きくダウンした。台湾が中国と統一すると、チベットと同じ運命が訪れるという危機感が生まれる。中国の温家宝・首相までそれを裏付けるような発言をしてしまった。こうなると馬英九氏の「一中市場」は魅力がなくなってしまう。馬英九氏は北京オリンピックボイコットまで持ち出して中国を批判。台湾経済は世界中と付き合っていて、中国はその一部にすぎないなどと発言とした。やはり台湾の総統選挙は「中国との関係」に集約されていくようだ。ただそれが、民進党の政権運営でのふがいなさをカバーできるかというと、それほど楽観的ではない。「馬英九氏は良い」ではなく、「民進党は不合格」という判断はあり得る。 ○投票日最後の日曜となった16日、両陣営がそれぞれ自称100万人以上参加と発表した大型活動を開催した。好転に恵まれて、台湾各地でなかなか盛り上がったようだ。そのうち台北市での、両陣営の活動を見に行った。国父紀念館での民進党の集会はそれなりに盛り上がっていた。ロック歌手で民進党支持のFreddyが歌って盛り上げ、ご本尊の謝長廷氏が登場する。なかなか感動的な集会だった。次に国民党の方に向かったが、場所がよく分からない。私と同じような人がたくさんいて、誘導していた国民党関係者にどこに行けば良いのか質問している。結局、松山たばこ工場跡から八徳路を通って総統府前という、分かりにくいコースを歩いていることが分かった。そこで先回りしてデモの先頭を待つと、お行儀良く比較的に静かに淡々と歩いている。1車線ほどを占拠しただけで、隊列が長く続いている。終点にはステージが設けられて、バラエティー番組の司会者がしゃべったり、歌手が「愛している」などという内容の歌を歌ったりしている。民進党に比べてだらけた集会である。とにかく企画が下手である。面白くないので家に帰ろうとし、捷運(MRT)の忠孝復興駅の乗り換えようとしたところ、驚いた。 ○忠孝東路の方が非常に騒がしいのでそちらを見ると、民進党のデモがものすごく膨れ上がっていたのである。道路の片側車線をすべて占拠して、次々に人が押し寄せてくる。それが沿道の人たちと呼応して、大いに盛り上がっている。デモを見掛けて途中から参加したという人たちもいて、次第に人数が増える。沿道で旗を振っていた男性が、選挙での負け続けなどで「民進党の支持者はあまりにも長い間、鬱屈(うっくつ)がたまっていたからね」と言う。とにかく、皆が楽しそうなのが印象的だった。国民党の活動に比べて、若者や子供連れが多いのが目立った。この日の活動は、圧倒的に民進党の勝ちである。 ○だからといって、民進党が勝ちとは限らない。街頭運動でのし上がってきた民進党は、こうした集会はうまい。国民党の集会は面白くないから、芸能人で場を持たせるというのは以前から変わらない。ただ、李登輝・前総統が当選した1996年の総統選挙でも、集会には全く緊張感がなかった。あとから考えてみると、勝ちを確信した余裕だったのだろう。今回の民進党の盛り上がりを見て、「こんなに大勢の支持者がいるのに、民進党はなぜしっかり政治ができなかったのだろう」と感慨深いものがあった。この8年間、民進党がもう少し台湾の人たちが満足できる政治をやっていれば、ここまで選挙で苦労しなくても良かったのに。しかしこれほどボロボロの民進党にも、これだけの支持者がいるのである。この人たちは台湾人アイデンティティーを持ち、台湾の自主独立を願っている。国民党の馬英九氏がもし総統になったとして、この人たちの思いを無視して政治を進めたら、台湾は大変なことになるだろう。 ○日本としての感心は、やはり中国である。だから、民進党の謝長廷氏の当選を願っているのだとか。台湾が中国と統一しないことが安全保障の上で重要だからだ。選挙結果は明日にならないと分からないが、そんな期待を抱いていてもし馬英九氏が当選するとすれば、「統一派、反日の外省人」である馬英九氏と日本はどう付き合うのだろうか。不安である。(早) |
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