『週刊台湾通信』
第9222号(2003年6月19日発行)

主な内容

≪重症急性呼吸器症候群(SARS)緊急情報H≫
◎台北市立陽明医院でSARS院内感染
◎WHO、台湾への渡航延期勧告解除見送り
【台湾の国民所得統計、国内経済情勢の展望】       
【台湾における消防および救急業務】

リンクがはってある記事は、抄録(編集後記は全文)をご覧になれます。


[日本関係]
◎NEC、台湾LCD流通市場に再び参入       
◎ルネサス、近く台湾子会社を設立
◎長栄航空、日本路線の多くを運航再開へ  

[経 済]
◎台湾電力、台北港での発電所建設を計画
◎中正空港捷運(MRT)、路線が確定
◎台北MRT内湖線の高架工事、16日に着工
◎中華開発、董事長(会長)人事が焦点に
◎和信、中信が分家、それぞれ独立発展へ
◎台湾大と台湾固網の経営権めぐり争奪戦  
◎宏碁の施振栄・董事長、中華智融に転任へ
◎中央銀行、デフレ対策で銀行に融資説得 
◎公務員の昇給、来年もなし、3年連続で昇給せず
◎新社会人の初任給  
◎情報電子大手、下期の業績向上に自信
◎鴻海(HONHAI)、広達(QUANTA)とノートブック型パソコンで提携
◎英華達、HPからタブレット・パソコン受注
◎広明と建興、光ディスク・ドライブ分野で争う
◎華碩電脳の営業収入、4カ月連続で最高更新
◎技嘉科技、光ディスクドライブ市場に進出
◎亜旭電脳、ブロードバンド製品の受注増加
◎マイクロソフト、台湾にテクノロジーセンター設立を計画
◎奇美グループ、中小型TFT-LCDの建美設立
◎TFT-LCD、台湾各社が3年で3000億元投入へ
◎TSMC、UMCとも売上高が順調な伸び示す
◎宝成、今年の靴材料調達額は90億元
◎中国石油高雄製油所、再建計画を変更
◎台湾の5月の貿易、17億6000万ドルの黒字
◎「著作権法」が改正へ
◎株価指数、4800ポイント台に突入

[大陸関係]
◎台湾積体電路、上海市松江区と投資協定
◎中国からの帰国、条件付きで隔離免除

[国際関係]
◎鴻海と広達、海外での資金募集を展開
◎パスポートに「TAIWAN」、9月1日から

[政 治]
◎劉泰英・被告に16年求刑、6000万元で保釈  

[生活社会]
◎竜巻、高雄で34万世帯が停電
◎各地で豪雨、当面の給水に問題なし
◎9日、宜蘭でM6.3の地震/10日、花蓮でM6.5の地震

<編集後記>



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<編集後記>

○(前号から続く)1995年、台湾の総統のアメリカ訪問という誰も実現できるとは思ってもいなかったことを成し遂げた李登輝総統に、台湾では拍手喝采だった。これは、1996年3月の総統選挙での李登輝総統の圧勝の一因であることは間違いない。李登輝総統の訪米実現には様々な要因があろうが、その1つに国民党のロビー活動があるといわれている。国民党党営事業の責任者である劉泰英氏は、その潤沢な資金によってアメリカのロビー会社のキャシディーを使い、米議会に対する工作を行った。これがクリントン大統領を動かすことになったというのである。外交的に苦境にある台湾として、賛否両論はあるものの見事な戦術だったといえる。

○劉泰英氏は毀誉褒貶の激しい人だ。「お国のために、こんなに頭を絞って一生懸命やっているのに、なぜこんなに叩かれなきゃならんのだ」と劉泰英氏は親しい人にこぼしたことがあるという。日本人にも比較的知られている出来事として、1996年に劉泰英氏が打ち出した国民党による沖縄投資計画というのがある。国民党が沖縄に30億ドル投資する用意があるというのである。この計画は現実のものとはならなかったが、奇抜なアイディアを出してくるのも劉泰英氏の持ち味である。対日外交打開という李登輝総統の外交を支援する意味があったと考えられる。私は当時、あるフォーラムで劉泰英氏と立ち話で沖縄投資について聞いたことがある。日本語が非常に自然で、見掛けと違って意外に丁寧に答えてくれたことが印象的だった。

○ところで台湾の歴代の総統は、退任後、スキャンダルにまみれたことはない。この点は韓国の大統領とは多いに違っている。考えてみれば、中継ぎ役だった厳家淦総統を別として、以前の蒋介石総統、蒋経国総統とも死ぬまで総統だったのである。台湾の総統で死ぬ前に退任したのは李登輝・前総統が実質的に初めてである。劉泰英氏は自分の行為は李登輝・前総統が知っていたと証言しているという。そうだとすれば国民党に対する背任にはならない。現政権と李登輝・前総統との関係からして、劉泰英氏の事件が李登輝・前総統の声望を傷つけることはないと考えられる。しかし、李登輝時代の秘密資金には、話題になった国家安全局の外交工作資金の話もある。また、フランスからのラファイエット艦購入に当たってのスキャンダルもまだ完全に解決されていないが、これも李登輝時代の事件だ。また、国民党秘書長を務めていた宋楚瑜・親民党主席の秘密資金もある。この宋楚瑜氏の「興票事件」は、前回の総統選挙で宋楚瑜氏落選の原因の1つにになっている。民主化だけが強調される李登輝時代だが、秘密資金による政治・外交工作というものの存在は、台湾と李登輝政権が置かれていた国際的、国内的な現実を映し出しているようだ。単純に金銭疑惑だけを見ていても問題の構造は理解しにくい。台湾の戦後史全体にかかわるからだ。

○台湾に長くいると、もうすっかり台湾に慣れたでしょうとか、台湾が好きなのでしょうと聞かれるが、決してそんなことはない。台湾にいると思ってもみなかった経験をすることがある。今回の重症急性呼吸器症候群(SARS)などその代表。1999年の集集大地震もそう。先週、台湾周辺で地震が頻発したが、ビルの中では生きた本当に心地がしない。それに台風が来たかと思えば、来なければ水不足。台湾の自然環境は思いのほか厳しい。それにこの暑さと湿気。台湾の人々や社会や政治に対する好き嫌いは誰にでもあるだろうが、私はあくまでも観察者としての姿勢を崩さないようにしている。それは別として、ここの自然に慣れたり好きになるなんてとんでももない話だ。そんな生易しいものではない。(早)

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