妖怪ハンター ヒルコ

Data

原作
諸星大二郎
監督
塚本晋也
出演
沢田研二, 工藤正貴, 上野めぐみ, 室田日出男, 竹中直人, et al.
公開
Japan, 1991

Story

かつては将来を嘱望されながら「妖怪は実在する」と主張したために学会から追放された考古学者の稗田は、発掘中の事故で亡くなった恋人の兄で高校教師の矢部から一通の手紙を受け取る。 それは、矢部が発見した古墳の調査への協力を要請するものだった。

しかしその一方、矢部は女生徒・月島とともに古墳に入り、そのまま消息を絶つ。 実はその古墳は、妖怪たちを封じ込めた封印だったのである。 矢部を訪ねた稗田は、あやうく妖怪に襲われるところだった矢部の息子・マサオを救い出し、二人で妖怪に立ち向かうことになる。

My comment

タイトルは「妖怪ハンター ヒルコ」だけど、「ヒルコ」は妖怪の名前であって妖怪ハンターの名前ではない。
そもそも妖怪ハンターという言葉から連想される「妖怪退治のプロ」的な人物は出てこない。 妖怪の存在を肯定する稗田にしたところで、妖怪を目の当たりにするのはこれが初めてという設定であり、そもそも危険にさらされたときにカッコいい勇姿を見せてくれるどころかずいぶん腰がひけているので、ハンターというにはちょっと……である。
そういや菊地秀行・細馬信一「魔界都市ハンター」でも「いったい誰がハンターなんだ」という話があったっけ……あれは逆にハンター候補がたくさんいたんだけど。

とにかく、この映画のウリは妖怪退治する主人公のカッコよさではなく、ヒルコ(に襲われる場面)の不気味さとロールプレイングゲーム的な謎解きの過程。 うん、僕的にはオーケーである。

ヒルコのデザインとか見せ方とかいった絵的な点で、美しさとおぞましさの落差を強調すれば、もう少し怖さや気持ち悪さが増すんではないかという可能性が感じられて、それがちょっと惜しかったけど。
給食室みたいなとこで二人が初めてヒルコと対峙する場面では、もう次の瞬間めちゃくちゃ怖くなりそうな予感がして、観ていて結構ビビってしまった(それはそれで良かった)。

ラストの被害者昇天シーンは、妖怪とは違う意味で不気味。

1998-07-01


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