『台湾通信』編集後記

<2008年10月24日付>

○今週、一番の話題となったのは台湾を訪れていた中国側の対台湾窓口団体「海峡両岸関係協会」の張銘清・副会長が21日、訪問先の台南市で抗議の市民に取り囲まれてもみ合いとなり、転倒したことだ。中国の大官としてこれほどの屈辱を受けようとは本人も思っていなかっただろう。気の毒な限りである。ただその後、台湾を離れるに当たって台湾の人たちの親切に感動したなどと言って涙ぐむところなどは、大した役者である。公開の発言とは別に、彼がこの事件について本心ではどう思っているのか、ぜひ知りたいものである。

○この事件、日本のメディアでは「暴行」を受けたと表現しているところが多く、中国のメディアも暴行として非難しているが、これはどうだろう。ビデオ画面を見ている限り、民進党の市議や支持者たちと「もみ合っているうちに転んだ」というところではないだろうか。暴行というとボカボカに殴られた印象があるが、必ずしもそうではないようだ。報道というのは、やはり事実から離れていく傾向がある。

○張銘清・副会長が乗った車の屋根に飛び乗ってドンドンやっていた男がいたのは茶番だが、張銘清・副会長の今回の台湾訪問は最初から不穏な空気が流れていた。今回の目的は学術シンポジウムへの参加だったが、抗議の声を上げて会場から引きずり出された学生もいた。何せ場所が台南である。ここが民進党の勢力が強いところだということ、彼が知らないはずはないだろう。それなのにのこのこと観光に出掛けるというのも、無用心なものである。

○ともかく、台湾と中国との関係はそう簡単に片が付くものではないことを、この事件は示している。台湾では、中国に対して強い反感を持っている人が少なくないのだ。しかし、せっかく粉ミルク事件で中国が悪者になっていたのに、この事件で民進党が悪者になってしまった。馬英九政権発足後の景気低迷で国民党への不満が高まっているというチャンスなのに、こんなことをするから民進党が再び自ら評判を落とすことになった。蔡英文・民進党主席が謝っているのに、台南県長(=県知事)選挙での民進党の公認を争っている2人の候補がこの事件について、中国は敵だから「ざまを見ろ」などと語ってひんしゅくを買っている。支持者向けの発言だろうが、政党としての統制から見るとなかなか難しいものがある。

○きょう(24日)、台北は雨になっている。これまで気温が摂氏30度を超える暑い日が続いて参っていたが、きょうは気温が下がるそうだ。ただし今のところ、湿度が非常に高くて気持ちが良い天気とはいえない。明日は民進党が台北で反馬英九総統デモをやるが、天気が悪いと街頭デモは辛いだろう。(早)



このウエッブサイト(URL: http://www.iris.dti.ne.jp/~taitsu/)において公開されているドキュメント及びデータは、特に明示されている場合を除き、その著作権は通達翻譯出版有限公司にあります。無断複製、転送、配布、転載を禁じます。
Copyright(C) 通達翻訳出版有限公司『台湾通信』 <taitsu@ms17.hinet.net>