魔法学校一年生の少年ハリー・ポッターが「賢者の石」を見つける話。
詳しくは原作小説を読んでください。
原作者のローリングは映画化にあたって幾つか注文を出したという話を聞いた。 例えばその中には、俳優はイギリス人だけにするように、というものもあったそうだ。 そんな訳で、ハリウッド映画でお馴染みの顔ぶれというのはあまり出てこない。 もっとも主役は10歳かそこらの子役なので、お馴染みのはずもないのだが。
その主役のダニエル・ラドクリフ、虐げられた幼少時代を送ったせいであまり健康優良とは言えないものの知恵(それなり)と勇気(かなり)を備えた少年ハリー・ポッターを好演。 記者会見か何かでメガネをかけていないラドクリフの写真を見るとあまりハリーのイメージを感じないのだが、映画の中でメガネをかけて動いているラドクリフはいかにもハリーだ。 いいなこいつ。
もう一人良かったと思うキャラクタを挙げるなら、魔法学校の校長ダンブルドアだ。 悪の魔法使いヴォルデモート卿が唯一恐れる魔法使いにして校長先生、という威厳があって良かった。
彼が特に印象的に登場するのは最初と最後だ。 最初に出てきて観客を物語の世界に誘うのもダンブルドアなら、最後に出てきて物語に一区切りを付けるのもダンブルドア。
そうなるのも納得という感がある。
扮装は本の挿絵にある通りで、扮装と言うよりコスプレという印象も無いではないが。
さて、本作の意義はなんといっても 「あの原作を映像化した」 というところにあるのだと思う。
現代社会は科学文明に支えられている。 魔法なんて子供騙しの嘘でしかありえないはずだ。 その現代社会に魔法社会を(たぶん)現代的な描写で並立させたのが原作小説。
その世界観を(たぶん)最先端の映像で見事に描き出してみせたのがこの映画だ。
観ていると、魔法の道具や不思議な生き物が、本物のような映像で次から次にテンポ良く登場するので、「ハリー・ポッター」の世界観の中に映画の最後まで浸ることが(たぶん)できる。
話の展開は原作の展開を概ね忠実になぞっている。
意外性は無いがハズレでもなく、その意味では手堅い作り。
2003-01-03