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All over you |
国内盤CD:PCCY-00972 輸入盤CDも発売中
96年発表、現在のところキャラヴァン最新のスタジオ・レコーディング・アルバムである。彼らの過去の名曲を当時流行していた「アンプラグド」風にセルフ・カヴァーしたアルバムだ。まさかキャラヴァンまでアンプラグドとは・・・発売当時、本作を手にとってそんな風に思ったのをよく覚えている。僕は新曲を期待していたからだ。しかし困ったことに内容は非常に良い。もともとが名曲だから当たり前なのだが、アコースティックにアレンジし直された楽曲はどれも熟成したワインの如き雰囲気で心に響いてくる。
オープニングのセカンド・アルバムのタイトル曲からしてすでによく出来ている。原曲はデイヴのオルガンが活躍する傑作4分の7拍子ポップスだったが、ここではアコギをメインにした飄々とした雰囲気の演奏が聴ける。サックスも良い感じだ。続く2曲目はファースト・アルバムの一曲目だった「プレイス・オブ・マイ・オウン」。ファン垂涎の選曲である。ここから7曲目あたりまではどの曲も甲乙つけがたい出来だ。個人的には「ゴルフ・ガール」で聴けるパイ・ヘイスティングスのヴォーカルの雰囲気がたまらない。これだけでなく、「分離」、「グレイとピンクの地」「ハロー・ハロー」といったリチャード・シンクレアがリード・ヴォーカルを歌っていた曲を多く取り上げているのも面白いところだ。
面白いのは「ハロー・ハロー」を4分の4拍子で演奏していること(原曲は4分の7拍子)と、ヘヴィにアレンジされた「フォー・リチャード」だ。だが個人的に「フォー・リチャード」のアレンジはどうも・・・何しろオリジナル・テイクが素晴らしすぎるからなあ。パイの歌もファルセット・ヴォイスじゃなくて落ち込んだケヴィン・エヤーズのような低い声だし。それでも最後まで聴けてしまうのは名曲の証か。ちなみに8分ちょっとでこの曲にしては短めの演奏である。
ラストは「夜ごと太る女のために」のオープニング2曲のメドレーだが、オリジナル・テイクとアレンジはほぼ同じである。観客の歓声がやたらと聞こえるが、音を聴く限りは疑似ライヴって気がする。曲が良いから結局楽しんで聴けてしまうのだが。
そういうわけでキャラヴァンをよく知らない人にも本作はおすすめできるが、オリジナル・テイクをしっかり聴いているとより一層楽しめると思う。パイ・ヘイスティングスも昔からのファンへのプレゼントのつもりで制作したアルバムだったんじゃないかって気がするなあ。
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