『台湾通信』編集後記

<2008年03月28日付>

○総統選挙が終わった台湾。今のところ落ち着いている。祝賀ムードというより、ほっとしたという感じだろうか。ところで、選挙が終わったのに、最近、それぞれの候補の選挙ソングを聞いている。投票前日の選挙最終日に、それぞれの陣営の雰囲気を見ようと選挙事務所を回ったところ、選挙ソングのCDを入手できたのだ。そのうち民進党の謝長廷氏の選挙本部では、CDが100元で売っていた。「義売」と買いてあったので、選挙資金の一部になるのだろう。取りあえず買っておいた。次に国民党の馬英九氏の選挙本部に行くと、選挙ソングのCDが積み上げてあって、事務所の人が「どうぞどうぞ」と、ティッシュと一緒に渡してくれた。ただである。やっぱり負けそうな民進党の方には資金がないのだろうかと、両陣営の違いを感じてしまった。

○ところが持ち帰って聞いてみると、謝長廷氏のCDの方は選挙ソングやそのほかの歌など13曲が入っていて、きちんと編集されている。民進党の集会で必ず歌われ、今回の台北での最終集会でも解散の時に流されて皆が歌っていた「伊是【サ、くちへんに自】的宝貝」(あなたは私の宝物)も入っている。これに対して馬英九氏のCDは8曲と少ない。しかも、選挙ソングも含めてすべて葉啓田が歌う台湾語演歌である。葉啓田の「愛【てへんに併のつくり】才会贏」(頑張れば勝つ)は国民党の選挙集会では必ず歌われる曲だ。このCDはすべてこの調子の歌だった。もらっておいて申し訳ないが、国民党のCDはさすがに途中で聞くのをやめてしまった。やはり100元の違いでも、違いは違いである。これはあくまでも私の個人的な音楽趣味であり、どちらを支持することとは違うので誤解なきよう。

○今回の選挙で使われた歌では、「逆転・勝」が知られている。謝長廷氏支持を表明したロックグループのリードボーカルFREDDYが作った曲である。普段はすごい化粧をして歌う、ビジュアル系のヘビメタル系ロックグループ「閃霊」を率いるFREDDY。若者には知られていたようだが、今回の選挙で年配の人にも知られるようになった。このFREDDY、選挙では比較的に普通の格好をして「逆転・勝」と書かれたTシャツを着て歌っていた。3月16日の国父紀念館での集会で彼が歌っているのを見たが、非常に乗りが良くて会場が盛り上がる。年配の人もリズムに合わせて腕を振り挙げている。これまでになかったような、異色の選挙ソングのである。この歌もなぜか選挙後に編集部のスタッフがCDを貸してくれたので、繰り返して聞いているが、なかなか飽きない。奥付を見ると、オカリナ謝長廷、OS蘇貞昌と書かれているのでおかしかった。

○国民党は演歌や歌謡曲の世界。選挙集会はテレビのバラエティーショーの司会者がやっている。一方の民進党の集会はロックフェスティバル。良しあしや台湾の人たちにどちらが受けるかは別として、明らかにこの2つの政党の文化は違っている。立法委員選挙に続いて総統選挙でも大敗し、今後が心配される民進党だ。しかし台湾は現在、この2つの政党が政治を進めていることは間違いない。2000年の総統選挙に敗れてどうなることかと思った国民党は、馬英九氏の下で復活した。政治運営で不合格点を付けられた民進党だが、せっかくのこのような文化が民進党と共につぶれていくのはもったいない。(早)



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