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Better by farSilver Strings |
前作「聖ダンスタンス通りの盲犬」の発表後、ベース、ヴォーカル、作編曲で幅広く活躍していたマイク・ウェッジウッドが脱退した。新たに参加したのは元ダリル・ウェイズ・ウルフのデク・メセカー。この人については細かい資料が無いので詳細不明なんだが、ウルフ時代から安定したベースを弾いていたし、ついでに言うと下手だったが歌もなかなか味があったので僕は好きなミュージシャンである。イアン・マクドナルドがプロデュースした彼らのファーストもかなりの良作なので、興味のある人は是非聴いてみて欲しい。国内盤CDなら比較的簡単に手に入る筈だ。
さて本作はキャラヴァンの9作目である。ここに至ってキャラヴァンは気品あふれるポップスを演奏するようになっており、プログレ色はほとんど無くなっている。そのせいなのかあまり注目されていないアルバムだ…しかし本作がつまらない作品だと思ったら大間違いである。冗長な感が無いという点では前作よりよく出来ている作品だし、聴き込めばわかるがコンパクトながら質の高い作品を集めた好盤だ。
メンバーで目立っているのはやはりパイとジェフリーである。特にタイトル曲や「ギヴ・ミー・モア」等のしっとりしたバラードで聴けるパイのヴォーカルは何とも魅力的だ。また本作ではジェフリーの成長が著しく、マルチ・インストルメンタリストとしてはもちろん作曲面でも貢献しており、彼が書いたA面ラストのインストゥルメンタル・ナンバー「ザ・ラスト・ユニコーン」ははっきり言って名曲だ。ここでジェフリーはヴィオラのみならずギター、マンドリンも弾き、さらにはフルートまで手がけ大活躍している。ヴィオラで奏でられるテーマのメロディも素晴らしく、ポップなキャラヴァンに興味のない人たちにも自信を持っておすすめできる曲である。
もう一つ注目しておきたいのがヤン・シェルハースの華麗なキーボード・プレイだ。はっきり言ってこの人の実力は過小評価されていると思う。前作に比べると少し控えめな感じだが、そのぶんさらにツボにはまった感のあるセンス良いプレイを聴かせている。また本作には「マン・イン・ア・カー」という彼のペンによるナンバーが収録されているが、これがなかなか気持ち良いポップスで僕はとても好きだったりする。
他ではラストの「ナイトメア」もパイの持ち味を生かしたバラードで素晴らしい出来だ。悲しげなメロディや美しいヴィオラは何度聴いても胸が締め付けられてしまう。軟弱なAOR聴いて泣いている場合ではないのだ。ついでに言っておくと本作のアウトテイク集が1994年に「クール・ウォーター」として世に出たが、それについては後のページで紹介しているのでそちらを参考にして下さい。
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