えーと、血豆と言っても、豆たんがドアに指をはさんだ、とかそういう話じゃないんでよろしくお願いします…。
といっても、やばいことはなーもないですよ、全然!
SSSです。











NOTICE
「やあ、ディア・ボーイ。久しぶりだな」
その人の第一声は、笑みを含んだそんな言葉だった。
懐かしいその呼び方に、ショーンも悪戯っぽい笑みを浮かべて答えた。
「お元気そうですね、 少佐 サー ?」


「お互い出世したもんだ!」
王様とはな、とブライアンは豪快に笑ってショーンの肩を叩いた。
二人して折りたたみの椅子に腰を下ろし、密談でもしているかのように膝を突き合わせている。温いコーヒーの入った紙コップをグラスのように合わせて、ショーンはわざとらしい哀れっぽさを滲ませて言った。
「そうは言うけど、俺はしがない小国の王で、相変わらずあんたに使われる運命にあるってわけだ」
──あんたの上にはもうウェルズリーはいなくなったってのにね?
そう言って片目を瞑って見せる。
「有能な部下は手放し難いもんさ」
悪びれずにそう嘯いて、ブライアンはまた笑った。
「命令を確実に実行できるとわかってる部下がいるだけで、上司の苦労は3分の1に減る」
「旗を運べだとか砦を落せだとか、あんたの持ってくる仕事はいつもやっかいなものばかりだ」
「アキレスを口説け、とかな」
「そうさ」
二人で吹きだしたところに、当の『アキレス』が通りかかった。
「楽しそうだな? ミュケナイの王と何か悪巧みか?」
ブラッドがニヤニヤ笑いながら言った。きれいに整った顔は、そういう表情をするとと酷薄そうにすら見える。
けれどショーンはまだクスクスと笑いながら、ギリシア屈指の英雄を見上げ、紙コップを捧げて見せた。
「Yes,sir.どうやったら君を口説き落せるかをね」
「アキレスが女だったら、この笑顔で近づけばイチコロだろうけどね」
ブライアンが笑ってそう言う。
「いや、男でもイケるかな?」
「何を言いだすんだ、ブライアン!」
ショーンが驚いたように『上司』を振り返る。
「おや、知らんかね。チョーズン・メンの連中もレッド・コートの奴等も、みんなショーン・スマイルのファンだったがなあ」
「チョーズン・メン?」
ブラッドが少しだけあごをひいた。それだけで「それってどういうことかな?」という質問になる。
演技力、というよりスター俳優の存在感だろう。
「ああ、失礼。以前ショーンと私はイギリスのテレビドラマで共演したことがあってね」
ナポレオン時代に舞台をおいたという、英国陸軍のドラマの話を聞かせ、ショーンが彼の部下役だった俳優達にいかに慕われていたか、ということをブライアンはとくとくと語った。
「ブライアン、そんな話をしても迷惑だよ」
ショーンが困ったように笑って、先輩俳優をたしなめる。
その無防備な笑顔に、ブライアンは「ね?」とウインクをよこした。
「みんなアレにやられっちまうのさ」
君も気をつけて、まあ心配はないだろうが、と、アキレスの仇敵たるアガメムノンは親切な忠告を残してその場を立ち去った。残されたショーンは少しばかり気まずそうにブラッドを見た。
「悪かったね、ブラッド。興味のない話を聞かせて」
「いや、そんなことはないよ。君の──テレビドラマ? 残念ながら見たことがないんだが、ビデオかDVDで見られるかな?」
「……そりゃ見られるけど……本気かい?」
主演俳優の気まぐれに、ショーンが驚いた顔をする。子供のような反応がおかしい、とブラッドは笑った。
「本気さ。面白そうじゃないか」
「変わった男だな、君も!」
喉の奥で声を転がすようにして笑うと、ショーンは一息にコーヒーを飲み干した。
まあ、この撮影が終わるまでは無理かも知れないけどね、と呟いてブラッドは、隣に座る『親友』を横目で見た。

──ブライアンの忠告はとても親切で正鵠を射ていたが、少しばかり遅かったのではないかと思いながら。

END
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2004.07.20


血豆が書きたかったんじゃなくて、シャープシリーズの話をする豆と舵(COXって、「舵手」って意味なんですって)が書きたかったんです…。
でもそれだけじゃ三行で話がおわっちゃうから、BPさんに出演してもらいました。
し、出演料高いかな…!?