1990〜2002 

  

Left to right : Richard Coughlan , Dave Sinclair , Pye Hastings ,Jim Leverton , Geoffrey Richardson


1982年、ついにキャラヴァンは解散した。時代を超越しうる良質な音楽を作り続けた偉大なバンドの最後としてはあまりにも淋しい終わり方だった。元メンバーたちはリチャード・シンクレアを除いて音楽業界からリタイヤ、独自の道を歩み始める。パイ・ヘイスティングスは機械のエンジニア、リチャード・コフランはパブを経営、デイヴ・シンクレアはピアノ・ショップを経営、といった具合に。彼らの旅は終わった・・・かのように見えた。恐らくは誰もがそう思っただろう。

1990年、キャラヴァンは突然の再編コンサートを行う。英国ノッティンガムのセントラルTVの音楽番組“BED ROCK”に出演したのだ。メンバーはパイ、デイヴ、リチャード・コフラン、リチャード・シンクレア、そしてジミー・ヘイスティングス。オリジナル・メンバーによるまさに夢のようなコンサートだった。このニュースは我が国にも伝わり、一部のマニアの間で話題となる(音源は93年にオフィシャル・レーベルから「ライヴ」としてCD化)。しかしその後続くニュースは全く無かった。91年に英国のウインドソングが75年パリス・シアター公演を「ラジオ・1・ライヴ・イン・コンサート」として発売したり、リチャード・シンクレア「キャラヴァン・オブ・ドリームス」という思わせぶりなタイトルのソロ・アルバムを92年に発表したことぐらいである。

しかし94年、ついにキャラヴァンの新作が発表された。アルバム「クール・ウォーター」である。内容は「ベター・バイ・ファー」の頃のアウトテイク集で、新録ではなかった。しかしそれでもファンは喜んだ。ほぼ同時期にはデイヴ・シンクレアの幻のファースト・アルバムがCD化されたりと、音楽シーンも彼らに好意的だった。キャラヴァンが復活するための十分な下地は出来ていた。

そして95年。待ちに待った新作が届く。紛れも無いキャラヴァンのニュー・アルバム、「ヘイスティングスの戦い」である。メンバーはパイ、デイヴ、リチャード・コフランの3人に、ジョフリー・リチャードソン、新べーシストとしてジム・レヴァートンを加えた5人。名作「夜ごと太る女のために」の頃と同様の編成だ。かつて大活躍したジョフリーが戻ってきたのも驚いたが、ファンは何よりも彼らが正式に再結成したことに喜んだ。待たされたニュー・アルバムはいかにもパイらしい暖かみのあるポップ・ソング集で、ファンの期待を裏切らない出来だ。

96年には再結成第2段「オール・オーヴァー・ユー」が発表された。驚いたことに過去の名曲群を再レコーディングした作品で、時流に乗ったのかほとんどの曲に当時流行していた「アンプラグド」風のアレンジが施されていた。新曲が聴けないのは残念だったが、新鮮なアレンジで聴く「ゴルフ・ガール」や「分離」にはやはり魅きつけられてしまう。

そして97年暮れには「‘ライヴ’・カンタベリー・カムズ・トゥ・ロンドン」が発表される。97年9月17日にロンドンで行われたコンサートを収録したものだ。ギタリストとパーカッショニストで2人の新メンバーが加わっているのは意外だったが、新旧取り混ぜた選曲、さらに安定したアンサンブル、新しいアレンジで聴く過去の名曲など聴き所は多い。98年5月にはオランダで活動するキャラヴァンのファン・クラブ “The Continental Caravan Campaign”ことCoCaCampから、限定500枚の2枚組ライヴCD「バック・オン・ザ・トラックス」が出た。97年9月27日のオランダはTivoliでの演奏をコンプリート収録したもので、上述のライヴ盤と似通った内容である。しかしながらセカンド・アルバムのタイトル曲を取り上げるなど旧マテリアルの演奏が充実しており、ファンならば一度聴いてみるべき作品だと思う。CDは通信販売で入手可能だ。

また、90年代後半には急激に旧ライヴ音源のCD化が進められ、英国のHUXレコードは彼らのBBC音源を正規リリース(98年2月に「ソングス・フォー・オブリヴィオン・フィッシャーメン」、11月には「イーサー・ウェイ」発売)し、99年5月にはHTDレコードがブートレッグとして出回った音源を「サプライズ・サプライズ」のタイトルでオフィシャル・リリースした。99年夏には待望の新作“All over you ...too”が発売されたが、タイトル通り96年発売の「オール・オーヴァー・ユー」の続編的作品で、旧マテリアルの再録音集だった。どのアルバムも良い内容なのだが、熱狂的なファンの一人としてはやはり彼らの新曲が聴きたい気がするのも確かである。

そして2002年春、私を含めた日本在住の多くのファンが待ち望んでいたことが現実となった。キャラヴァンのメンバー自身も望んでいた初来日公演が遂に行われたのである。会場を埋め尽くしたファンを前に、バンドは熱演を繰広げてイギリスへと帰っていった。蛇足ながらこの来日公演の二日目の夜、パイ・ヘイスティングスのご好意により当サイトは公認サイトとなった。

2002年7月にはかねてより計画されていたホームページからの通信販売が始まった。第一弾としてリリースされたのは1968〜1972年にかけてBBCで録音したラジオ用ライヴ音源集で、タイトルは「Green Bottles For Marjorie」。音質は良いとは言い難いものの、キャラヴァンの熱気溢れるライヴが楽しめる必聴盤である。日本からの注文も無論受け付けているので、入手したい方はお早めに(詳細はこちらをどうぞ)。

その後の2002年秋、彼らに再び大きな転機が訪れる・・・ 

<Album guide>

Live
Radio 1 live in concert
Cool Water
The battle of Hastings
All over you
‘Live’ Canterbury comes to London
Songs for oblivion fishermen
Back on tracks
Ether way
Surprise supplies
All over you...too
Green Bottles For Marjorie



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