For girls who grow plump

in the night

Memory lain , Hugh
Headloss
Hoedown
Surprise , surprise
C'thlu thlu
The dog , the dog , he's at it again
Be all right / Chance of a lifetime
L'auberge du sanglier / A hunting we shall go / Pengora / Backwords / A hunting we shall go (Reprise)

 

 
Pye Hastings (Gtr,Vo) , Richard Coughlan (Drs) , Geofrey Richardson (Viola) , John G Perry (Bass,Vo) , Dave Sinclair (Keys) , Jimmy Hastings (Flute)
国内盤CD UICY9060 輸入盤CD Decca 8829802 原盤LP : Deram SDL 12

パイ・ヘイスティングスを中心として生まれ変わったキャラヴァンの入魂の名盤である。彼らの作品中では、まさに「グレイとピンクの地」と双璧を成す名作と言える。

本作のキーパーソンと言えば、やはりパイ・ヘイスティングスだろう。リード・ヴォーカルは1曲を除いて彼が担当している。パイの声質は名曲「フォー・リチャード」に代表されるようにかすれた大人しい印象が強いが、本作で聴けるパイの歌は以前に比べ力強くなった感がある。それにもまして素晴らしいのがパイのコンポーザーとしての成長で、収録曲は2曲を除いてパイが書いており、そのどれもが良い出来である。特にアナログディスクではB面に当たるラストの3曲が素晴らしい。

アルバムは後々のライヴでも頻繁にオープニングに使われた佳曲「メモリー・レイン・ヒュー」と「ヘッドロス」のメドレーで始まる。印象的でシャープなギター・リフ、力強いリズム隊、新加入のジョフリー・リチャードソンのヴィオラなど、まさにキャラヴァンの新しい魅力を凝縮したようなナンバーだ。中間で聴けるジミー・ヘイスティングスのフルート・ソロはまさに名人芸である。デイヴのオルガンソロも聴けるが、以前と比べるといくぶん控えめな感じがする。

続く「ホウダウン」はキャラヴァンでよく使われる4分の7拍子ポップス。次の「サプライズ・サプライズ」がまた楽しい曲で、明るいコーラスとジョフリーの屈託の無いヴィオラがとてもいい気分にさせてくれる。A面ラストの「クスル・スル」は打って変わって重たげなナンバーだが、パイの繊細な声質のために何処となくユーモラスな曲に聞こえる。また、この曲のラストではデイヴの「あの音色の」オルガンソロが聴ける。

B面の3曲はどれも名曲と言って良い。まずは「ザ・ドッグ・ザ・ドッグ・ヒーズ・アット・イット・アゲイン」。僕はこの曲が最高に好きだ。何と言ってもメロディが最高に良い!パイのヴォーカルもバッチリはまっているし、シンセ・ソロを挟んで後半に分厚いコーラスで盛り上げるエンディングなど、構成も言うこと無し。間奏のデイヴのシンセも音色といいフレージングと言い何ともユニークで面白い。

続く「ビー・オール・ライト〜チャンス・オブ・ア・ライフタイム」はリフ主体のハードな前半部(ジョン・G・ペリーが歌っている)からアコースティックな後半部へなだれ込む展開が見事だ。ジョフリーのリリカルなヴィオラ・ソロがいい味を出している。そしてアルバムのラストを飾る組曲「狩りへ行こう」・・・これは素晴らしい。誰がなんと言おうと素晴らしい。アコースティックギターの爪弾きで始まり、4分の5拍子のスピーディなリフに乗り各メンバーのソロが繰り広げられる緊張感に溢れた前半だけでも十分いけるのだが、後半のオーケストラの盛り上がりがもう最高に素晴らしい。ここで演奏されるのがソフト・マシーンの曲「スライトリー・オール・ザ・タイム」(「サード」収録)の一節「バックワーズ」で、なぜパイがこの曲を取り上げる気になったのか解らないが、とにかく本家マシーンを完全に食った名演ではないかと思ってしまう。デイヴのロング・トーンを生かしたシンセ・ソロもはまっている。

キャラヴァンの歴史は長く、発表された作品はその時期ごとに少しづつ傾向が異なっている。本作で聴けるバンド全体でバランスの取れたアンサンブルを打ち出すスタイルはおそらくパイが意図したものだったのだろう。デイヴに対抗しうるソロイストとしてジョフリーを起用した目的もそこにあったのではないだろうか。いずれにせよこの選択が正解だったことは本作以降発表されるキャラヴァンの充実した作品群を聴けば簡単に解るはずだ。

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