天竜川のサツキ鱒
天龍川のサツキ鱒は、昔は凄かったという話を、
ある日、川で出会ったおじさんが教えてくれた。

まだ、船明ダムがなかった頃の話だそうだ。
その日、家に帰ってすぐに、聞いた事をメモしてあったので
ここで紹介したい。
ただ、おじさんの言っていた事が、
100%メモできているかどうかは保証できないが、
脚色はしていないつもりである。


本来、天竜川のサツキ鱒は、80〜90B程の大きさであったそうだ。
これは、川 ⇔ 海の往復を3回繰り返す事によるものである。
 現在この品種は、ほとんど絶滅状態で、今、川で釣り上げられるのは
長良川型の大きくならない放流品種となっている。
 当時は、多摩ナンバーの車など、他県からもこのサツキ鱒をねらいに
来ていたそうである。このサツキ鱒は、他の種とは違い、2月頃、川を
のぼり、30Bくらいのウグイが腹から出てきたそうである。
 天然物と放流物との明らかな違いは、その性格にある。
川においての付き場所、ルアーへの反応の仕方、及び水面上の影の動き
に対する反応等が上げられる。
 川での付き場所は、生存の為(大きな大きな体を保つ為)酸素の含有
量が多い場所につきる。しかし、これに反する事に流れが早いと運動量
も増え、更に酸素を必要となる。川の中ではセイゴの後で、ウグイの前
に位置する。これに対し、放流魚は、ウグイやニゴイの後に位置する事
もあるそうだ。
 ルアーへの反応は、へたにアクションは付けない方がいいそうである。
特に動きの激しいミノーは良くなく、又、激しい流れの中でも安定して
泳ぐ様にリップの横を削り、細くすると良いとの事。これを、鮎が昇る
道に流し込み、ゆっくりと引く。これを繰り返す。
 又、プールにいるサツキ鱒で天然魚と放流魚を見分けるには、水面に
影を落としてやればいい。天然魚は物陰にかくれ、放流魚はそのまま浮
いている。これは、視野の違いで起こる。養殖されたものは視野が狭い
のである。本当のサツキ鱒は、浮き袋を持たないが、養殖魚には、浮き
袋をもつものも出てきているとの事。
 サツキ鱒を増やしたければ、放流魚は避けるべきである。
放流魚は天龍川へ戻る性質がないからである。本当に増やしたければ天
龍川へ昇った魚と、できれば阿多古川にすむアマゴとを掛け合わせるの
が一番である。こうすると、回帰率は上がり、かなりの魚が戻って来て
しまう為、逆にいい魚だけ放流する様に間引いた方がいいとの事。
 卵と採って放流する方法は、カナダやアラスカでは既に行われており、
実正済みである。個人的にいくつかの河川で行った結果、凄い事になっ
てしまったそうだ。慎重に行うべきであると付け加えられた。
 この方法をとる場合は、天龍川に昇った魚の中からできるだけ大きい
魚を用意するとよい。それは、大きい魚の卵は、大きく、ふ化してから
餌を採るまでの養分が豊富にあり、必然的に固体差が出るからである。
これを繰り返せば、もしかすると昔の様に大きなサツキ鱒見れるかも知
れないと言っていた。 天龍川は、日本の中でも有数の大河川であり、
これだけの川ならまだ、サツキ鱒を育む事ができるだろうとの事。

以上、この様な内容の事を教えてくれた。
 私自信、この話について、証明する事ができないので残念であるが、
回帰率の件については、うなずける内容である。
以前、釣り雑誌でアメ鱒の記事があったが、昔は3回、海と川を行き来し、
90B位になったと書いてあったので、考えられない事もない。
以前、投網にかかった54Bのサツキ鱒のはく製を見た事があるが、こうい
う魚の卵を増やせば、大きな魚も夢ではないと思う。
少し別の話になるが、ニジマスの70B位のものは今でも釣られている
様であるので、まだ、天竜川は、大きな魚を育む事ができると思う。

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