![]() |
The best of Caravan “Live”
*CDはChance of a Lifetimeも続けて収録 |
国内CD : UICY-3517 原盤LP : Kingdom 426002(French press)
1980年にリリースされたライヴ・アルバムで、現在のところフランスのみで流通したとされている作品だ。しかし実際にはドイツ盤も存在しており(番号:KINGDOM INT 157.800)、もしかするとドイツでも発売された可能性があると思う。いずれにせよ英米では発売されずレア盤として語られてきた、ある意味でいわくつきのアルバムだ。
しかし内容の方はすこぶる良い。収録されているのは1974年英国クロイドンのフェアフィールド・ホールでの公演で、メンバーは「ロッキン・コンチェルト」制作時と同じ。選曲も最高だ。名曲「狩りへ行こう」と「ザ・ドッグ・ザ・ドッグ・ヒーズ・アット・イット・アゲイン」のライヴ・ヴァージョンだけでもたまらないのに「ラヴ・イン・ユア・アイ」と「ヴァージン・オン・ザ・レディキュラス」のノン・オーケストラ・ヴァージョンは入っているは、D面全てを使った「フォー・リチャード」は聴けるはでとにかくファン垂涎としか言いようが無い内容だ。しかも録音まで良いのだ。パイのギターのレベルが少し低いが・・・
収録されているテイクはどれも良いが、やはり他ではなかなか聴けない「狩りへ行こう」に注目したい。これははっきり言って名演だ。オリジナルはオーケストラとの共演だったが、バンドのメンバーだけでスタジオ・テイクに肉迫する演奏を聞かせてくれる。同様のことは「ラヴ・イン・ユア・アイ」や「ヴァージン・オン・ザ・レディキュラス」にも言える。このころのキャラヴァンがいかにまとまっていたか良くわかる名演ばかりだ。僕の大好きな「ザ・ドッグ・ザ・ドッグ・ヒーズ・アット・イット・アゲイン」もたまらない。ラストで聴けるジョフリーのヴィオラ・ソロが何とも良い雰囲気を醸し出している。
ラストの「フォー・リチャード」がまた良い。18分近い熱演で、とにもかくにもジョフリーが大活躍している。ヴィオラとギターを持ち替えるはグロッケンシュピールは叩くは、器用としか言いようが無い。それに対抗するデイヴのオルガンソロがまたぶっ飛んでいて、一歩間違うと止まるんじゃないか?と思いたくなる危うげなフレーズをさかんに弾いている。さらにはギターとキーボードのソロ・バトルが聴ける。もっともこのギターソロ、パイではなくジョフリーが弾いているようなのだが・・・いずれにせよテンションの高い快演である。ほぼ同じ構成の「フォー・リチャード」が91年に発表された「BBCラジオ・ワン・イン・コンサート」でも聴けるが、本作収録テイクの方が優れている。
かくしてこのアルバム、キャラヴァンのファンならずとも聴けば納得の大傑作と言ってよい作品だが、長年謎だったのはどうしてこれが英米で発売されなかったのか、という疑問である。しかし2002年のキャラヴァン来日公演で、パイ・ヘイスティングスに直接「どうして『The best of Caravan live』はイギリスで発売されなかったのですか?」と訊ねてみたら、びっくりするような答えが返ってきた。何とパイ曰く「こんなライヴアルバムが発売されていたなんて知らないよ!」と言うのだ !! さらにパイが語ったところでは、「当時のマネージャーだったテリー・キングがバンドに無断で発売したアルバムだと思う」ということで、すなわちこのアルバムは幾ら売れてもバンドに一銭の金も入らない「海賊盤もどき」みたいな作品だったらしい !! …多くのファンが抱いていた疑問は、一番驚かされるような形で解決したのだった。
しかし2002年春、遂に長年ファンが抱いていたモヤモヤが晴れる日がやってきた。ユニヴァーサル・デッカより、タイトルを「Live at Fairfields Hall」と変えCD化が決定したのである !! 実際に品が店頭に並んだのは2月だったが、手にとってみて驚いたのは上に展示するようにジャケットが全く変えられていたことと、アナログには収録されていなかった「チャンス・オブ・ア・ライフタイム」が「ビー・オールライト」に引き続いて完奏されていたことだ。あとは曲順が若干変えられているが、何にしたところで熱心なファンのみならず初めて聴く人にも自信を持ってオススメできる内容である。
発売から20年以上を経て、世界中のファンに本盤が聴かれる日が来たのは本当に喜ばしい…この作品は間違いなく「ロック史上もっとも聞き逃されてきた名盤」の1つなのだから。
Back to "1976〜1982"