東京都現代美術館

2001年1月6日

東京都現代美術館

ギフト・オブ・ホープ   21世紀アーティストの冒険

  現代において一体美術に何ができるのか。遠い昔、美術は人々の記憶や理念、象徴などを具現化し、視覚的な手段に託して表現したものだったのではないか。それがいつしか文化へと発展し、美術という区画に割り当てられた。元来、生活の一部であった美術は時代の流れとともに、人々から遠ざかり、新たな方向を携えて独立してしまった。美術の根底にある人々の作りたいという気持ちや表現したいという気持ちは遠い時間をさかのぼり、文化の記憶を呼び覚ます。芸術家が創り出した贈り物は時を越えて現代の人々に様々な意思をなげかける。

 展示室に入ると無数の人形が並べられていた。その人形に搭載されたガイガーカウンターは自然放射能(宇宙線)を受けるとかすかな電子音を発し、点滅する。展示空間に鳴り響く電子音が宇宙に浮いている地球を実感させる。こうしている間にも無秩序に降り注ぐ自然放射能の存在を目に見える形で確認することができた。メッセージを受け取って発信する。同じくアーティストは形にできない感じづらい想いを敏感に察して表現するために存在するのか。表現方法、感じる想い、創りたい…様々な想起。このガイガーカウンターは1986年、旧ソ連チェルノブイリ原子力発電所の大事故により地球規模の放射線汚染が生じたことから得たものであった。自らの想いに訪問し、形として表す。そこに不協和音があろうと歩く。ただ歩くのだ。誰も歩こうとしない道を歩くのだ。

 波間にただよう小舟のことを想像してみよう。ぼくたちの魂のようだと思わないか?描くことでわかってくることがある。ただ思考の先にあるものをスラスラと書き連ねてみたら。折りたたみ椅子がボートの形に並べてある。椅子に座って想像の航海に出よう。ただそこに想像というものがある限り僕らは自由に旅立てる。その旅の途中には自分の中にある大事な想いを気づかせる何かがある。このインスタレーションは移住や航海といった放浪するキューバの人々から得たものであった。

 美術は次第に観念的なものとなり純粋性をも通り越して、自らの交換経済には回収されない価値さえもなくし始めている。その特別の価値を救うべく、現代の芸術家たちは活動すべきである。今回のこうした試みは希望の贈り物と題して美術館に訪れた人々一人一人に生きることの尊さを考えさせるものであった。美術はいつも限りない可能性を与えてくれる。希望への明るさと強さ。そんなものがこれからを変えて行くだろう。小さな表現の中に詰め込まれた意思の数々。流れ出したわずかな善意がやがて大きな方向性を持った流れになることを期待している.。

【エリア・沿線セレクション】人気の路線に住みたい!
小説 エッセイ 転職/就職 eビジネス 特選情報 雑文 BBS
小さな幸せ 連載コラム 新生活応援SP ビジネス書紹介 美術館紹介
[Link] 浮気調査 ワーキングホリデー 廃車 オフィス家具 薬剤師 求人