『台湾通信』編集後記

<2008年08月01日付>

○このところの台湾での自転車ブームはものすごい。住んでいる所の向かいに台湾最大のメーカー「GIANT」の自転車屋があるのだが、店を開けると客足が途切れない。新品の箱が毎日並んでいる。台湾全土の自転車屋では品切れ続きで、欲しくても入荷待ちなのだという。異常なブームである。この自転車ブーム、この2〜3年のことだが、今年に入って爆発的に広がっているようだ。しかも交通手段としての自転車ではなく、スポーツとしての自転車だから、購入する自転車の価格も決して安くない。スポーツだとファッション性が重視されるから、少し高い買物でもちゅうちょしない。自転車屋によると、2万〜3万元が普通で、数十万元もする機種も出ているという。株式や不動産が値下がりし、不況が叫ばれる台湾で、唯一好調を見せている市場である。

○自転車の生産大国だった台湾で、かつては自転車を乗る人は少なかった。交通手段とするには、台湾の交通・道路事情があまりに悪いからだ。それが健康ブームと郷土意識の高まりによる自転車専用道路の整備などによって、急に消費国に変わってしまった。ただし、やはり車道を走っている自転車を見ると、相当な危険を冒していると感じてしまう。最近では自転車による運動障害を紹介する報道も行われ、ブームは次の段階に入りつつあるようだ。熱しやすく冷めやすい台湾の人たちのこと。ブームに乗って買ってはみたものの、多くは家の中でほこりをかぶることになるのでは。スポーツ用サングラス・メーカーの関係者と話す機会があった。確かに自転車ブームに期待して主力を自転車用製品に置いているそうだが、このブームは今年9月ごろに転換期を迎えることになるという予測があるそうだ。要観察である。確かに9月は夏休みが終わり、学校が始まる時期ではある。

○さて、最近引越しをして捷運(MRT)で通勤するようになったが、この公共交通機関の利用者がやたらに多い。石油価格の上昇のため自分で車を運転するのをやめている人が増えているというのは本当らしい。発表されたばかりの今年上半期のMRT利用者の統計によると、台北市の場合が延べ2億1960万人で、昨年同期に比べて9.1%増加だった。地球温暖化の防止には役立っている。台北のMRTは、利用者が多いといってもまだまだ隙間があるので、本が読める。これはMRT通勤の利点である。

○ところで台湾の人たちは、降りる客がいるのに乗り込むからお行儀はあまり良くない。しかし上海から帰ったばかりだと、その台北ですらはるかにマナーが良く感じる。上海の場合、ドアが開くと一斉に乗り込んでくるので、降りる客はその流れに逆行して急流をかき分けて泳ぐように進まないと降りそびれてしまう。皆が生きていくのに必死、という感じが伝わってくる。台北にそこまでの緊張感がないのは、社会がそれだけ落ち着いているせいなのだろう。そののんびりさは良いのだが、それにしても台湾の人たちは人込みの中で歩くのが遅い。(早)



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