(その壱)をお読みになった方は、アニメーターが、どんな状況下で仕事をしているか、多少はお解り頂けたと思います。
では、今回は、何故このような状況になったのか、私的な見解ではありますが述べさせて頂きます。
この見出しを見て、いきなり「なんだ?」と思いになるでしょうか。
実は、こう思っているアニメーターは、結構多くいるようです。
その理由は、「鉄腕アトム」の頃までさかのぼります。
当時、TVアニメを毎週放映するということは、予算面から見ても不可能と思われていました。
しかし、故・手塚治虫氏は、かなりの低予算で「アトム」の製作を引き受けたということです。
そして、予算の不足分をキャラクター商品などで生まれる利益で補い、リミッテド・アニメーションにすることでTVアニメ「鉄腕アトム」を作りました。
(現在の日本のアニメは、ほぼリミテッド・アニメですが、当時、アニメといえば皆、フル・アニメーションでした。)
つまり、現在の日本のアニメの基礎は、良くも悪くも、この時に故・手塚治虫氏が作ったといってよいでしょう。
ただ、当時の状況では、他に方法がなかったのかもしれませんが、その後、結果的に改善しなかったことは、非難されてもしかたの無いことなのかもしれません。
わたしが、アニメーターをしていたときに、つい、愚痴として出た言葉がコレです。
(「所得倍増計画」……池田元首相のアレです。)
つまり、アニメーターの仕事の単価は、昔っから変わってないんです。
どのくらい昔からかというと、「動画1枚書いて、ラーメン1杯食べれた。」ってぐらい昔です。
ところで、ラーメン1杯150円かそこらって、いつの話なんでしょうか?
知ってる方、教えてください。
さて、今度はアニメーターの経済感覚の低さです。
先程、述べたように、アニメーターの給与は、物価の上昇率と全くリンクしておりません。
では、当時のアニメーターは、どのようにしてそれに対処したのでしょうか?
実は、全く対処してないと言ってよいです。
特に、労働者の権利(団体交渉権など)を、全然行使してません。
しかし実際、歩合制、スタジオの規模(20人以下のところがほとんど。数人しかいないところもある。)などを考えると、たとえ行使したとして、どの程度対処できたか、かなり怪しいものです。
では、現在は?
やはり対処していません。
一部の団体が改善運動をしていますが、未だ実績を上げてはいないようです。
まあだいたい、クリエイターに経済観念を求めること自体、間違いかもしれません。
結局、自らの技術を高める(仕事の手を早くする)ことでしか、所得を上げることをしていません。
以上がアニメーターの現状を生んだことへの、私的見解です。
あと、参考までに「映画演劇アニメーション ユニオン」という組織がつくった「テレビアニメの雇用基準要求」と言うのを書き写します。
労働基準法第27条(出来高払いの保障給)を守れるように「出来高プラス月単位の固定給」方式をとること。
また、東京の「地域最低賃金」(日額5028円、時間額634円)をクリアーすることを前提に、下記「アニメーターのモデル賃金」を基準とする。
「アニメーターのモデル賃金」
平均的アニメーターをモデルとして、出来高の平均単価に1ヶ月あたりの平均作業量をかけて「出来高賃金」を割り出し、さらに賃金保障(固定給)としての「月保障額」を加える。
<原画モデル>
1カット3000円×月50カット+月保障7万円=月額22万円
<動画モデル>
1枚200円×500枚+月保障5万円=月額15万円
注・労働基準法第27条「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金を保障しなければならない」
テレビアニメ製作に参加しているスタッフ全員に、夏・冬の一時金を最低手取り10万円支払うこと。
「アニメの現場に労基法を」の第1段階として「雇用保険」「労災保険」に加入すること。
(在宅作業をしているフリーのアニメ制作スタッフにも、希望者には適用すること)
交通費(通勤費)を支給すること。フリーのスタッフにも打ち合わせの際の交通費を支給すること。
以上