『週刊台湾通信』
第8911号(2000年3月23日発行)

主な内容

民進党の陳水扁候補が当選―台湾総統選挙―初の政権交替、改革が加速へ

リンクがはってある記事は、抄録(編集後記は全文)をご覧になれます。


[日本関係]
◎高速鉄道機電、価格交渉が硬直状態
日台貿易活況、空輸料金が値上がり
◎台湾のNBメーカー、鳥取三洋に投資
聯華電子、日立との合弁会社株40%を取得
◎シャープ、台湾への15インチTFT供給停止

[経 済]
◎台湾高鉄100億元増資、申し込み活発
2000億元の国家金融安定基金が成立
廃棄家電の回収費、最高180%引き上げ
◎台湾塩業のハイテク進出が難航
◎台南科学園区、海水の淡水化を検討
◎茂【石夕】、5年内に3つの12インチ・ウエハ工場
◎華城電機、台電から大型変圧器の生産受注
台湾への投資、大幅に成長
◎13日の株価指数、前日比617.65ポイント下げる
◎株価暴落、与野党が相互批判

[大陸関係]
大陸の朱鎔基首相、台湾独立反対を強調

[国際関係]
◎王経済部長「WTO加盟は今年第4四半期」

[政 治]
李遠哲院長、陳候補の国政顧問就任を承諾
奇美の許文龍董事長、陳水扁候補を支持
◎李登輝総統、「李登輝路線」を否定

[生活社会]
ゴミ捨て有料へ、専用ゴミ袋1リットル0.5元に
◎台湾北部地区の前売りマンション販売状況
◎学生の15%がアル中予備軍

<編集後記>



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【特集】
総統選挙
民進党・陳水扁候補当選
台湾の発展は加速
焦点は中台関係

台湾の総統選挙、陳水扁候補(民)が当選

 中華民国第10代総統・副総統選挙は3月18日に投票が行われ、即日開票の結果、陳水扁・呂秀蓮コンビ(民進党)が497万7737票を獲得(得票率39.30%)して当選した。これで、国民党の55年に及ぶ台湾での政権に終止符が打たれ、中華民国の憲政史上初めての政権交代となった。陳水扁氏は5月20日に開かれる総統就任式で、正式に総統となる。陳水扁氏は、李登輝総統に次いで中華民国の国民による直接投票によって選出された2人目の総統。
 当選した陳水扁氏は、民進党中央党部で開かれた記者会見で、「最大の善意と決意を以って、大陸当局と全方位にわたる建設的な意思疎通、対話を進めたい」と強調した。さらに国家安全および国民利益の保障を前提に、両岸の直接通行、通商、投資、和平協定、軍事相互通告システムなど各項目について協議を進めたいと語った。また陳水扁氏は、5月20日の総統就任式の前に呂秀蓮氏と大陸を訪問し、「和解と意思疎通の旅」を行いたいと述べると共に、大陸の江沢民・国家主席、汪道涵・海峡両岸関係協会長の訪台を歓迎すると語った。
 陳水扁氏は、今回の選挙で両岸の緊張が誘発されたことを指摘し、総統就任後は、超党派によるチームを設置し、李遠哲・中央研究院長をその召集人とし、各党派の意見を取り上げ、国民のコンセンサスを集めて、両岸対話の参考にしたいと抱負を語った。
 中央選挙委員会の統計によると、今回の総統選挙の有権者数は1546万2625人、投票者数は1278万6671人で、投票率はこれまで行われた各選挙の中で最高の82.69%に達した。無効票数は12万2278票で、前回の総統選挙での11万7160票を上回った。
 各候補の得票数および得票率は、@陳水扁・呂秀蓮コンビ(民進党。497万7737票、39.30%)、A宋楚瑜・張昭雄コンビ(無所属。466万4932票、36.84%)、B連戦・蕭万長コンビ(国民党。292万5513票、23.10%)、C許信良・朱恵良コンビ(無所属。7万9429票、0.63%)、D李敖・馮滬祥コンビ(新党。1万6782票、0.13%)。
 中央選挙委員会は3月25日に選挙結果を公告し、31日に当選証書を発行する。

解説
台湾通信 早田健文

国民党の分裂で民進党が浮上
 まるで前々回の、1994年の台北市長選挙である。  この選挙では民進党のホープである陳水扁候補(本省人)、国民党の現職市長だった黄大洲候補(本省人)、新党の人気政治家の趙少康候補(外省人)、この3候補が争った。
 問題は新党の趙少康候補である。新党は李登輝総統に反発した国民党の外省人少壮派の政治家が国民党を離党して組織したもので、外省人を主体としていた。しかも外省人である趙少康候補はマスコミの寵児であり、台湾全土での最高得票で立法委員(国会議員)に当選した人気政治家だった。このため外省人、それに政治にそれほど関心も理解もないが政治の現状を嫌い、国民党、民進党の2大政党を嫌う若い世代を引き付けた。
 国民党の票は新党に大きく奪われ、国民党候補の当選が難しくなった。すると、こんどは外省人の当選を阻みたい国民党支持票が民進党に多く流れた。これを「棄黄保陳」(黄をあきらめ、陳を守る)という。こうして、国民党の支持基盤が、民進党と新党によって大きく食い込まれ、特に国民党から分裂した新党側からの食い込みが大きかった。結果は陳水扁候補43.69%、黄大洲候補25.89%、趙少康候補30.17%。こうして首都に民進党の陳水扁市長が誕生したのである。国民党と新党を合わせた本来の国民党票を合わせると陳水扁候補を上回るが、国民党が分裂して3者鼎立の局面となったため、陳水扁候補が「漁夫の利」を得た形になったわけだ。
 この敗北を受けて巻き返しを目指す国民党は、1998年の台北市長選挙で極めて人気の高い政治家である馬英九候補(外省人)を立てた。前回と違うのは、本省人に代わって外省人を立てたという点だ。この時、李登輝総統が提出した「新台湾人」論は、外省人の馬英九候補を当選させるためのスローガンだ。外省人はすでに台湾社会に溶け込んでおり、投票しても安心だという本省人に対する呼びかけだったわけだ。外省人は外省人を支持する。しかしそれだけでは当選できない。外省人が当選するためには、本省人の支持が必要なのである。
 前回と民進党の現職である陳水扁候補、国民党の馬英九候補、新党の王建?候補(外省人)が争った結果、陳水扁候補45.9%、馬英九候補51.13%、王建?候補2.96%で、新党に流れた表を取り戻した国民党は、台北市の奪還に成功した。
 今回の総統選挙は5組が出馬したが、実際には3組の争いとなった。国民党は現職副総統の連戦候補(本省人)、民進党は台北市長選挙で敗れた陳水扁候補(本省人)、国民党を除名されても出馬した宋楚瑜候補(外省人)である。
 問題は宋楚瑜候補である。宋楚瑜候補は、昨年12月に出所不明金疑惑が発覚するまで、世論調査で他の2人を大きく引き離すほど人気がある政治家だった。その人気は単なるクリーン・イメージやマスコミに支えられただけのものではなく、台湾省長時代に台湾全土を視察して公共建設に経費を投じてきた実績に裏打ちされていた。しかも、国民党の秘書長から台湾省主席、省長と、権力の中枢を歩いてきた経験があり、一時は連戦氏を上回る実質的な国民党ナンバー2とまで言われた人物で、台北市長選挙の時の趙少康氏に比べてはるかに強力だった。
 宋楚瑜候補が集めたのは、やはり外省人票と比較的に政治を理解しないノンポリ若者票、一部の国民党の地方派閥票。最後には外省人勢力を代表する新党も合流した。
 その結果、国民党の組織戦が機能する間もなく連戦票は総崩れし、連戦票が大きく宋楚瑜候補に流れる「棄連保宋」が起きた。そこで外省人である宋楚瑜候補が当選しそうだと見た連戦票の多くが、宋楚瑜氏の当選を阻むために陳水扁候補に流れる「棄連保扁」が働いた。結果は陳水扁候補39.30%で当選。宋楚瑜候補は31万票余りの僅差の36.84%で次点。連戦候補はわずか23.10%で惨敗した。
 これはまさに、陳水扁氏が当選した前々回の台北市長の再現である。今回の選挙は台北市という地方選挙ではなく、台湾全土の選挙である。台北は台湾の中で最も外省人の比率が高いところだが、台湾全土で見ると本省人が圧倒的に多いから単純に比較はできない。しかしそれにしても、もし国民党が分裂せず候補を統一できていれば、政権を民進党に明け渡す必要はなかったのである。国民党の連戦候補と国民党を離れて出馬した宋楚瑜候補の票を合わせると、得票数は陳水扁候補をはるかに上回るのである。

李登輝総統の人事と省籍問題
 なぜ国民党が分裂しなければならなかったのか。
 実際のところ、国民党は李登輝総統が政権を獲得して以来、分裂を繰り返してきたのである。李登輝政権の確立は、外省人の国民党旧勢力から、本省人である李登輝総統が権力を奪取していく過程であり、同時に外省人の旧勢力が権力を奪われて行く過程だった。外省人旧勢力は、権力闘争に敗れた本省人政治家と結びついて勢力を形成するが、これが国民党「非主流派」であり、李登輝総統を中心とした政権の核心に位置するのが「主流派」である。
 李登輝総統と非主流派との確執は何度か繰り返される。対象となったのは、兪国華・元行政院長、李煥・元行政院長、?柏村・元行政院長などの外省人、そして本省人の林洋港・元司法院長などが代表的。前回1996年の総統選挙では林洋港・?柏村コンビが国民党を離れ、新党の支持を受けて立候補したが、15%の低得票で敗れている。
 そうした権力闘争の中で、宋楚瑜氏は常に李登輝総統の側についた主流派だった。しかし、1996年末の国家発展会議で台湾省の簡素化が決まると、李登輝総統に反旗を翻して党中央批判を開始し、非主流派となる。当時、実力と人気で李登輝総統の後継者である連戦氏を上回り、実質的なナンバー2だとも言われていた宋楚瑜・台湾省長は、台湾省の簡素化が自分の追い落としを意図したものだと感じたのだ。
 宋楚瑜氏に反旗を翻させたという点では、今回の総統選挙での国民党敗北は李登輝総統の人事に責任があると言える。宋楚瑜氏を排除し、人気のない連戦氏を何としても後継者にしようとしたことが、宋楚瑜氏の反発を招いたからだ。党内で2人に平等に競争させていれば、あるいは分裂は避けられたかも知れない。なぜ李登輝総統が宋楚瑜氏と決裂したのかは、想像するしかない。ただ、李登輝総統の世代の外省人と中国大陸を含んだ「中国的なもの」に対する嫌悪感は極めて強く、そこから推測すると、主な原因はやはり宋楚瑜氏が外省人だったことにあると考えられる。
 本省人と外省人の間には、今でも根深い対立がある。これを「省籍情結(省籍矛盾)」と呼ぶ。この問題が、台湾を理解する上で極めて重要であることは、今回の選挙でも証明されてしまった。選挙というものは、社会に存在する対立を表面化させることで成り立つ。対立を表面化させようとすれば、台湾では省籍矛盾を持ち出すしかない。だからこそ選挙では、候補者が意識しようとしまいと、この問題が煽り立てられることになる。
 二二八事件、それに続く白色テロと、本省人が外省人を嫌うのは当然といえば当然だ。ところが李登輝政権の登場後、本省人が台頭し、外省人はマイノリティーになった。そのため、外省人は本省人に対して警戒心を持ち、危機意識を高める。世代が下るに従ってこの対立は確かに薄れてきている。しかし「本省人的なもの」と「外省人的なもの」の対立はいまだに厳然として存在していると言える。
 前回の総統選挙で李登輝総統は、54%という過半数の高得票を獲得した。しかし台湾の人たちが李登輝総統に期待をかけたのは、国民党主席としての李登輝総統ではなかった。本省人として初めて台湾の総統となった李登輝総統に対する支持であったのだ。これは「李登輝情結」(李登輝コンプレックス)といわれるもので、本省人の間には、本省人として初めての総統となった李登輝総統に対する人気が極めて高い。それが民進党の本省人票を取り込んだわけだ。
 1996年、台湾で初めて行われた総統選挙は、国民党現職の李登輝候補(本省人)、民進党の彭明敏候補(本省人)、国民党を離れて新党の推薦を受けた林洋港候補(本省人)、無党派の陳履安候補(外省人)の4候補が争った。李登輝総統が過半数の圧倒的勝利を得たことは周知のところである。この場合、国民党の李登輝総統の票が大きく民進党側に食い込んでいる。
 台湾の人たちの多くが言うように、選挙では党を選ぶのではなく、人を選ぶ。特に総統選挙はやはり個人戦である。連戦氏はあくまでも李登輝総統ではなかったのである。国民党の選挙活動では、連戦候補よりも李登輝総統が目立った。まるで李登輝総統の選挙のようだった。しかし、それでも個人的魅力に乏しい連戦候補を救うことはできなかった。そのことをわずか23%という得票率が物語っている。李登輝総統を支持した年配の本省人が、連戦・副総統を嫌うのにしばしば出会った。
 しかも国民党の巨大な組織を過信して組織戦を闘うにしても、前回の李登輝総統の選挙で大きな役割を果たした宋楚瑜氏を敵に回してしまっている。宋楚瑜氏は台湾省長選挙、李登輝総統の総統選挙と、選挙のオーソリティーである。しかも本人が外省人だから、本省人に権力を奪われてマイノリティーと化し、危機感を強めている外省人の票は確実に集められる。うまくいけば前回の台北選挙での馬英九効果が狙える。改革イメージがあるから、既成の国民党、民進党の2大政党を嫌う省籍を分けないノンポリ票を集められる。それに、権力闘争に負けた国民党の本省人が合流してくれる。
 しかし宋楚瑜候補の敗北も、やはり省籍問題にある。台湾のマジョリティーはやはり本省人であり、本省人には外省人を排斥する意識がやはり根強く残っているのである。しかも新党をはじめとする外省人が支持することは、かえって本省人票を失うとになる。宋楚瑜候補強しの情勢に、陳水扁候補に票を集めた本省人の行動はそれを示している。
 外省人は宋楚瑜候補の落選で、精神的な拠り所を最終的に失ってしまった感がある。ますます危機感を強めている。外省人にとって、宋楚瑜はあるいは最後の砦だったのかも知れない。
 落選が確定した後に宋楚瑜支持の民衆は国民党に抗議に赴き、李登輝退陣を要求して暴徒化した。外省人の李登輝総統に対する恨みは極めて深いといえる。警官隊との衝突し、国民党幹部に暴力を振るった。台湾に絶えて久しい放水車の出動となった。戒厳令解除の前後には民進党の支持者と警官隊との衝突はあったが、それは改革を求める本省人が主人公だった。それが今回は、宋楚瑜支持の外省人に代わったわけで、立場がまったく逆転してしまったのだ。金銭疑惑でも人気が衰えなかったことを見てもわかるように、支持者の結束は強く、極めて熱狂的である。
 これまでの台湾の選挙はいくら対立が激しくても、選挙が終われば安静を取り戻すというのがパターンだったが、今回はそれが崩れてしまっている。群集を先導しているのは外省人の過激派のようだが、これを見た本省人の怒りもまた強く、台湾で解消しかけていた省籍問題が再び深刻化しそうな様相である。

民進党は対大陸関係改善に積極的
 これに対して民進党の陳水扁候補は、今や台湾の主流を代表している。台湾の主流とは、台湾の主体性を保つことであり、中国大陸と距離を保つことである。これは李登輝総統がこれまで支持されたきた理由そのものである。それはまた同時に、李登輝総統が支持されない理由にもなっているのだが、支持しない人たちはあくまで少数である。
 ただし、李登輝総統の世代は歴史的な原因のために外省人と中国大陸を含めた「中国的」なものに対する嫌悪感が強いが、これに対して民進党も陳水扁氏の世代になれば、本省人と外省人の融和がかなり進んでいること、国民党時代と比較した上でユートピアと感じる日本時代を経験していないことから、「中国的」なものに対する嫌悪感は弱い。したがって、陳水扁氏を単に「独立派」とするのはデフォルメされ過ぎた誤解である。この点を中国大陸の当局者が理解しているとは言いがたい。
 陳水扁氏のアキレス腱であるとされる中台問題については、選挙直前に大陸の朱鎔基首相が強硬な態度で台湾独立に反対する立場を繰り返し、陳水扁氏の当選に反対する立場を表明したが、これから見ても台湾内部の複雑さを理解しているとは思えない。台湾を独立派と統一派だけに単純に分ける見方は、外国のマスコミ報道と似たようなレベルにすぎない。
 民進党に対しては大きな誤解がある。この政党は反国民党の政党として出発したのであり、反中国の政党として出発したのではない。その台湾独立の主張も、国民党に対してのものであり、中国大陸からやってきて台湾人民を抑圧する外来政権を覆し、台湾人の政権を築こうとするものだった。ただ、冷戦終了後に中国大陸が台湾に対してかえって強い圧力をかけてきたため、反中国大陸の要素がかなり強く加わった。台湾では台湾内部の省籍問題と両岸問題がオーバーラップしてとらえられることが多く、反外省人が反中国大陸にすりかえられることは確かに多い。
 しかし陳水扁氏は、民進党の多くの票が台湾独立心情からのものであることは十分に理解すると共に、中国大陸との関係改善が台湾の安全と命脈を保つ上で重要なことも十分に理解しており、この矛盾する期待に反しないようこれまでも言葉を極めて慎重に選んでいる。また、独立・統一に関わらず、台湾の大部分の市民が現状維持を願っている。それに台湾の大部分の市民が大陸の武力侵攻を恐れていることを知らぬはずはない。
 ただ、陳水扁氏の場合、李登輝総統に比べて反中国意識は低い。両岸の関係活発化については、これまでも繰り返して語ってきた。李登輝総統の反中国意識の要素がかなり入っている「戒急用忍」(急がず忍耐強く)の対大陸政策は大きく変更されるはずだ。陳水扁氏が大陸側の誤解を解消させ、公約通り両岸対話を再開するためには、具体的な行動を起すことが必要となろう。あるいは「三通」(両岸間の通信、通商、交通の直接往来)を提示して、両岸対話の再開を求めることになるだろうか。5月20日の総統就任前に、次期総統としての大陸訪問を公約しているが、実現するかどうかは微妙だ。ここまで陳水扁批判のボルテージを上げてしまった中国大陸が、メンツを保ちつつ両手を広げて陳水扁氏を迎え入れることができるような方法を考え出すことが必要だ。
 内政については、これまで一貫して掲げてきた「黒金政治」(政治への暴力組織、金権の介入)の排除は、台湾の一般市民の願いだといえるだろう。李登輝総統は支持するが、国民党の「黒金政治」が台湾の正常な発展を妨げているとの認識は台湾市民の間に強かった。複雑に絡み合った国民党の権力構造が断ち切られることで、台湾の政治・経済は自由化・国際化を加速し、スムーズに発展できるようになる。台北市長の際に示した手腕によって、行政効率を低下させていた行政の腐敗した部分は改善されるだろう。
 民進党には国民党から政権を奪い取るという革命の情熱がある。しかし同時に民進党は、民主化という台湾社会の変化に伴って政権を奪い取る方法を変えてきた。政治的な圧迫が強かった時代の街頭運動から、戒厳令解除後の議会闘争へと戦略を転換させた。そして地方首長のポストをほぼ掌握し、革命政党から革新政党への変身に成功した。今回、最終的な中央政権の獲得、つまり総統選挙に勝利したのだ。それまでにかかった時間はわずか14年。その転身は、極めて現実的だと言えるだろう。「台湾独立」の主張だけで支持を獲得しようという、イデオロギー主導型の政党ではない。
 経済においても、国民党との癒着によって既得利益を得てきた財閥にとっては、かなりの打撃となるだろう。しかし自由競争が加速されると共に、民進党の重要な票田である中小企業がより重視されることになることから、経済は活性化するだろう。つまり、企業や暴力組織といった複雑な政商関係にがんじがらめにされ、あまりの重荷のために身動きがとれなくなっていた国民党という重石が取れ、台湾経済は身軽になるはずだ。特に台湾の命脈であるハイテク産業にとって必要な経済発展のスピードアップが期待できる。
 ただし、陳水扁政権は少数与党となる。立法院では依然として国民党が過半数を占めているからだ。宋楚瑜氏が新党を結成すれば、政権を失った党にとどまる必要のなくなった国民党内の宋楚瑜派が合流することになり、国民党は過半数割れになる可能性はある。そうなった場合でも民進党だけでの政局運営はできず、民進党と国民党の議会協力もあり得る。
 行政院長については、選挙の最終局面で陳水扁支持を表明した李遠哲・中央研究院院長が就任する可能性が高い。李遠哲院長の担ぎ出しに成功すれば、民進党関係者とテクノクラート官僚とでの内閣が組織されるだろう。ただ、政府のかなりの政務官クラスが交替することになり、政府の様相が刷新されることになる。
 ただ、民進党はやはり行政経験が少なく、政策策定の未熟さは今回の選挙でも一部で現れている。証券取引所得税などの問題がそれだ。就任当初は人材の不足がかなり深刻だと指摘されている。政権を獲得したことによる民進党内の権力闘争、派閥の問題も浮上してくることが予想される。民進党はもともと国民党打倒を目指す民主勢力の寄せ集め的な一面があり、特に人事をめぐる確執は予測される。また陳水扁氏の公約の多くに財政的な根拠がなく、公約を実現させるためにはハードルがかなり高い。

今後の国民党と宋楚瑜氏
 今回の選挙で、陳水扁氏の選挙集会に学生が目立った。以前の民進党の集会には、労働者階級とおぼしき中年以上の男たちがほとんどで、国民党の恩恵を受けられない人たちが反国民党勢力を支持しているといった趣があった。抑圧されたものの一種の悲壮さがあった。
 しかし今回は、本省人、外省人を分かたず若い層の支持、特に大学生以下の学生の支持が目立った。女性も安心して参加できるようになった。集会の様相は一転して若返り、明るくなった。連戦候補、宋楚瑜の両氏がいずれも国民党という古い体質を引きずっているのに対して、陳水扁氏は改革を象徴するものだった。この世代になると、本省人、外省人ともにすべて台湾生まれの第3、4世代となるため、省籍に対する意識が薄い。これは、20歳代後半から30歳代の中産階級に宋楚瑜氏の支持者が多いことと対照的だ。20歳代後半から30歳代には、李登輝総統のような反中国意識を嫌うとともに、陳水扁氏のような台湾主体意識にも反発する。これは大中国思想に基づいた教育の影響かと思われる。現在の20歳代前半の大学生以下には、台湾主体意識にそれほど抵抗はないらしい。
 ただ、得票状況を地域別に見ると、歴然とした差が見られる。台湾北部・中部はことごとく宋楚瑜氏が陳水扁氏をリードしている。外省人の多い北部の台北市、台北県、客家人の多い桃園県、新竹市、新竹県、苗栗県、震災に見舞われた中部の台中市、台中県、南投県、原住民の多い東部の花蓮県、台東県、そして離島の澎湖県、金門県、連江県(馬祖)では、すべて宋楚瑜氏が陳水扁氏をリードしている。ただし、リードはそれほど大きくない。
 これに対して中南部の彰化県、雲林県、嘉義市、嘉義県、台南市、台南県、高雄市、高雄県、屏東県、そして民進党が伝統的に強い東北部の宜蘭県は、いずれも陳水扁氏が宋楚瑜氏をリードしており、しかも大きな差をつけている。これが陳水扁氏の勝因であり、南部は陳水扁氏、北部は宋楚瑜氏との構図ができあがっている。
 今後、惨敗して政権を失った国民党はどうするのか。とりあえず、9月に党大会を開催し、ここで主席、副主席、中央常務委員の改選を行うことになった。新執行部で巻き返しを図ろうというわけだ。ここで李登輝総統の出方が注目される。もともと李登輝総統の国民党主席としての任期は来年8月の党大会までとなっていたが、辞任要求の高まりで収拾がつくかどうか分からない状況になっている。
 国民党主流派内部には李登輝派と連戦派があると言われるが、党改革を李登輝総統主導でやるのか、落選したものの連戦氏主導でやるのか、今後、選択が必要となるだろう。また、世界で最も金持ちの政党と言われる国民党が持つ巨大な党営事業をどうするかは、大きな課題である。国民党はもともと信託管理に移し、党が自ら経営することはやめると主張していたが、当選した陳水扁氏は国民党党営事業の解体を主張しており、双方の攻防が注目される。利権の受け口であり、選挙資金の製造マシンであり、党関係者の天下り先だった党営事業が解体されれば、国民党にとっては極めて大きな痛手である。
 一方、宋楚瑜氏は落選後、新党の結成を決定している。名称は「新台湾団体党」。現在の宋楚瑜チームを核とし、国民党内の宋楚瑜支持派、それに新党がこれに合流すると見られている。宋楚瑜支持者は、李登輝総統を中心とする国民党主流派への反感が強い点は新党と似ており、反李登輝総統でしか一致できなかった新党の轍を踏んで先細りしてしまうのか、あるいは4年後の捲土重来を果たすのか、微妙なところである。宋楚瑜氏への支持が、宋楚瑜氏の個人的な魅力と李登輝総統の国民党に対する反対によって結集しただけで、具体的な政策論があったわけではない。外省人の危機感とそれへの同調だけでは、陳水扁氏を支持する学生のような若い世代が台頭してくると、意志の持続は難しいかも知れない。

新総統は進歩・革新の対日政策を
 最後に、対日関係について考察してみよう。
 3人の候補者のうち、最も親日的なのは当選した陳水扁氏である。台湾の地方で生まれた人だけに、父親は年配の本省人によくある親日派だったという。陳水扁氏は選挙戦の初期に何度か日本を訪問している。
 宋楚瑜氏は戦略上、日本に対して強い興味を持っていると言われ、陳水扁氏と同様に選挙戦の初期に日本を訪問している。ただし、反日意識の強い外省人であることには違いない。連戦氏は本省人だが、父親が抗日戦争に参加するため留学先の日本から大陸に渡った。そのため連戦氏は大陸生まれで、名前からして日本に連戦連勝することから付けられた。恐らく日本に対する興味は最も低いと考えられる。
 過去の国民党の対日外交は、両岸対立を反映して反共政治家が中心だった。李登輝総統の時代もそれを踏襲すると共に、李登輝総統の親日的な姿勢から、多くの新たな人間関係を築いている。しかし残念なことに、李登輝総統の反中国意識の強さから、やはり保守的政治家との交流が中心となってしまった。またその親日的な姿勢によって、懐古趣味的な日本人との交流が中心になってしまう傾向があった。日本の再軍備肯定の発言などは、保守勢力を喜ばせるが、進歩勢力から懐疑的に見られることもあった。
 しかし台湾の民主化が意味するところは、反共・保守ではなく、進歩・革新である。陳水扁氏の当選で、その意義はより強化されることになる。陳水扁新総統が反共・保守の殻を破り、進歩・革新を主軸とした新たな対日外交を展開することができれば、ある意味で中国大陸を進歩勢力で大きく包囲し、中国大陸との緊張関係を緩和させ、台湾の安全にも役立つかも知れない。 ※

陳水扁(Chen, Shui-bian)
1951年 台湾台南県出身
学歴: 1973年 大学3年生の時、国家考試院による弁護士試験に1位の成績で合格。
    1974年 台湾大学法学部を卒業。
    1995年 韓国慶南大学名誉法学博士。
    1995年 ロシア経済学院経済学名誉博士。
経歴: 1976-1989年 華夏国際海上商務法律事務所弁護士
    1980年    美麗島事件弁護士
    1981-1985年 台北市議員
    1986年  蓬莱島事件で懲役8カ月
    1987-1989・1991-1996年 民主進歩党中央執行委員
    1987-1989・1996-現在  民主進歩党中央常務執行委員
    1989-1994年 立法院立法委員(国会参議員)
    1990・1993年 民主進歩党立法院党団幹事長
    1990-1994年 フォルモサ(Formosa)基金会会長
    1992-1994年 立法院国防委員会召集委員
    1993年  立法院議事順序委員会召集委員
     台北北門ロータリー会副会長
    1994-1998年 台北市市長
    1998年-   民主進歩党総統候補


日台貿易活況、空輸料金が値上がり

 今年に入って台湾と日本との間の貿易が活況を見せていること、日本の新会計年度が間もなく始まることから、台湾から日本への情報・電子製品の輸出が増加しており、このため航空会社は日台間の航空貨物運賃を1キログラム当たり5元値上げしている。
 日台間の航空路線を経営する航空会社によると、今年に入って日台間の貿易は過去数年に比べてはっきりとした増加を見せており、特に日本企業が電子部品、ウエハ、チップなどのハイテク製品を台湾企業から調達するようになっていることが、貿易量を大きく増加させている。
 また、台湾の情報・電子製品メーカーが相次いで台南科学園区での工場建設を進めているが、ハイテク製品の生産設備の半分は日本から輸入されている。
 さらに、日本のウナギ市場で、かつては台湾が最大の供給源だったが、台湾のウナギ養殖が中国大陸に移転した後、台湾の地位は大陸に取って代わられた。しかし近年、台湾からのウナギなど水産物の出荷が再び増えている。
 また、日本の新会計年度が4月から始まるため、旧会計年度内の出荷を急ぐケースが多くなり、毎年この時期には航空会社が運賃を引き上げるが、この現象が終わった後、ウナギの出荷が7、8月までピークとなるため、航空貨物運賃は短期内に値下がりしない見込み。


聯華電子、日立との合弁会社株40%を取得

 聯華電子(UMC)は14日、10億日本円を投資して日本のTrecenti Technologiesの株40%を取得した。聯華電子によると、Trecenti Technologiesは聯華電子と日本の日立が合弁で設立した会社で、来年4月から量産を開始する予定。
 聯華電子(UMC)と日立は昨年末に、合弁で日本に12インチ・シリコンウエハ会社を設立することを発表した。この新会社では0.18マイクロメートルの工程が中心となる。初期の段階では700億日本円を投入する。新会社は、日立が日本に所有している工場の建物を利用することになっており、機器設備を設置すれば生産可能。来年1月に試験生産を行い、4月から量産に入る。
 聯華電子(UMC)はすでに日本の半導体企業を買収しており、Trecenti Technologiesは聯華電子にとって日本での第2の生産基地となる。Trecenti Technologiesの操業が開始されれば、聯華電子の日本からの受注規模が拡大される見通し。


2000億元の国家金融安定基金が成立

 国家安定基金が15日に成立し、2000億元の基金が16日から運用できることになった。
 同基金管理委員会主任委員の劉兆玄・行政院副院長は、国家安定基金運用作業要点はすでに通過しており、作業要点の条件を満たす事態に対しては、委員会が直ちに会議を開き、株買支えの時期を決定すると説明した。
 委員会が通過させた作業要点によると、国家が重大な政治的または軍事的脅威に直面した場合、外国の対台湾政策が台湾にとって大きく不利に変化した場合、重大な天災が発生した場合、重大な事故が発生した場合、国際的な投機筋による重大な脅威に直面した場合、重大な決済違約が証券市場に連鎖作用を及ぼした場合、個別企業の問題が金融市場に連鎖的な財務危機をもたらした場合、国際金融市場で重大な事件が発生した場合を、同基金による買支えの時期としている。
 15日には大陸の朱鎔基首相が台湾に対する強硬な発言を行ったことから、16日の株式市場への影響が予想されている。


廃棄家電の回収費、最高180%引き上げ

 環境保護署は廃棄家電の回収費の引き上げを正式に決定し、4種類の廃棄家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン)について回収費を32%から180%引き上げることになった。新料金の実施時期は4月1日または5月1日が検討されている。


台湾への投資、大幅に成長

 経済部は15日、今年1月1日から3月10日までに経済部投資審議委員会が認可した華僑・外国人による台湾外資は229件、11億ドルで、件数、金額とも第1四半期としては過去最高に達したと発表した。
 経済部投資審議委員会は、華僑・外国人による台湾への投資は件数・金額ともに大幅に成長しており、今年は第1四半期が終了する前にすでにこれほどの成績を残していることから見て、「他の不利な要因」がなければ、今年年間では記録を更新することになるだろうと指摘している。
 地域別に見ると、アメリカとアメリカ大陸の他の地域からの投資が最も多く、次いで日本、シンガポール、英領中南米の順。業種別では、電信、電子・電器製品製造、サービス、小売、金融の順。


大陸の朱鎔基首相、台湾独立反対を強調

 大陸の朱鎔基首相が15日、人民大会堂で開かれた記者会見で台湾の総統選挙について触れた。朱鎔基首相は、総統選挙は地方選挙であり、大陸当局はこれに干渉しないが、どの候補者が当選するにせよ、台湾独立は認められないと述べ、大陸当局はいかなる形式にせよ台湾独立を決して承認しないとの立場を改めて強調した。
 朱鎔基首相は、「平和統一、1国2政府制度」が台湾問題を解決するための大陸当局の一貫した方針であるが、台湾問題を解決するためには、絶対に武力使用を放棄しないことを表明した。
 朱鎔基首相の発言に対し、台湾の蘇起・大陸委員会主任委員は、大陸当局には中華民国の総統選挙について口出しする権利はないと指摘した。蘇起主任委員は、大陸当局が非難しているのは陳水扁候補(民進党)のことだと思われるが、陳水扁候補には自分の意見を率直に発表する権利があり、これは民主社会の権利であると語った。
 また蘇起主任委員は、陳水扁候補の主張は両岸関係に不安をもたらす要素があると指摘し、陳水扁候補の主張に対して台湾の政府が一貫して反対の立場を取っていることを強調した。


李遠哲院長、陳候補の国政顧問就任承諾

 李遠哲・中央研究院長は10日、民進党の総統候補である陳水扁氏と会見した際、陳水扁氏が総統に当選した後、国政顧問団顧問に就任し、国政の推進に協力することを承諾した。  李遠哲氏は会見後、陳水扁氏は改革に対する強い意志と「黒金(やくざ・金権)政治」の排除の決意を持っていると評価した。
 李遠哲氏は、最近の選挙戦の発展はますます望ましいものではなくなっており、応援に立っているのはすべてやくざであり、国家がどこへ向かうのか憂慮していると語った。そして、理想を持ち、改革の意欲がある人であれば、誰であっても自分は歓迎するが、その人の周囲に集まっている人が改革の理想がない人たちであれば、お断りすると語った。
 李遠哲氏は陳水扁候補支持については言明を避けているが、この会見によって立場を明確にした。
 陳水扁候補は、多数の企業家、学者が「国政顧問」に就任することに同意しており、その中には李遠哲・中央研究院長のほか、許文龍・奇美董事長、殷h・台湾高鉄董事長、張栄発・長栄グループ総裁、施振栄・宏碁電脳グループ董事長、学者の蕭新煌・国策顧問、陳必照・国家安全会議諮詢委員などが含まれていると語った。


奇美の許文龍董事長、陳水扁候補を支持

 李登輝総統の長年の友人である奇美グループの許文龍董事長は13日、陳水扁候補(民進党)と共に記者会見を開催し、陳水扁候補を支持し、陳水扁候補の国政顧問団に参加すると表明した。
 許文龍董事長は、李登輝総統の路線を継承するのは陳水扁候補だと指摘すると共に、国民党内の少数の人々は李登輝総統の12年間の努力を否定し、李登輝総統と一線を画そうとしており、党主席のポストを引き渡すよう要求していると指摘し、こうしたことは非常に礼儀に反しており、憤慨を覚えると語った。
 許文龍董事長は「台湾の民主化、自由化で李登輝総統は最大の功労者であり、総統選挙の候補者の中で特に親しい関係にある人はいないが、李登輝総統の路線を継承できる人であれば、誰であっても支持する。現在のところ李登輝総統の路線に最も近い人は陳水扁候補だ」と語った。
 また許文龍董事長によると、陳水扁候補支持を求めたのは、李遠哲・中央研究院長だという。
 陳水扁候補が発表した国政顧問団のリストに挙げられている企業家は、許文龍・奇美董事長のほか、殷h・台湾高鉄董事長、張栄発・長栄グループ総裁、施振栄・宏碁電脳グループ董事長、林鐘雄・玉山銀行董事長(元台湾大学経済学部教授)、林信義・中華汽車副董事長、高志明・Taiwan News発行人(義美食品総経理)。
 しかし施振栄、林信義、高志明の各氏は、自分は中立であり、だれが総統に当選しても自分の経験と見解を提供すると語っており、どの候補者を支持するのかは明らかにしていない。企業界で特定候補への支持が明確化するのか注目されている。


ゴミ捨て有料へ、専用ゴミ袋1リットル0.5元に

 台北市が従来のゴミの出し方を改めて、4月から試験的に専用ゴミ袋を買ってもらうことでゴミ処理料金を徴収する方式に変えることを計画している。また7月からは本格的にこの方式の採用を開始する。確定した専用ゴミ袋の価格は、1リットルにつき0.5元で、1世帯当たり月平均167元になると予想され、1世帯当たり月平均水道代214元と比べて割安となっている。
 環保局は1月17日に台北市のゴミ処理料金徴収計画を副市長に報告すると同時に討論会を実施して、以下のことを決定した。まず4月から6月の試験期間に、33リットルの家庭専用ゴミ袋と92リットルの学校や機関が使用する専用ゴミ袋の2種類のゴミ袋を配る。7月から本格的に開始するときには、それぞれ5、14、33、45、76、92リットルの6種規格の専用ゴミ袋を購入してもらう仕組みとなっている。専用ゴミ袋には資金を提供した企業の広告を載せる。
 台北市の80万以上ある世帯には、4月から町内会組織を通じて無料でゴミ袋を配布し、学校については教育局が配布することになった。ゴミ袋には引換券をつけ、6月中旬から専用ゴミ袋を購入する時に、同じ型の専用ゴミ袋を引換券と交換に、おまけでもらうことができるようにする。
 7月から開始される有料専用ゴミ袋は、当初は台北市に1000以上あるコンビニで売られ、外部委託した場合の販売コミッションは売上総額の10%となる見込み。このほか、内湖焼却場がある葫洲里、木柵焼却場がある万芳里と博嘉里、北投焼却場がある洲美里と山豬窟、埋め立て場のある旧荘里については、ゴミ袋は無料となっている。
 大型廃棄物の廃棄については費用を払う必要はないが、事前に廃棄物回収担当部門に回収時間を予約しなければならない。また一般廃棄物においては清掃業者に委託しているが、33リットル以下のゴミは家庭ゴミと一緒に出すことができる。
 ゴミ袋を買ってもらうことでゴミ処理料金を徴収する方法は資源回収率を高めることになる。7月以降、市政府環保局は里(町内会に相当)ごとに約10の資源回収箱を設置し、すべての学校にも設置する予定。
 こうして台北市には4000以上の資源回収箱を設け、7月から資源回収日を現在の毎週2日から3日に増やす。このほか、分別の種類をビニール、発泡スチロール、生ごみなどに増やす。韓国が以前実施した経験では、5年以内に現在の10倍以上の回収率となる見込み。
 環保局はこのほか、分別の種類を増やしてゴミを減らす措置として、発泡スチロールの容器を制限・禁止、デパートや商店への買い物袋の持参奨励、食品類や化粧品などの包装制限、リサイクル奨励などを計画している。


<編集後記>

○終ってから言うのはずるいが、選挙前に言うと特定候補を支持しているとの誤解を受ける可能性があるので避けた次第。総統選挙の私の予測は「@陳水扁(国民党)37%、A宋楚瑜(無所属)34%、B連戦(国民党)28%、C許信良(無所属)0.8%、D李敖(無所属)0.2%」(本当に予測だったことは、時間付きの証拠が残っています)。実際には「@陳水扁39.30%、A宋楚瑜36.84%、B連戦23.10%、C許信良0.63%、D李敖0.13%」。順位は予測通りだったのだが、連戦候補の得票を高く評価しすぎたため、陳水扁候補と宋楚瑜候補をやや低く見積もっている。国民党の組織戦のすごさという神話があったため、連戦候補が最後に票を伸ばすのではと見てしまったのだ。結果は組織戦が機能せず、連戦候補の票が陳水扁候補と宋楚瑜候補に流れた。今回の選挙は、これまでの台湾の選挙で見られた常識を崩してしまう結果になった。「民進党の支持者は隠れ支持者が多く、世論調査では正直に言わないから、実際にはもっと多いはずだ」という神話も、前回の台北市長選挙で崩れ去っている。選挙のたびに神話や常識は崩れていく。台湾固有の社会的特質を踏まえた上で、その社会がどう変化しているのかをとらえなければ、台湾の選挙予想はできないようだ。

○陳水扁候補の当選を確信したのは、最終日の台北での集会。まず、淡水線の電車に乗って会場側の駅に着いたところから驚きだった。ホームにいる人たちがみんな陳水扁候補の旗を持ち、電車が着くたびに「当選(ドン・スァン)」とコールが起こる。宋楚瑜候補と連戦候補の会場を回ってここに来たのだが、周辺の道路にも人があふれているというのは、他の候補にはない。サッカー場の会場からあふれた人たちが道路に設置された大型スクリーンを見て応援しているのだ。サッカー場は雨上がりとあってかなり足場が悪く、靴が泥だらけになった。しかし熱気はものすごい。しかも、以前の民進党の選挙集会なら、労働者風の男性が多くて檳榔の香りがたちこめ、とても若い女性が行くような雰囲気になかったが、今回はその種の人たちはいるものの、全般に年齢層がぐっと若くなっていて、カップルや学生グループや家族連れが多く、みんな楽しそうだ。学生が陳水扁候補を支持するのは、98年の台北市長選挙の時にもその傾向はあったが、これほど多くなったのは今回が初めてではないだろうか。新しい世代の政治的傾向はこれまでと違うようだ。帰りは交通機関がないので、タクシーがつかまるところまでしばらく歩いたが、中山北路も一部交通規制されていて、なんとあの中山北路のセンターラインを踏みながら歩くことができた。会場から帰っていく学生たちが「阿扁」「当選」とコールし、見知らぬ人がそれに応じる。和気藹々である。

○台湾選挙の神話の1つに、いくら対立が激しくても選挙が終われはみんなが落ち着きを取り戻し、和解するという方程式があったが、これが今回は崩れてしまった。落選した宋楚瑜氏の支持者の一部が、暴徒化して国民党本部に押しかけ、李登輝総統の退陣を要求している。これを書いている時点で、まだ事態は収拾されていない。テレビ画面に金介寿・台北県議、釣魚台(尖閣諸島)守ろう運動で暴れていつも日本人に不安を引き起こさせるあの「愛国」過激派の外省人だ。この連中が煽動しているようだ。外省人の危機感は、これまでも李登輝総統批判に収束する傾向があったが、今回はかなりひどい。国民党を裏切って宋楚瑜氏に投じた人たちが、選挙に負けたからといって国民党の敗北の責任を追及し、国民党の責任者の退陣を求めるというのもおかしな話だが、外省人には自分たちこそ国民党の本流で、李登輝総統に追い出されたという意識がある。警察の放水車が出たのは90年代初期以来だろうか。外省人がこうした行動に出ると、本省人の反発が高まる。深刻な衝突の危険性もある。台湾の民主化、そしてそれと共に進んだきた本省人と外省人の融和が、大きく後退する可能性がある。陳水扁氏の当選という明るい雰囲気は、これで社会不安に転じてしまった。外省人の過激化に、本省人の方もかなりいら立ちを強めており、当分は注意が必要だ。(早) 【通達翻訳出版有限公司】

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