キャラヴァンのコンピレーション・アルバムは十数種存在するが共通する内容のものが多い。
ここでは比較的入手しやすいものをいくつか挙げて内容を紹介したい。
Canterbury tales : Deram 314 515 522-2 90年代中ごろに出た2枚組CDで、ファーストから7作目までの代表曲をほぼ完全に網羅している。残念ながら未発表テイクなどは含まれていないが、選曲が非常に良いのでこれからキャラヴァンを聴いてみようという人にもおすすめである。貴重な写真と丁寧なライナーを載せたブックレットも良い。
The Collection : Kingdom KVL 6003 (LP) 「ジ・アルバム」と「バック・トゥ・フロント」の2枚からのベスト・セレクション。選曲には疑問が残るが、シングル「ハートブレイカー」のB面でアルバム未収録曲の「イッツ・ネヴァー・トゥ・レイト」が収録されているのでファンは要チェックだ。僕が持っているのはレコードだが、“The Canterbury Collection”とタイトルが変えられたCDが出まわっているので入手できる。
Canterbury tales : Decca DKL-R 8/1&8/2 (LP) 1976年にデッカより発売された2枚組みベスト。2〜6作目からの選曲で、日本では独自の編集で一枚ものとして発売された。選曲に関しては少々不満があるが(日本発売盤は「ウインター・ワイン」や「狩りへ行こう」等全然違う曲ばっかり入っていた)、ジャケットの良さと「フォー・リチャード」のノン・オーケストラによるライヴ・ヴァージョン(76年)の収録が気になるところだ。ただ、この「フォー・リチャード」、別ページで述べる2枚組ライヴ盤の収録テイクと同じものの様に思える…両者を聴き比べてみたのですが。興味のある方は本作を探して聴いてみましょう。上述の日本盤(件の「フォー・リチャード」も収録している)は比較的容易に見つかると思いますので。
The show of our lives : Mooncrest CRESTCD 036 Z
Love to love you / In the land of grey and pink / Golf girl / Love song without flute / Love in your eye / If I could do it all over again / Hello hello / And I wish I were stoned / For Richard / Headloss / The show of our lives / Memory lain Hugh
98年暮れにイギリスのムーンクレストから発売された編集盤。一見地味なCDだが、驚いたことに収録曲はほぼ全曲未発表のライヴ・テイク。問題は極端に音質の悪いテイクも含まれていることで何だか正規盤らしからぬ点があるものの、オリジナル・メンバーの4人のみによる演奏らしい「フォー・リチャード」や「イフ・アイ・クッド〜」はかなりの聴き応えがある。音質の悪さから考えるとどうしても「熱心なファン向け作品」と言わざるを得ないが、一聴の価値は充分あると思う。なお、「ラヴ・イン・ユア・アイ」は「キャラヴァン&ニュー・シンフォニア」の収録曲からオーケストラを消したテイクのように聞こえる。
Where but for Caravan would I : Decca 524 755-2
(CD 1)Place of my own / Love song with flute / Magic man / Where but for Caravan would I / A day in the life of Maurice Haylett / If I could do it all over again, I'd do it all over you / And I wish I were stoned / Asforteri 25 / Golf girl (Extended & remixed version)/ Nine feet underground (CD 2) Winter wine / Love to love you (Extended & remixed version)/ Love in your eye / Memory lain Hugh / Headloss / A hunting we shall go / Mirror for the day / The show of our lives / Stack in a hole / No backstage pass / For Richard
2000年に英本国で発売された2枚組編集盤。1stより7thまで、各作品からそつなく選曲されているが、売りはやはり“Golf girl”と“Love to love you”の別ヴァージョンを収録した点か。CD1枚目の5曲目“A day in the life of Maurice Haylett”は本コンピ盤発売当事の目玉だったが、2001年に各オリジナル作がリマスター再発された際2ndにボーナス収録された。何はともあれ手っ取り早く彼らの代表作を聴きたいと言う人には現時点で一番のお薦めである。
上に挙げた4枚以外にも数種のコンピレーション盤が発売されているが、ほとんどはデラム時代の代表曲を集めただけのものなのでコレクター諸君以外買い込む必要は全く無いと思う(筆者ですら買っていない)。
あと、上述したムーンクレストからは「トラヴェリング・マン」というCDも出ている。未聴だがHTDレーベルから発表した3枚(クール・ウォーター、ヘイスティングスの戦い、オール・オーヴァー・ユー)からの編集盤だそうだ(情報を下さったKさんに感謝)。
もはや常識的な事実だが、カンタベリー系のバンドは非常にメンバーの入れ替わりが激しい。キャラヴァンも例外ではない訳で、関わったミュージシャンを挙げるだけで相当な数になるが、関連アルバムとなるとさらに話が複雑になってしまう。
今回、それらを知りうる限り全て取り上げようと思ったのだが、あまりにも膨大な量であり、さらに費やす時間もお金もなく計画は断念せざるを得なかった。
そういうわけで、僕の手元にあるおすすめのものをいくつか挙げることで今回は勘弁して下さい。だれか詳しい人が協力してくれるとうれしいんだけどな。
The Wilde Flowers / Same title
キャラヴァンとソフト・マシーンの母体になったバンドの幻の音源のCD化。65年から69年の間に録音された貴重な演奏が収められている。今聴くとさすがに古いが、リチャード・シンクレアやパイ・ヘイスティングスの若き日の歌声が聴けるトラックも入っているし、ファンなら持っている価値はあると思う。作品としての価値よりも資料的価値の方が高いアルバムではあるが。
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Matching Mole / Same
デイヴ・シンクレアがキャラヴァン脱退後に参加したマッチング・モウルの1作目。何と言ってもオープニングの「オー・キャロライン」で決まりだ。デイヴの作曲した曲の中でもベスト3に入るだろうが、ロバート・ワイアットの声といいバックで流れるメロトロンといい、ブリティッシュ・ロック史に残る名曲と言ってしまおう。他の曲はあまり聴いてないんだけど、この1曲だけでもアルバムを持っている価値がある。
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Mirage / Live 14th December 1994
ミラージュは元キャメルのメンバーと元キャラヴァンのメンバーが合体した企画バンドだ。キャラヴァン組ではパイ、デイヴ、ジミー・ヘイスティングスの3人が参加し、ドラムは何とアンディ・ワードが担当した。彼らの演奏はたったの3曲しか収録されていないが、そのうちの「キャラヴァン・メドレー」がファン 必聴ものだ。「オー・キャロライン」や「狩りへ行こう」などをとても美しく演奏 している。とくにジミーのサックスがいい感じだ。
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Richard Sinclair's Caravan of Dreams / Same
リチャード・シンクレアが92年に発表したソロ・アルバム。バックはデイヴ、ジミー・ヘイスティングス、アンディ・ワードなどが固めている。内容は良質なカンタベリー・サウンドで、キャラヴァンよりはハットフィールズに近い雰囲気である。1曲目はいかにもカンタベリーな名曲だ。なお、編成を少し変えてイタリアで行ったライヴ盤も発売されている。
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Hatfield and the North / The Rotter's club
カンタベリー・シーンの頂点に位置する名盤の一つ。リチャード・シンクレア、デイヴ・ステュワート、フィル・ミラー、ピップ・パイルという奇跡のようなメンバーによる最高のジャズ・ロックだ。インスト・パートも素晴らしいが、リチャードのヴォーカルが本当に美しい。彼の歌の魅力に浸りたいなら迷わずこれを聴くべし。
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Camel / Rain dances
ハットフィールズ解散後、リチャード・シンクレアはキャメルに参加し3枚のアルバムを残した。そのどれもが良い出来だが個人的に一番好きなのがこれだ。B面のフュージョンっぽい演奏ははっきり言ってあまり好きでないのだが他の曲はどれも美しく心に残るものがある。リチャード参加の残り2枚、 「ブレスレス」「ライヴ・ファンタジア」もおすすめする。
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Soft Machine / Third
キャラヴァンと同じく、ワイルドフラワーズを母体にして結成されたバンドがソフト・マシーンだ。これは彼らの3作目で、ジミー・ヘイスティングスがフルート、サックスで参加した名盤である。後にキャラヴァンが「夜ごと太る女のために」で取り上げた「バックワーズ」は本作の2曲目「スライトリー・オール・ザ・ タイム」の一節で演奏されている。ロバート・ワイアットの書いた名曲「ムーン・イン・ジューン」も素晴らしい。
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Neil / Neil's heavy concept album
ニールという謎の人物によるソロ・アルバム。この人はイギリスで活躍していたコメディアンらしいのだが、問題はこのアルバムのプロデューサーがデイヴ・ステュワートで、バックでジミー・ヘイスティングスやピップ・パイルが演奏し、キャラヴァンの「ゴルフ・ガール」のカヴァーが収録されていることだ。しかもかなり良い出来である。他の曲もよく出来ているのでカンタベリー・ファンなら一度聞いてみよう。95年頃に日本盤でCDが出た。
Kevin Ayers / Odd Ditties
ケヴィン・エヤーズは僕の大好きなミュージシャンで、ソフト・マシーンのオリジナル・メンバーとしても有名である。本作は シングル曲や未発表曲を集めた編集盤で、でリチャード・シンクレア、デイヴ・シンクレア、リチャード・クーランをバックに迎え録音した「シンギング・ア・ソング・イン・ザ・モーニング」を収録している。僕の最大のアイドルの一人なのでいずれ特集します。
V.A / Canturburied Sounds Volume1
カンタベリー系の発掘音源で有名な Voiceprintから発売されたレア音源集。監修はブライアン・ホッパーが務めており、キャラヴァンの演奏は2曲、ソフト・マシーンのカヴァー「フィーリン・リーリン・スカーリン」とガーシュイン・ナンバーの「サマータイム」が収録されている。前者は過去海賊盤でも出た音源だが、後者はおそらく初登場音源だろう。デイヴのオルガンを軸に展開される演奏はいかにも初期キャラヴァンならではの音だが、はっきり言って初心者がいきなり聴いて楽しめるかは保証できないと思う。他、ケヴィン・エヤーズ参加時のワイルド・フラワーズ等も収録している。
個人的に興味深いのは8曲目に収録されたZobeというバンドの「イフ・アイ・エヴァー・リーヴ・ユー」という曲。ライナーでは特に触れていないが、この曲はブラッド・スウェット・アンド・ティアーズのファーストに収録された名曲「アイ・ラヴ・ユー・モア・ザン・ユール・エヴァー・ノウ」のカヴァーである。ライナー書いてる人は気づいているのだろうか ?
Hugh Hopper / 1984
ヒュー・ホッパーが72年に録音したソロ・アルバム。多重録音を駆使したアヴァンギャルドな作品と管楽器をフューチュアしたジャズ・ロック系作品を収録している。聴き物は何故かパイ・ヘイスティングスがギタリストとして参加した後者で、筆者の知る限り70年代以降パイがセッション参加したアルバムは本作のみである。最も特に目立ったプレイをしている訳ではないが。それ以外のアヴァンギャルドな曲群には、個人的に興味が湧かない。熱心なマニア向け作品。