真保 裕一という作家は実に精巧に物語を作る。だから、嫌悪感を催すほど
細かいっ!と思われることもあるだろう。
話がなかなか進まなくてイライラする〜と誤解されることもあるだろう。
しかし、そこにリアリズムがあると考えれば、それは素敵なことだ。
深くえぐる洞察力だけじゃない。事実を記載することの
美しさ、ジャーナリズムがあると考えられるからだ。
前置きは長くなったが、今回の「繋がれた明日」は
精巧に物語を作ってはいるが、テンポがいい。
バランスの取れたサスペンス。
そういう意味では、今回の作品は、一般的な作品だ。
真保ワールドの、「ぐるぐる回る現実」というのは
感じられないものの、真保 裕一の感じる
人間性の性善性が見事なまで描かれている。
人を殺した少年が出所をして、自立していくまでを
描くストーリー。
「黄金の島」もそうだったが、最近、鬱屈した空間を
描くのが実にうまい。
こちらまで憂鬱になってくるくらいだから。
それでいて、ストーリーには、希望やはかなさが
人間の切なさが滲み出ている。
NHKがドラマ化をしたのも、わかる。
そんな作品でした。
■ 「奪取」も名作です!!
|