〜冬がくる頃に…。Another Side〜


「ふぅ…。」
一つため息をつくと、部屋の窓を少し開けてみる。

途端に冷たい空気が暖房で澱んだ空気を入れ替えてくれる。
「冷え込むと思ったら雪だ…。」
見慣れた風景がうっすらと雪化粧をしているだけで、なぜか全く違う風景に見える。
深夜2時、わずかに部屋の蛍光灯のうなる音だけが聞こえる静かな時間。 目の前に迫った期末考査が終われば、冬休み。年が明ければ進路の事も本気で考えなくてはならないだろう。
「高2の冬。決断のとき、か…。」
美大に進学し、画家を目指す。中学校の頃から決めていた事だ。
高校に入ってからもこの夢に向かって、潰れかけの美術部を立て直し、積極的に活動してきたつもりだ。
ただ、この夢を実現させるためには、この街を出て行かなければならないだろう。
美大が東京にある。という事もあるが、何よりいろんな作品にじかに触れられるという機会がこの街に居たのでは少なすぎるのだ。美術雑誌や画集などでも、よい作品を眺める事は出来るが、やはりそれでは物足りない。やはり直にこの眼で見てみたい。そんな気持ちがこのところ、自分の中で大きくなっていくのが分かる。
だが、その一方で「本当にそれでいいのか?」と語りかけてくる自分もいる。


気に掛かっているのは彼女の事。どんなときにも傍にいて、僕に元気をくれる。そう、どんなときでも…。
周りのみんなは彼女の事を「いつも元気が有り余っている感じで、何の悩みもなさそうじゃん。」とか「あいつが悩んでるなんて想像つかないよ。」なんて言うけれど、実際は表で元気を装っていても、裏では誰よりもやさしく、気を使ってくれている。そして寂しがっているのだ。
時折見せるその表情を見ると、とても切ない…。

「一緒に行こう!」
こんな短い言葉で解決できるといえば、そうかも知れない。
ただ、彼女の夢はどうなる? 彼女もいつまでも「僕の事を愛する会の会長」だなんて言ってられないだろうし、事実高校に入ってからは、いろんなことにチャレンジだってしてる。まだ「これだ!」って言うものにはめぐり合っていないみたいだけれども…。

「うぅ…。すっかり体も冷え切っちゃったな…。」
窓を閉め、机に戻る。まずは目の前のテストをとりあえず片付けないと!

翌朝、通学路。眠い目を擦りながら学校へと向かう。
「おっはよ〜!!」
いつも元気な彼女の声。この元気だとボクの心配もいわゆる杞憂ってやつなのかな? それともやっぱり…。
「おはよ、いっつも元気だね。」
「あったりまえでしょ!それが私のとりえなんだから!!急がないと遅刻しちゃうわよ!ほら、ダッシュ!!」

あぁ…。やっぱり彼女にはかなわないや。
この先、色々まだ悩むだろうけど、きっと上手くいける。そういう関係になっていける。おぼろげながら、そう感じて通学路を駆け出した。                                  

                                             〜終わり〜


という訳(どういうわけだ)で出来たのがこちらのお話。どうにか2つで1つの話としてまとまったかなという気もしますし、わざわざ2つに分けた意味があるのか?という気もします。自分の中でも実験的な作品なのでした。



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