アップしたページの「拍手ページ」に書いていた幕間のお話をまとめました。
各ページに沿ってますが、一度に全部読んでも違和感はない・・・と、思います。

台本を読んだり休憩中の彼らを想像していただければなによりです。
(注:あくまでも「パラレル」ではなく「コスプレ」の範疇のつもりですので)
(更に注:本編台無し になる可能性もあるので、「コスプレ」ではないふたりで読みたい方はお戻りください)

 

 

「フランソワーズ、お疲れ様。似合うね、そのドレス」

第一話終了後である。

「お疲れ様はまだ早いわ。このあと長いんだから」
「大変だなぁ」
「あなたはいいわよ。しばらく出番がないんだから」

ジョーが陣取っているソファに腰を下ろしながら、フランソワーズは軽く唇を尖らせた。

「なんだか釈然としないのよね」
「なんで?いいじゃないか、主役はきみだろ?」
「ん・・・そこがアヤシイのよねぇ・・・」
「主役だよ。間違い無いさ」

ジョーは大きな欠伸をすると、だらしなくソファの背にもたれた。

「大体さ。窮屈なんだよな、この格好」
「いいじゃない。案外ステキよ?」

ジョーは口をへの字にすると目を閉じた。
フランソワーズは溜め息をつくと、そっとジョーの前髪に触れた。

「・・・回想シーンがあるの、忘れてない?ジョー」

そうしてくすりと笑った。

 

***

 

「『ああ、フランソワーズ!君が欲しい』・・・かぁ・・・」


台本を脇に置くとジョーは苦い顔をした。

「こんなこと言ったことないのに」
「あら、いいじゃない」

フランソワーズがドレスを翻し、ジョーの目の前に立つ。
ご機嫌斜めな様子でソファに座る黒衣の騎士の頭のてっぺんをつついた。

「一生に一度くらい、言って欲しいわ」
「マジ?」
「ええ。だって素敵じゃない。こんな風に熱く言われるのってそうそうないもの」
「当たり前だ」
「だから、ね?いいじゃない。演技でも嬉しいわ」
「・・・」

ジョーはフランソワーズを前髪の間から見上げると、その腕を取り引き寄せた。

「ふうん。だったら展開もこうなるけど?」

フランソワーズは目を丸くしてジョーを見つめ返した。彼の膝の上で。

「望むところだけど?」


でも例のセリフは言えないジョーだった。

 

***

 

「えっ。君ってもしかして、そういう経験がナイっていう設定?」
「そうみたいね」
「・・・」
「何よ、何か困ることでも?」
「あ、イヤ・・・」

ジョーは何かを言おうとしたのを隠すように、自分の口元を手で覆った。

「・・・別に何も」

フランソワーズはそんな彼をちらりと見遣り、彼の膝から立ち上がった。

そういうジョーは、経験豊富なのは同じみたいね?

とは思ったものの、声には出さない。
出せば彼が気にするのは目に見えているし、それで彼が落ち込むことは本意ではない。
だから代わりにこう言った。

「いいじゃない。あなた好みに染まるわよ?」
「えっ・・・」


染まったのはジョーの頬だった。

 

***

 

「アラン?エッカーマン?」


ジョーの眉間に皺が寄った。

「何であいつらが出てくるんだ」
「あら、知らないの?私って意外ともてるのよ」
「・・・知ってるよ。そんなこと」

だから心配してるんじゃないか、と小さく付け加える。

「ふふ。これから何が起こるでしょう」
「知らん」
「ハーレクインロマンスだもの。きっと何かが起こるはずよ」
「ふん」
「ジョーったら。機嫌悪いのね」

ジョーの眉間の皺を人差し指でなぞり、フランソワーズは微笑んだ。

「・・・ただのお話よ?」

それでもフランソワーズがもてる話は同意できないジョーであった。

 

お付き合いありがとうございました。