冬のある朝、周囲を雪に閉ざされた静かな一軒家。
その家の男主人マルセルはベッドの上で背中を刺されて死んでいた。
しかも、電話線は切られ、クルマの配線も壊されて、家は陸の孤島にされていた。
遺族の5人の女たちとメイド2人はなす術もなく途方に暮れる。
そこへ訪ねてきたマルセルの妹を加えて、計8人の女たち。
状況から考えて、犯人はこの8人の中の誰かに違いない。
かくして、女たちの犯人探しが始まる。
それぞれの事情や欲望を抱え、疑心暗鬼に駆られて、互いの腹を探り合いながら……。
なんだか変な映画。
内容的には、ミステリーと言えばミステリー。
ミュージカル仕立てという趣向らしく、登場人物が突然歌い始めたりする。 どういう映画なのか知らずに行ったので、何も心の準備が無かったから、最初はちょっと驚いた。
8人の女性がそれぞれ持ち歌(?)を一曲ずつ歌うので、計8曲。
さてその8人の女性キャラクタをここで簡単に紹介:
ミステリーと言っても、主体はこの8人の愛憎が織り成す人間模様だ。 テーマがあるとすれば 「家族は愛し合い助け合うのが重要」 というところだろうか。 それは恐らくこの映画が女たちの人間模様を紡ぐための縦糸ではあるだろう。
ただ、この映画の製作者はどちらかと言えば横糸のほうがやりたかったみたいだ。 つまり、きれいな女優を一ヶ所に集めて、笑ったり怒ったり互いに衝突したり突然歌ったりということをさせる。
実際やってることと言えば延々とそれだけで、それ以外のものはほとんど何もスクリーンに映らない。
正直に言って、8人それぞれ歌も踊りも大して上手い訳ではない。 それにも拘らずこういう映画を作ってしまったのは、ケネス・ブラナーの「恋の骨折り損」と同じような確信犯なんだろうな。
だから、女優同士のやり取りや彼女たちの歌や踊りを「演目」として面白がることができるかどうかが、本作を楽しめるかどうかの分かれ目だと思う。
ぼくにとってはちょっと微妙だなぁ……。 こういう映画だと予め知っていたら観ようと思ったかどうかは疑わしいが、かと言って実際に観てみて損したという気もしない、というところ。
ところで、どうもこういう映画を見ていると偏見を持ってしまいそうだが、フランスの裕福な人たちにとっては愛人を作ったり貢いだり貢がれたりレズったりするのは日常茶飯なのだろうか。 いや、そんな訳ではないはずだ(……と思うのだがすでに自信が無い)。
シュゾン役の女の子がかわいかったです。
2003-01-06