その後「史上最低の監督」に選ばれることになるエドワード・D・ウッド・ジュニアが、映画監督という自分の夢を実現するためにひたすら楽観的に突っ走る話。
映画作りって本当にそれでいいのか?といいたくなる展開続出だが気にしてはならない。 当人の夢である。
まず手始めに舞台劇をやるが不入りで、観てもいない批評家から酷評される。
しかしくじけない。
いわく「見ろ、ちゃんとほめてるぞ、『軍服がリアルだ』とね」
次に性転換した男性を題材にしたB級映画の監督・脚本を手がけるが、これを強引に愛と感動の芸術作品に仕立て上げようとして見事に外してしまう。
ちょっとくじけそうになるがまだまだである。
その後、資金繰りに苦しみながらSF大作に立て続けに挑戦するも、見る目のない大衆からは支持を得られない。
でもやっぱりくじけない。
本当の戦いはこれからだ!
まあやっぱり才能なかったんだろうけど、映画への情熱みたいなものは感じてしまう。
例えば、 "Plan 9 From Outer Space" の撮影シーンではセットの墓石(安っぽいハリボテ)が撮影中に倒れてしまうが、
「誰がそんなことを気にするっていうんだ」
と言って撮り直ししなかったりする。 そんな些細なことは、撮影という一期一会の真剣勝負の中ではどうでもいいことなのである。
いや、エディ、フィルムがもったいないんじゃなきゃ撮り直した方がいいと思うよ。
しかし、近年の制作費を食うばかりのつまんない映画を作りまくっている連中の耳元で聞かせてやりたいセリフではあります。
鈴木清順監督「カポネ大いに泣く」という映画に、今は亡き荻昌弘氏が
「泣くのは映画会社のほうだと言ってたら、果たしてその通りでした」
という意味のコメントを付けていたのを思い出した。
ベラ・ルゴシがドラキュラの扮装で埋葬されるというエピソードが印象的。
エド・ウッドの2人めの恋人を演じたパトリシア・アークエットが愛らしい。
ビル・マーレイのオカマはハマリ役。
エンディングで主要登場人物のその後が簡単に紹介されるが、ちょっと涙出そうだった。
というわけで、これもお気に入りムービーの一つになっている。
なお、エドワード・D・ウッド・ジュニアは実在の人物である。
レンタルで "Plan 9 From Outer Space" を観たけど、
「これよりもっとひどいのはいくらでもあるだろう」
と思ってしまった。 これで史上最低なのかぁ。
当時は今より映画全体のレベルが高かったんだろうか。 それともエド・ウッドが下げたとか?
AT&T の "Plan 9" っていうOSのネーミング、ここからとったのかなぁ。 Outer Space も略せば OS だし。
1997-06-30